気が付いたらもう2月中旬?

慌ただしく日々を過ごしているともう2月。えっ2月中旬!この間正月肥りしたばかりなのに~。新年からテレビでは、連日の株安にベッキーにスマップに甘利さんに清原に日銀マイナス金利など2016年早々に荒れる世間に翻弄されながら忙しく日々を過ごしております。今年に入って未だ休みも取れず新たな記事のアップもご無沙汰してしまいました。つきましては、この1か月半の近況を何回かに分けて記事にしたいと思います。まずは、1月30日に開かれたコンサートについて書き記します。

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1月30日(土)は、鎌倉は特に寒い日でホールに着くと会場もロビーもピアノも深々と冷えている。舞台には、ピアノが鎮座しているが温度を測ると15℃。ピアニストが12時位に来てウォーミングアップしてリハーサルが13:30から15:30までとの事前打ち合わせだったので午前中に調律をして本番前の調律もたっぷりと余裕があるのでピアノを温めるために舞台スタッフに暖房と本番の照明をお願いした。ピアノの調子を確認して作業スケジュールを組み立てて余裕だな・・・とのんびりとピアノを弾いて温まるのを待った。お客様の入っていないホールを貸し切り状態でスタインウェイを弾けるのは、ピアノ調律師の特権でしょう。静まり返った会場に響くつたない演奏。間違えても何を弾いても許される格別の時間ですが、残念ながら音が狂っているから気持ちが悪い。温度もそこそこに上がって来たのでさっそく作業を始める。予定通り作業も進んで良い音になったが、この音の鳴りでは、ピアニスト津山知子さんは、絶対に文句を言うなと思いアクション整調など細かく作業を進めた。時間通りにピアニストが来てすぐさまピアノを弾き始める。すると「この辺鳴らないわね~」と予測通り言うので「ピアノがまだ眠っているのでリハーサルまでちょっと弾いて起こしてあげて・・・後は、どうにかするから心配しないで」と伝えるとちょっと不満そうにガンガン弾き始めた。私は、すぐに客席に行って音の響きを確認すると予測通り客席では、すごく良い音が届いている。安心して後は、リハーサルでヴァイオリニストとのバランスを聞いて問題解決出来ると確信した。今回は、ラジオでも放送される様で録音エンジニアや撮影スタッフ、マネージャーから色んな人が入って来て騒々しくなってきた。そんな中、延々とピアノを弾いている津山さんの姿を見て微笑ましく思えた。ヴァイオリニストが到着すると直ぐに曲合わせに入った。その状態でピアノの位置やボリュームのバランスなど決めるのだが今回のピアノの位置決めには、ちょっと手こずった。ピアノをちょっと縦に振ってピアニストの顔がどの角度からも見えるようにして弾き手に音が良く聞こえる様にそして2人のアイコンタクトが取れる様にと試行錯誤してようやくベストポジションが決まった。写真は、音合わせの段階で最終ポジションは、慌ただしくて写真に収める暇がなかった。

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13時30分にゲネプロ(本番と同様のリハーサル)始まりの予定だったが、オープニングCDの確認作業や舞台照明の段取り確認などなどさっぱり始まらない。結局始まったのが1時間遅れになり16時15分まで掛かった。16時30分開場なので最終調律の時間が15分しかない。直ぐにピアノに駆けより確認すると津山さんの凄いタッチにいくつか音が狂っている。作業を始めて、必死で本番前の微調整をする。お付きのお姉さんが「梅根さん開場16時30分なんですけど」と心配そうに声を掛けてきた。「大丈夫ですよ」と答えたが正直ちょっと必死だった。本番が始まりゲネプロであれだけモタモタしたのが嘘のようにラフマニノフが会場に響き渡った。オリジナルの火の鳥や展覧会の絵のアレンジ編など新たな取り組みも見事に成功した。しかし私が一番驚いたのは、会田桃子ヴァイオリニストであった。リハーサルの時は、マスクをして小柄な何だかそこら辺の垢抜けないお姉ちゃんがアルゼンチンタンゴのヴァイオリン弾いてるてな感じでしたが、本番では、素晴らしい演奏に何だか二回り位大きくなった感じだった。ピアソラなどのタンゴヴァイオリンは、私も大好きで多くのレコードやCDを所有している。その中で世界でも著名なヴァイオリニストのキドン・クレーメル氏のピアソラへのオマージュ1・2は、特にお気に入りで他のヴァイオリニストの様にやたらとテンポを早くしたり雑にアドリブを決めたりするのではなくクラッシックの基礎テクニックの上に成り立つ最高の安定感と丁寧な演奏と表現力が魅力で擦り切れるまで?聞き込んだものです。今回初めて目の当たりにする会田桃子さんの演奏は、それを超えたと言っても良い情熱とエネルギーが私の全身を包み込んで生演奏の妙技に圧倒された。2人の絶妙の演奏は、満席のコンサート会場に響き渡りお客様も大層に満足されたに違いない。寒い舞台袖で凍えながらステージを見守っていた私に熱いものが走った良いコンサートだった。そしてもう一つ今回のコンサートの全てを網羅して準備に翻弄していた津山知子さんのお付きのお姉さんが舞台袖で成功を祈るように目を閉じて心配そうに演奏を噛みしめている。その姿にやさしく暖かい好感が持てた。細かな気遣いの出来る一所懸命な感じの良いスタッフです。良いスタッフに囲まれて津山さんも幸せだ!演奏が終えて、彼女に「それにしてもここは、寒いね」言うと「ええ寒いです、演奏どうでした?」と「素晴らしかったね!」と答えるとにっこりと嬉しそうに笑った顔が目にしみた。