もう8月になって日々続く酷暑。倉庫の全ての窓を全開にしても尚暑い。こう暑いと作業効率が一気に下がる。年々上昇する気温に自分自身が対応出来なくなっている。数年前までは、誰かが訪ねて来て最初の挨拶が「暑いですねぇ~!」でしたがここ数年は、「何だか地球もやばいんじゃない(笑)?」と体たらくな挨拶からスタート。対応出来なくなると全ての効率が低下する様だ!そんな中、弊社のホームページがセキュリティ強化されて見えない所が進化しているのですが、その影響で過去の記事の「いいね!」カウントが全て「0」になってしまって誠に残念な状態にもうどうして良いのか分からない。ここでも機器の進化に対応出来ずに「もうどうにも出来ねぇ~し記事はそのまま残っているのでまっいいかぁ~!」と知性と品格とすべての機能が大きく低下して人格崩壊状態でちょっと思い出したデジタルと音について書き記したいと思います。
ピアノ調律師の仕事は、家庭にあるピアノから学校・施設・コンサートホールなどの調律があるが中にレコーディングの調律というのがある。レコーディングというのは、CD記録媒体として不特定多数の方のもとにずっと残るものなのでより一層神経を使う仕事です。随分前の話ですが順調に準備が進んでピアニストも調子が上がっていざ録音開始という時にミキサー担当のレコーディングエンジニアが「何か変な雑音が入っている」と言われた。早速ピアノに駆け寄り色々と試したが全く気になる雑音が出ない。僕が弾いているとエンジニアも「おかしいなぁ~音出ませんねぇ~何なんだろう?」どんな音なのか言葉じゃ判らないのでヘッドホンを借りて聞いてみると耳をこらしてよ~く聞くとほんの僅かではあるが確かにかすかな物凄く小さな音でチラチラした音が時々聞こえる。これはピアノの音じゃ無いなぁ~と感じながらもう一度ピアノに駆けよって同じフレーズを弾いてみるがやはり出ない・・・?ピアニストに弾いて貰うと「あっ!出た!」そばで聴いている僕には、全く聞こえないが機械では、聞こえるらしい。いや~何だろうと煮詰まって時間だけが過ぎていく。もう一度その音をピアニストと共にヘッドフォンで聴いてもなお原因が判らず彼女も困惑して私に「何でしょうねぇ~私が悪いのかしら・・」と苦笑。二人寄り添って苦慮していると彼女の胸元にキラリと光るネックレス。原因は、演奏の時に時折そのネックレスとブラウスのボタンが擦れる音でした。まぁ~こんな音も拾って録音されるんだ!ピアニストと「エンジニアの人凄いねぇ~(笑)!」と悶々とした時間の事はすっかり忘れて笑顔がこぼれた。
この録音作業も今では、デジタル録音。まぁコンピューターなのです。弊社も早々と1986年あたりからパソコンを導入しました。顧客管理から帳簿迄圧倒的な処理能力で事務処理の負担を大きく改善してくれました。当時は、まだMS-DOSの時代で何だか呪文の様な言葉(コマンド)をキーボードで打ち込まないと機械が動かない時代で今と比べると便利にとは程遠い時代。そんな時代に音楽業界では、1981年にMIDIの出現でYMOなどがコンピューターミュージックで花盛りとなります。ワープロソフトは、一太郎、表計算ソフトは、ロータス123と今では耳にしないものが主流の時代。ウィンドウズもまだ出てきてない時代に音楽制作の世界では、商業ビジネスとしてのコンピューター活用がなされていたのですから正に最先端を走っていた訳です。今では、音楽配信で多くの若者は、スマホにイヤーホーンを差し込んでいつでもどこでも歩きながら音楽を楽しんでいる。そんな時代になるともっと良い音をとハイレゾなるものが配信されるようになってより高音質な音を楽しむ時代になった。通常のCDが44.1kHz16bitでハイレゾとなると96kHzや192kHz24bitさらに今では、DSD5.6やDSD11.2MHz1bitと高音質な音源が録音配信される時代になりました。その挙句、アナログ再熱というニュースが飛び込んで来て昨今では、あの松下電器(テクニクス復活)もレコードプレーヤーの販売を開始する。CDが出現してあの手軽さと無雑音の世界を体験するとレコードには、戻れないとアナログレコードが急速に衰退して行ったのに今では、デジタルで如何にあのアナログの音に近づけるかと日々目まぐるしく進化している。何だか時代が逆行しているのか?なんて気もするがこれが進化すると便利に手軽にアナログの様な音が身近になるのでしょう。しかし毎日色んなピアノを触るアナログの代表格の様な現場を知るピアノ調律師からするとピアノの音は、もっと奥深く繊細で演者の持つエンターテーメントは、そうやすやすと記録には残せないだろう!なんてちょっと生意気かな(笑)!