Earl Windsorというアップライトピアノ、たしか昭和61年に廃業したフローラピアノ製造のピアノです。フローラピアノは、ビクターなどのピアノを製造していた中堅メーカでそこに大手ピアノ販売店がオーダーをして作らせたブランドそれがアールウィンザーです。今回、私共で管理させて頂いているウィンザーw114所有のお客様よりw113を持っている友人宅のピアノの音が今一つ物足りない、毎年調律しているのだけど・・いい音にしてあげてと連絡を頂き早速作業に行ってきました。昭和57年製造のこのピアノ毎年の調律はしてあるものの、鍵盤下のほこりやハンマーは、弦跡がクッキリで変摩耗、まずは、スティク修理をして、ざっと調律、ピッチが10cent下がっていたのでA442Hzに上げてそれから掃除機で掃除、それから、ハンマーファイリングそして弦合わせ、整音・整調をして、最終調律をして、まぁ今日は終了です。お客様は、ご友人の音みたいになったと大喜びでタッチも軽くなって弾きやすい・・・とにかく喜んで頂いて良かったです。このブランドのピアノは、調律師・・とくに大手メーカーや販売店の調律師には、、評判が悪く、別にピアノが悪い訳ではなくて販売店との関係が悪くて触った事のない調律師がひどく中傷をしていたのを思い出します。実際は、ピアノの個体差は、あるものの響板は、エゾ松でハンマーは、レンナー・弦は、レスローと申し分ない部品を使用してまじめにちゃんと作られている良いピアノなのです。ただ、大手メーカのピアノに比べると調律や整調は、少し気を使います。どのメーカーのピアノでもウィークポイントがあり大手メーカーですと販売台数が多いのでそれらの情報と対策がすぐに技術者に伝わるのですが、ウィンザークラスになると調律師の技術レベルが音の良し悪しに大きく左右する事になります。経験豊かな技術レベルの高い調律師が管理すれば、それは、ものすごく良い音のするピアノです。私もウィンザーは、大好きなピアノの一つです。その昔、全員技術レベルの高い調律師ばかりであったなら、あの様な心無い中傷なんて聞こえてこなかったはず、その当時は、日本に30社位のピアノメーカーが存在してブランドは。300を超えていた頃、1社平均10種類のピアノブランドを作っていた事になります。あのヤマハ(日本楽器)やカワイもいろんなブランドを作っていました。昭和50年代60年代は、今では考えられない楽器業界花盛りの時代、凄まじい販売競争に巻き込まれて消えていった多くの国産ピアノ。若き調律師諸君聞いた事のないピアノに出会っても愛情を込めて全技術を投入してみて下さい。最近の中国製・韓国製のピアノと違い日本人の製作したピアノは、やはり良いものです。ピアノは、必ずその愛情に応えて良い音を奏でて調律師として満足感に満たされます。さて来年の調律では、鍵盤の調整をやらなければ・・・たのしみだ!