ピアノ調律師として嬉しかった事

気付いたらもう12月、今年も残す所3週間余りになってしまった。こうやってあっという間に歳を重ねて行くんでしょう。慌ただしく過ぎ去る日々でも一日一日は、色んな出来事や新しい出会いがあって充実した日々が送れている。今回は、長年現役ピアノ調律師をやってきてとても嬉しかった事、そんな様子を記事にしたいと思います。

現在、政府指導により推し進められているキャッシュレス。弊社も早々に対応してピアノ調律にお伺いしたお客様宅で手続きが出来ます。それに合わせて経済産業省による消費者還元事業、キャッシュレス5%還元は、11月21日よりようやく対応となりました。これにより来年6月末までは、電子決済をして頂くと5%が返金されると増税どころかかえって減税状態。特にピアノ代金など高額な決済ですとその金額は、大きくなります。私も車のタイヤ交換をクレジット決済してカード会社からの請求書に5%還元と思いもよらぬ金額がプラスされていて凄く得した気分になった。あのタイヤ屋さんで交換して良かった!とあそこが還元してくれた訳では無いのに(笑)。どうぞ弊社のお客様も是非ご利用ください。※但し一部のクレジット会社や決済方法には還元されない場合がありますので弊社にお問い合わせください。

9月の増税前は、ピアノ納品で大忙しで10月以降は、きっと静かになるんだろうと思っていましたが何故か10月に入ってもポコポコとピアノが売れた。お1人は、コンクールがあるので急ぎ納品であったりもう一方は、弊社の在庫で外装は、仕上げていたものの忙しくて内部に手を入れていない商品。ただそのピアノは、昔弊社で販売したピアノで私が毎年調律管理をしていたピアノなので何ら問題が無いものの新たなお客様のお宅に嫁ぐとなると消耗部品の交換など十分に手を入れないと気が済まないのでまたまた嬉しい楽しい仕事で大忙しです。どのピアノも最終的に私が弾いて聞いて満足のいく状態に仕上がってから嫁ぎ先へお届けするのですが毎度出荷の時は、ちょっと心配で寂しい気持ちになる。ちゃんと丁寧に使ってもらえるだろうか?乱暴に扱って傷とかつけられないだろうか?とか良い歳した親父がちょっとセンチになる瞬間です(笑)。

そんな中、弊社のお客様宅に調律にお伺いした時の事です。最初は、長女が小学生1年子供3人の為に購入したピアノ。毎年調律にお伺いして25年。ここ数年は、皆さん社会人になられてピアノに向かう事がとても少なくなっていました。当然です、人生の中で一番美しく麗しい時期に休日の度に家でピアノに向かわれると逆にこっちが心配になってしまう。今回も、夕方のちょっと遅い時間に調律にお伺いするとピアノが何時もの状態じゃない!お母さんに「何か凄く弾いてるじゃないですか(笑)」と云うと「ここの所、姉妹3人が一生懸命練習してるんですよ」「え~どうしたんですか(笑)」と聞くと「やっと長女が結婚する事になったんですよ。長女の結婚式で皆で連弾すると言って最近3人が練習してるんですよ。」「それは、おめでとうございます!良いですね披露宴で姉妹で連弾なんて姉妹仲良くて僕が嬉しくなってしまいますね~(笑)」「今日、梅根さん来るから早く帰ると言ってましたよ!」「じゃ~お会いして詳しく聞きましょうね(笑)」と言って作業に入った。全ての作業が終えてお母様と雑談をしていると「ただいま~」とお嬢さんが帰って来た。「こんにちは!車があったから間に合ったと思って(笑)」と言って肩で息をしている。ちょっと雑談をしてお嬢さんが「私、結婚する事になったんです。」「いや~おめでとうございます。良かったね!披露宴で姉妹で連弾するんですって?随分ピアノ弾いてるなぁ~と思ってビックリしたよ(笑)。」「はい!上手く弾けないからもう皆で必死です。」と言って演奏する楽譜を見せてくれた。「良いですね。とても思い出に残る良い披露宴になりますね!なんだかオジサンも嬉しいですよ。ところで式は何時なんですか?」と聞くと「来年の〇月〇日なんです」と「もうすぐじゃん(笑)いや色々と忙しいだろうけど練習も頑張ってね(笑)!ところで結婚式は、どちらで東京ですか横浜?」と聞くと「鎌倉です!」すると一緒にいたお婆ちゃんが「鎌倉で結婚式あげるというんだけど今時鎌倉と言ってもねぇ~そんな所あるんですか?」というので「鎌倉ってもしかして海の真ん前の○○?」と云うとお嬢さんが「そうです!知ってます~?」というので「よ~く知っていますよ!海の真ん前でとってもロケーションが良くて料理もとても美味しい所です。なんと当日の披露宴のピアノは、オジサンが調律するんでよ(笑)」「え~(笑)!そうなんですか?」「創業時からずっとオジサンがあそこのピアノを管理しているんですよ。いや~なんだか嬉しいなぁ~だって子供の頃から一年に一回だけどずっと知っていて今度は、人生の晴れ舞台もオジサンが調律やるんだから何だかとっても嬉しいなぁ~!」お婆ちゃんが「そうなんですか、それならば安心です。宜しくお願いします」と言うと皆が「よろしくお願いします(笑)」と言って大笑いをした。ピアノ調律師の仕事をしていて今回の様な不思議な縁がもっとも嬉しい瞬間です。長年お世話になったお客様のお子さんが立派になられて成人して関りは薄くてもその成長をずっと知っている訳ですからこんな喜ばしい事はありません。世の中に色んな職業がありますが長年のお付き合いが出来る仕事は、そうそうないのでは無いかな?とも思う。この仕事を続けて一番嬉しい事かもしれません。そろそろ引退が見えて来た歳になりましたがまだまだ現役調律師にこだわってもっと頑張りたいと思った嬉しい出来事でした。