ピアノ爆買いの陰で!

天気に恵まれたゴールデンウィークがスタートして気が付くと4月も最終日。先日友人より「ゴールデンウィークの3日に仲間とバーベキューをするけど来れる?」と電話が入る。「あ~行きたいけれどその日も仕事なんだよね~残念!」「それは、残念だなぁ~凄い旨いとろける様な良い肉取り寄せるんだよ(笑)!昼過ぎからだらだら夜遅くまでみんないるだろうから、仕事が終えたら来れば良いじゃん?」と言って頂くが「その日の最終は、夜7時からの調律なんだよ~。終わったらヘトヘトになるだろうから残念だけど今回は、行けないな!申し訳ない。僕の肉だけ取って置いて!」と言って電話を切った。今年に入って日々仕事に追われて休みも無く4月もホームページのアップが出来ずにちょっと疲れて慌ててる。今回は、そんな近況を記事にしようとも思いましたが、最近、仕事をしていて感じた事を記事に書き記したいと思います。

毎年、3月に横浜市の中学校で職業体験授業の講師として生徒達に実際に調律を体験して貰って楽器業界のお話など2時間枠で行っています。以前にもホームページに記事として載せましたが、数校を何年も繰り返すと教壇に立つ事が板に付いて来たのか?いやいや少し慣れてきたのかあっと言う間に2時間が過ぎてしまう。調律体験では、子供達の耳の良さに驚かされる。恐らく10代の耳では、難無く聞こえるモスキート音。我々は、年々聞こえ無くなって行く高い周波数の音が、簡単にくっきりと聞こえる様だ。プロの我々は、年を重ねる事に色んな経験をして身も心も汚れけがれおまけに耳までけがれて高周波が聞き取り辛くなるのか(笑)?只々若いエネルギーが眩しく逆に英気を貰う元気の源の様になって弊社として恒例行事になっている。後日、送られてくる生徒達からの御礼の手紙では、「私は、最近将来どんなことをしようかと気持ちが揺れていたのですが、梅根先生の好きな事は、長く続ける。社会に出て仕事をする時は、一番好きな事をすると聞いてやってみようかなと思う物が出てきました。」または、「自分が一番好きな事をこれから探して行きます。」などと伝えたかった事が少し届いたかな?と嬉しい気持ちになった。しかし、生徒達からピアノ調律師になってみたいという手紙は、未だ1通も届いていない。ピアノ調律職業体験としてこれで良いのかな~?まぁ~とりあえずいいか(笑)!。

そんな中、毎年の事ですが春になるとお客様から実家のピアノを運んで来たいと連絡が殺到する。北は、北海道から南は、九州から関東へとほぼ日本全国。それに伴い、外装や中身のクリーニングや修理・調整・調律と特に今年は、大忙し。また、春はピアノも売れる時期で納品の為のピアノの調整やコンサートやレコーディングなどなど日々仕事に追われて休む暇が無い。弊社倉庫に入っているグランドピアノなどは、一台何日も掛けて調整を繰り返す。手を入れる毎に音が良くなって行く様は、何より楽しいしこれだけ良い音とタッチになればもう誰にも文句は言わせないぞ~どうよ!と有頂天になりながら作業を進めるが後日、弾いてみると、もうちょっとこの辺に手を入れてあげちゃおう!なんて、もう終わりがありません。だからきっと儲からなくて忙しいんだろうな~。

そんな折にお客様から「○○先生から紹介されました○○と申します。良い中古のピアノを探しているんですが、何が良いのかも良く判らないと先生に相談しましたら、鎌倉ピアノ芸術社さんを紹介されました。ホームページも拝見しました。是非、相談に乗って頂けますでしょうか?宜しくお願い致します。」と電話が入る。お客様は、ネットで相当に勉強されていて大方希望の機種が決まっている様でした。弊社倉庫に希望されているピアノが在庫としてありますが、まだ内部の調整が終わっていませんでした。急ぎ内部の調整を仕上げて、同じ価格帯の他の機種もついでに調整を済ませて弾き比べて頂こうと最優先で準備しました。後日、お客様一家が倉庫にいらしてピアノを見るなり「ピカピカで新品みたいですね~!」と頬が緩んで早速、弾き比べるともうどちらにすれば良いのか分からない状態。私もちょっと良い音に調整しすぎちゃったかな?なんて思いながら部屋の状況や近所への配慮そしてご予算と総合的に考慮してお客様の希望に合うピアノを選んで頂きました・・・ルンルン。

数年前から銀座や秋葉原で中国人爆買いのニュースが連日の様に報道されてそのお蔭で潤沢に儲かる店舗や業種。中国人様様状態に笑いが止まらない経営者が大勢いる事でしょう。ピアノ業界に置いては、大手メーカーの中国での販売が好調で低迷していた業績も好転している。その陰で中国資本が日本に流入して中古のピアノを買い漁り日本国内の中古ピアノ買取価格が高騰してしまい日本国内の中古ピアノ販売価格は、物凄く高くなっている訳で当時の定価を軽く上回る機種も続出しています。また、買い取った中古ピアノをひと月に数千台ペースで20数年間も輸出を続けていると日本国内に良いピアノが無くなってしまいます。これは、ピアノ調律師としては、心の痛む所です。日本国内に良い材料で製作された世界に認められる日本製のピアノが無くなって行く様は、何より心寂しい。こうなったら全国のピアノ調律師総動員で「ピアノ買って頂戴!」キャンペーンを本腰入れてやるしかないなぁ~(笑)!いや、笑い事じゃありません、真剣です!