お母さんが使っていたピアノ

3月4月は、人事異動による転勤や新学期に向けて新居に転居なんて運送屋さんは、年間通して最大の繁忙期。それに付帯してピアノの運送屋さんも大忙しとなります。我々ピアノ屋さんは、新たにピアノを始めるお子さんの為にピアノの販売が好調になるので桜咲くこの時期は、どうにも口元が緩んで仕方がない。やはり暖かくなると人間色んなところが緩んでくるものなんだなぁ~としみじみ感じ入る。春、桜、新学期、景気回復、まぁ響きまで桃色で前向ですから希望も湧いて当然です。そしてこの時期に多いのが実家に置いてあるピアノを運んでくる。お父さん・お母さんが子供の頃に使っていたピアノを使おうとこれまた良いお話です。

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この時期に「実家に私の使っていたピアノがあるんですがまだ使えますでしょうか?」と問い合わせがあります。ピアノのメーカーと機種や製造番号をお聞きして判断するのですがよほどのケースでない限り新たに安価なピアノや電子ピアノを購入するより安上がりでお子様の為にも良い事の方が圧倒的に多い。昔のピアノは、材料や製作に費やす時間も今のピアノとは、雲泥の差です。つまり日本のピアノは良質が当たり前だった訳です。

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このピアノは、39年程前に購入されたピアノを地方から運んでくるというケースです。ご両親は、毎年調律をして管理されていたので内部の損傷は、まったくありません。ちゃんとしたピアノ調律師がきっちりと手を入れていました。ただ、茶色の艶消しのピアノで外装の損傷・汚れ・傷・色褪せが目立ち新居のリビングに運び込むには、ちょっと・・・とお客様の希望で全塗装をする事にしました。ついでに音色・タッチ・整調など十分に時間を掛けて手を入れられるのでまぁ素晴らしいピアノになります。

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綺麗に仕上がり外観は、新品にしか見えません。お友達が遊びに来たら「新品のピアノ買ったの?」て言われちゃうだろうなぁ~なんて想像するだけで嬉しくなる・・・僕のピアノじゃないんだけどまた口元が緩む。