快適住宅設備とピアノ

お客様より「今週中に調律をお願いしたいんですけど出来ます?」と電話が入る。どうされましたか?と聞き返すと「来週にドイツ人の演奏家がホームステイするので久しぶりにピアノを触ったら音が滅茶苦茶なんです」もうかれこれ25年のお付き合いのお客様で20年位前に弊社でシードマイヤーというドイツのメーカーのピアノに買換えをして頂いたお客様。2~3年前にの最新鋭設備の家を建てられました。その最新鋭設備が全館空調という物で家の全ての空間を24時間空調管理すると云う優れものなのですがこれがピアノには、過酷な環境を生んでガチャガチャにピッチが下がってしまった。

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湿度計では、41%場所によっては33%と云う乾燥状態。吹き抜けの天井を見るとピアノを直撃する吹き出し口がある。はぁ~~これですね、それにしても恐るべし乾燥状態。この様な音の狂いは、床暖房でも同じ状態になります。今では、床暖対策のアクセサリーが高価ではありますが販売されているので多くの調律師が同じ問題に直面した事が伺える。そのお蔭で対策は大方解決していますが全館空調となると・・・これは困りました。

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お客様に過乾燥が原因ですね。人間もカラッカラになりません?と尋ねると「そうなんです、のどが痛くなるし家具も傷んできて一応加湿器を何台も購入しているんですけどついつい面倒臭くてね~」とお客様、高価な大切なピアノですから面倒でも加湿器をつけてあげてくださいと言ってピッチ上げ調律を始めました。もうこればかりは、お客様がマメに加湿器に水を入れてくれるのを願うばかりです。昔は、家庭のピアノの大敵は、ねずみ 湿気 でした。未だに地方の田舎では、ありえると思われますが、ピアノのペダル下の穴から侵入して中のブライドルテープやフェルトを食いかき集めて巣を作り繁殖する・・何十台見た事か、何十台修理した事か・・・今では、ほぼ皆無になりました。昔も今も湿気は、同じく大敵ですが今では、床暖房・全館空調など新たな大敵が表れてピアノを管理するのも時代と共に変化してきました。この急激な温度変化・急激な湿度変化は、昔キャバレーやバーの飲屋さんのピアノ。今では、老人介護施設のピアノです。調律師も時代と共に色んなケースで仕事に取り組まなければなりません。横の繋がりをしっかり持って情報を沢山仕入れる事は、最も重要になります。

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海の真ん前に構えを持つ結婚式場・イベント会場。ここも夏のエアコンと冬の暖房で過乾燥状態のグランドピアノ。しかしプロのミュージシャンが使う事が多いために頻繁に調律にお伺いするのでその度に対処が出来る為大きな問題は、起きにくい。マメにピアノのチェックを入れてその都度ベストな状態にして置く事が一番の解決方法でしょう。

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時代の流れと共に我々を取り巻く環境も大きく移り変わり、色んな事が便利に快適になってきたが、年齢と共に段々時代に取り残されていく感じがする。年をとったなんて言わず臆する事無くチャレンジする気持ちが何より重要。僕は、体力気力でまだまだ頑張ります。海の見える最高のロケーション。明日は、どんなカップルが披露宴を挙げるのだろう。こんな素敵な会場で仕事をする度にもう一回結婚したくなったり する。これも体力気力チャレンジ精神で・・・なんて想像するだけで罰があたりそうだな!