消費増税の影響で目が回る?

4月1日より消費税が8%になるという事で昨年から3月末まで慌ただしく忙しい日が続いた。特に1月1日付けで値上げが決まっていたsteinway&sonsは、昨年12月末で在庫ゼロ。本年度初入荷が2月なので3月末にお客様宅にお届け出来る数も限られてしまう。納品実績での課税なので高額な商品の消費税となると3%でも数十万円の差が出てしまう。値上げ分と合わせると商品によっては、軽自動車位買えてしまうくらいの差となれば駆け込み消費も納得出来る。またアップライトピアノや高級中古ピアノにしても数万円の違いが出る為、駆け込みの購入、我々にとって嬉しい悲鳴です。高級中古ピアノは、外装が仕上がって内部の部品交換・整調・整音・調律など一台仕上げるのに何週間も掛かってしまうので高級中古ピアノを用意するのに夜遅くまでの作業が連日続いた。お客様方にそれぞれ試弾して頂いて購入が決まって、いざ納品となった所で2月2週続けて大雪!納品が先延ばしとなり3月にずれ込む。僕の所も3月31日まで納品が続きました。そんな忙しさの中で新規のグランド調律の依頼のお話です。

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とある会合で友人に紹介された方のお宅のグランドです。名刺を交換すると「ピアノ屋さんなんですね~調律できるんですか?」僕は、「もちろん調律師ですもの・・」と答えると「実は、家のグランドで困っているんですよ~お願いしてもいいですか?」といきなり。僕は、「何をそんなに困っているんですか?」と聞くと「2年前に楽器店で購入してそこから調律師さんに来てもらっているんだけど、もう来てくれないんですよね~~」と何だか嫌な予感。初めて会った方でこの会合は、経営者の集まりで仕事っ気を出すことは、タブーとされているので「それは、購入した楽器店に電話して来て貰う様にされたら。〇〇〇の調律師は、そんな変てこな人は居ないのでもし気に入らなければ別の人に変えて貰うと良いですよ。」とアドバイスをしてその日は、別れました。2日後に携帯が鳴って「調律お願いします。弦も切れました。」早速、お伺いする事に。

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早速、ピアノに触ると・・・これはこれは、大変だぁ~~!次高音部の音色がバラバラでやけに低音が鳴るしタッチは、何だかねっとりして歯切れが無い。この新しいピアノで何が何がどうしたんだろう?次高音部のハンマーは、色々と針を刺した跡が有り悪戦苦闘した事が見て取れるが、刺してはならぬ所に集中して刺した跡が有るのには、ちょっと困惑する。何しろベッティングスクリューも合っていない。とに角ちょっと覚悟して作業に取り組む事に。

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弦を張り替えてざっと調律をして鍵盤調整。面白い事に次高音フロント側のブッシングクロスに黒鉛が塗られている。昔の調律師にこの作業を好んでやる人が居るが、これはタッチが余計に悪くなり雑音の原因にもなるのでまたまた覚悟を決めて黒鉛を綺麗に取り除き念入りに鍵盤調整をする。

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整音作業に入ろうと思ったらハンマーにかなり弦跡が!またまた覚悟を決めてアクションを外に持ち出しファイリング。その後、88鍵全体の整音にたっぷりと時間を掛けて最後に仕上げの調律・・・・せっかくの新しいピアノ、良い状態になってピアノも喜んでいるのか良い音奏でてくれました。この様な作業は、時間が掛かり腰痛になりますが最後に思い通りの音が出ると一気に疲れが飛んでしまいます。調律師として一番嬉しい時間です。さぁ~4月に入り消費税が上がり財布の中にやたらと小銭が増えて重たくなった。財布は、重たいより分厚いのに限る。これがアベノミクスなのか?世間では、ちょっと前までアベノミクスと浮かれていたのに、今ではアベノリスクなんて言われている。どちらでも良いから何時までも浮かれていたい・・・。