アップライトピアノの話を!

9月は、学校も始まり我々の業界も芸術の秋、色んなイベントが目白押し。また、商談に打ち合わせや最も厄介なのは、会議に懇親会と名の付く飲み会・・。スケジュールがまっ黒になってしまうのが9月です。そんな折に数人のお客様より「今月は、ホームページ更新してませんね。楽しみにしているんですよ。」とか「アップライトピアノの話は少ないですね」とか色々とご指導頂きます。そのお言葉に今日は、アップライトピアノの記事を書こうと思います。さて、先日ドイツ帰りのお客様が娘の為にと購入されたアップライトピアノSTEINWAY&SONS Z114。このZ114タイプは、僕も今まで調律した事が無かったので忙しい最中にとても楽しく新たな発見となった幸せな仕事となりました。

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STEINWAY&SONS Z114は、コンソール型の背の高さ114センチの小型ピアノであのジョンレノンが愛用したピアノとして知っている方も多いかと思います。外国製のピアノでは、意外にコンソール型は、多く見られますが日本製では、意外に普及率が低い。大方、ピアノは背の高さで値段が決まる。35年ほど前までは、国内大手メーカで背の高さの差が1センチ1万円・・つまり高さ121センチのピアノと131センチのピアノでは定価の差が10万円なんて解りやすい価格設定となっていた。背の低いピアノは、背の高さイコール弦の長さ・響板の大きさ・アクションのサイズがそれぞれミニマムになる為に安価なピアノになってしまう訳ですが、これは、グランドピアノでも同じことが言えてコンサートホールにあるグランドピアノは、奥行き275センチ(2.000万円位)~家庭用の一番小さなグランドピアノは、奥行き150センチ前後(120万円位)ピアノの値段は、基本はサイズによって決まるわけです。その反面インテリアピアノの需要は、ある程度見込まれて各社コンソール型のデザイン重視のピアノが売り出されて未だに人気の日本メーカー製造のコンソールピアノも存在します。高さにとは、別に木目のインテリアピアノは、生産台数と生産コスト関係から高さ基本とは、かけ離れた価格設定になり楽器本来の音の良さと引き換えに家具調高級ピアノとして多くのご家庭に納められています。

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海外のメーカーのアップライトピアノの多くも家具調ピアノとして重宝されて高価な物も多く存在しますが、STEINWAY&SONS 114Zは、見た目は、シンプルで年代物のSTEINWAYと違って親板(側面の板)の薄く華奢な感じを受ける。

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作業を始めると見に飛び込んだのがプレッシャーバー(弦を強くおさえる金属の棒)が肉厚で頑丈。鍵盤を全て外すと筬の構造がとても綺麗に作り込まれている。日本製量産タイプとは大きく違うのが見て取れる。響板は、日本製ピアノに比べるとあからさまに薄い。入念に慎重に鍵盤調整をして整調・調律・整音と一つ一つ作業を進めて行く度にピアノが目を覚ます様で楽しくてたまらない。この小さなピアノで想像を絶する低音の響きと煌びやかな音に仕上げる事が出来てお客様も大層に満足され喜んで頂けました。見た目華奢なピアノでもビックリする程の音の響きと演奏時の高音中音低音バランス、そして低音部特に最低音部の音は、日本製コンソールピアノでは、聞いた事の無い迫力の有る深い響きでただただ驚かされた。長時間の作業で疲れはしたものの、さぞかしピアノも喜んでいるに違いないと勝手に自己満足して夜の会議(飲み会)に上機嫌で出かけた。

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