「ひと言」カテゴリーアーカイブ

ピアノで繫がる人と人(感動のコンサート)

5月27日のコンサートが終えて早2週間。前回の記事で早々に記事をアップする様な事を書き込んだのに今日書こう、今日書こうと毎日思うのですが、当日録音したCDを繰り返し聴いて「いや~かなりクオリティの高い良いコンサートだったなぁ~!」と感動をかみしめていると2週間たってしまいました。遅ればせながらようやくパソコンに向かって友人宅ホールで開いたコンサートの様子を記事にしたいと思います・

今年の4月14日にピアノデュオドゥオールの二人に招待されて彼らのピアノコンチェルトを聴きに東京芸術劇場に友人達と出かけた帰りの出来事。みんなで焼き肉を頬張りながら「ステージから9列目の正面の良い席だったけどオケとピアノの音のバランスが取れてなかったなぁ~」と「俺は、オケのホーンセクションの位置は、もうちょっと下げてピアノの位置を・・・」なんて音響談義が始まった。確かに大ホールで2台ピアノ・ヴィオラ・ヴァイオリンとチェロ・ピアノ1台と4つのコンチェルト演目ですからセッティングは、全てが良い状態というのは、無理があるだろう。「やはり収益を考えると大きなホールのコンサートで大勢を集客する手法になるけれど本当に音楽で感動を覚えるというのは、目の前で演奏者の息使いまで聞こえるサロンが音圧的にもベストだね。」なんて話も落着して同席していた東京藝大声楽家4年生の友人の息子(轟木優人)に「じゃ~今度、男女歌・ピアノのコンサートでもやるか?」と言うと「え~良いんですか?やりたいです・・・やりますやります是非是非」と言ってホールのオーナーが「5月27日なら都合がつけられるな!」と煙に巻かれて話が決まった。

 

翌日、友人の息子(轟木優人)の声楽の先生で私のピアノ調律のお客様でもある櫻井悦子先生に「急な話で申し訳ございませんが5月27日にコンサートをやる事になったのですが先生出演お願い出来ますか?」「ちょっとスケジュール確認しますね・・・大丈夫ですよ(笑)!」はぁ~良かった「詳細は改めてご連絡しますが、ピアノ伴奏の方のスケジュールとピアノソロもお願いする旨確認お願いします。」と言って電話を切った。まずは、開催が決まりましたが、コンサートまで1月半を切っているしゴールデンウィークを挟むので悠長にしていられない。コンサートで一番重要なのは集客です。時間が無いので大半は、僕が呼ばなければならないなと思ってもまだチラシも出来て無いし演目も決まってない・・・ゴールデンウィークに入る前に音楽好きの弊社の長いお付き合いのお客様達に電話を入れてコンサート開催の旨を伝えた。皆さん快く「楽しみにしてるわ~」と2つ返事で直ぐに満席に達した。これは、みっともないコンサートには出来ないなとプレッシャーが重くのしかかった。

ゴールデンウィーク明けに2日続けてホールに演奏者を集めて打ち合わせをした。弊社のお客様とホールの格式を考えるとそれなりのクオリティを求められる事を全員に伝えて櫻井悦子先生には私から「一つお願いがあるんですけど・・・シューベルトのアヴェマリアを歌って貰えないですか?」と言うと「え~一番嫌な所を突いて来ますねぇ~(笑)!」この曲は、息継ぎが難しく世界中の誰しもが知っている名曲なので粗が目立つ。したがってコンサートでこの曲を耳にする機会は、ほとんど無い。とにかく聴けば聞くほど楽曲が素晴らしく良い曲なので個人的に櫻井先生に歌って欲しかった。私は「歌い手さん皆さんが嫌がる事は良く知っているんですけどお願い!」とごり押しするとニンマリ笑って「歌います(笑)」と言って頂いた。ピアノ演奏の(松岡すみれ)さんとは、初めてお会いした。この春に藝大を卒業されて演奏活動をされているそうだ。早速ピアノに触って頂いてホールとピアノの感触を味わって貰った。昨年7月にピアノを納品して8月にコンサート・10月にコンサートとまだ2回しか使っていないので心配で数日前にホールに来て少しはピアノが鳴るようにガンガンと弾いたのですが10か月で2回しか使っていないので弦もまだ伸びて無くて音も狂っているのでコンディションは悪い。そのピアノを彼女が弾き始めると段々ピアノが目を覚ましたように響いてきた。上手な演奏で少し弾いて慣れて貰った。その演奏を聴いて当日は、もっときらびやかな中に膨らみのある音を交えて良い音に仕上げてあげようと思った。内容も決まってホールのオーナーが「休憩の時にコーヒーとウーロン茶だろ・・・コンサート終えたら軽食にサンドイッチの盛り合わせに俺がピザを焼くから・・・ビールは飲み放題でワインもあるだけ出すか!」ともう採算度外視の状態になってきているが今回は、皆さんに喜んで頂ければと大雑把な感じで当日の録音の話になって打ち合わせを終えた。

コンサートの2日前にホールのピアノSHIGERUKAWAI SK-5の調整に伺った。新築なので湿度が高いが夏冬問わず24時間エアコンと床暖を入れるといった管理方法で良い感じの湿度が保たれている。ただ使ってないのでピアノの振動が伝わりきってない。まずは、ピッチをA442Hzに上げて調律をする。まだ新しいピアノなので弦も伸びてないのでちょっと時間が掛かった。次にアクションの細部の調整をして整音作業に入る。ピアノの低音側に壁があるのでその反射音でピアノ全体の音のバランスが崩れて聞こえるのでピアノの位置を変える事を念頭に入れて低音全体の音量を少し下げて輪郭にメリハリをつけて中高音は、ふくよかにきらびやかに高音全体は、ほんの少し派手目に調整を繰り返す。中々難しく決まらない。何度となくアクションを引っ張り出して音の発音と初動と整調を見直してまた整音を繰り返し休み無く5時間以上掛かった。その間、録音部隊が機材の搬入セッティングと忙しく準備をしている。まぁ~当日の朝にまた調律するので大丈夫だろうと作業を終えた。

コンサート当日、一番乗りかと思ったがお手伝いしてくれる方々が既に来ていてキッチンの裏方などの準備をしている。早速ピアノに触ると良い感じに仕上がっている。早速、調律をしてアベマリアの伴奏やベートーベンソナタを考えて整音をもう一度見直して作業を終えると11時頃に演奏者達がやって来た。リハーサルが始まりピアノの位置や録音マイクの位置。そして歌と伴奏のバランスなど試行錯誤しながら通常のコンサートとは違って全く気が抜けない。録音部隊は、リハーサルから既に録音を始めている。歌の通しリハーサルも終えてアヴェマリアも良い感じに聞けてその高いクオリティに安心をした。ピアノソロのリハーサルに入る。ピアニスト松岡かえでさんが弾くとホール全体に気持ちの良い音が響き渡る。段々ピアノも目を覚ましたのか本体が響きを出してきている。大ホールと違ってサロンホールは、場所が狭いのでピアニストがピアノに慣れるのに随分苦労するが彼女は、適応力が優れていて難しい環境なのにバランスよく上手に弾きこなしている。上手だなと感心する!リハーサルが終えて直ぐに再度ピアノの調整をして簡単に皆で食事をとるとポチポチとお客様がご来場し始めたので受付を始めた。13:30開場で無事14:00開演でスタートした。途中15分の休憩では、コーヒー・ウーロン茶を配り2部スタート順調に演奏も進んで大盛況の演奏だった。今度は、テーブルセッティングを変えて軽食と飲み物をお出しする。キッチンでは、ピザの準備にもう戦争状態。ビールにワインにソフトドリンクと給仕係りをしながらお客様とのお相手と目まぐるしく一日が終えた。お客様も和気あいあいと演奏者とお話をしたりしながら大量のワインやビールが消費されピザも完食で皆さん喜んで頂けたようで一安心(笑)。

今回のコンサートを通じて改めて思えばホールのオーナーとは、最初26年前にオーナー宅にピアノの調律にお伺いして以来のお付き合い。歌の轟木優人は、彼が生まれた頃に彼の家にピアノの調律にお伺いしたのが縁で彼の父は、税理士として弊社の会計を見て頂いている。歌の櫻井悦子先生は、彼女が小学生の頃からのピアノの調律のお客様。中学高校そして藝大と彼女の成長を見て来ました。そして今回いらして頂いた多くのお客様は、20年~30年位の長きお付き合いのお客様です。「最初にお伺いした頃は、まだピチピチしてましたよ(笑)!」なんて冗談が通じる間柄。全てがピアノ調律の仕事を通じての良きご縁なんだな~と格別な感情が湧いてきます。ピアノを通じて皆さんがお付き合いが始まったりと新たなネットワークが構築出来ます事は、正に調律師冥利に尽きます。皆様のご協力で開催出来ましたコンサートこの場をお借りして心より感謝申し上げます。後日、当日録音したCDが出来上がり演奏・演目と録音も良く大変クオリティ高く良いコンサートだったなぁ~恐らく通常のコンサートの音圧は3倍位だろうか?目の前の演奏を目で耳で肌で感じるコンサート。本当のコンサートがここにあったと思います。最後になりますが昨年お亡くなりになられた櫻井悦子さんのお母様。大変お世話になりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。実は、お嬢さんのアヴェマリアを聴いて頂きたくてお願いをしました。当日、お母様が会場にいらっしゃる様な気がして少し胸が詰まりました。ピアノは、綺麗な音に調律出来ていたでしょ(笑)!如何でしたか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3回鎌倉プチロックフェスティバル

5月14日に第3回鎌倉プチロックフェスティバルが開催された。第1回開催時に主催者より「早朝に海岸の公園にピアノを運び込んで夕方の5時にピアノを搬出して欲しいんですけど・・雨の場合は、中止になります。朝6時に開催か中止か決まるのですが出来ますでしょうか?」と依頼がありちょっと躊躇した。しかし考えてみると横浜では、色んな奉仕活動や学校関係で一肌脱いでいるのに地元鎌倉であまり力を注いでいないなぁ~と瞬時に考え直して「協力しましょう!」とそれからのお付き合いです。「電気を使わないアコースティクサウンドのロックフェスティバル」主催者の熱意やフェスティバルの様子を拝見するととても素晴らしく素朴に音楽の楽しみがここにあると感じた。又、フェスティバル終了後にスタッフ総出で公園の掃除にあたる姿を見て私もこのフェスティバルに協力をしたいと思いスポンサー企業になりました。今回は、潮風にさらされたピアノの様子を記事にしたいと思います。

昨年は、天気に恵まれたのでピアノのダメージは、大した事がないだろうと思っていました。開催の5日前に毎年ピアノを提供して頂いているお宅へ出向いて調律調整をしました。「こんにちは!今年もよろしくお願いします」と言ってお伺いすると「はい、いらっしゃいお願いします。このピアノも誰も弾かないのに毎年ちゃんと調律してピアノも良くなって喜んでるわ~(笑)!」と3回目となるとお互いに慣れて来て作業をしていても居心地が良い。元々長年使ってない調律もしていない、しかも鎌倉の湿度にやられてひどい状態のピアノだったのが毎年準備調律に当日調律と念入りに調整しているのでピアノも蘇ってきている。早速ピアノを確認すると88鍵盤全ての鍵盤の動きが鈍い。内部のアクション(機械)は、動かない所がチラホラ。キャスターは、ザビだらけと短い時間ですが過酷な環境に置かれたピアノのダメージは、思いの外ひどかった。たっぷりと時間を掛けて鍵盤調整から機械の修理とザビを落として調律に入る。多くのミュージシャンが朝から一日力一杯弾きまくったピアノにしては、意外に音の狂いは少ない「やっぱり調律師の腕が良いんだな(笑)!」なんて心でつぶやいて上機嫌になったが45年程経つだろうかそのピアノの頑強さと昔のピアノの品質の良さのおかげか!と直ぐに考えを改めた。

フェスティバル当日の朝9時にピアノが搬入された。緩やかな傾斜地の芝生の上に設置するので大きめの板や角材で水平を出して設置する。昨年は、直ぐに水平が出て簡単に設置出来たが今年は、中々決まらない。しばらく四苦八苦して「こんなもんで良いかなぁ~?」と大きく妥協してようやく設置した。当日の天気は、前日の大雨を引きずって今にも雨が落ちてきそうなどんよりとした曇り。テントが飛びそうになる強い風に強烈な湿度で少し肌寒い。周りでは、スポンサーの出店準備が始まっていてみんな右往左往しながら活気に満ちている。どうにか天気が回復してくれることを願いながら調律に取り掛かった。5日前に完璧に調整しているので作業は、順調にと思いきや前日降った雨で地面が湿けっていて音の吸収が物凄い。まるで無響音室で弾いている様な状態。少し音色に幅を持たせるように調律を変えて調整する事にした。多少は、響きが良くなったが如何せん下は、砂地なのでピアノの音と言えども弾いた瞬間に音が吸われてなおかつ周りに音を反射する物が何一つ無いので圧倒的にボリュームが足りない。ここ数年の調整で相当に鳴るようになったピアノですが来年は、準備段階から何か工夫してあげたいな!と演奏者の真剣な取り組みに対して大きな宿題を課せられた気分になった。

 

毎年アーティストとして参加しているVAKENECO(バケネコ)さんという上手な女性ピアニストがいる。ちょうど2か月前に私の古いお客様のお寺の住職さんから頂戴したCDが「VAKENECO百花繚乱」であった。軽快な演奏に聞きやすいジャズピアノのCD。当日の演奏は、パーカッションとのコラボ演奏でしたが大勢の観客を沸かして大盛況であった。もっと良い条件で演奏を聴いてみたいと思い早速、住職さんに頼んでコンタクトを取ってもらい演奏の仕事を依頼して承諾を得た。今度は、私の友人宅ホールで真新しいSHIGERUKAWAI SK-5で演奏してもらう事になりました。響きの良いホールできっちりと整備されたピアノでどんなスリリングな演奏をしてくれるのか私の音楽仲間達と今から楽しみでならない。どこでどの様に人と人がつながって行くのか不思議ではありますが、音楽を通じて多くの方々と良い関係が築けていければ良いなと心から思います。こういった音楽を通じて良い人達とのネットワークの広まりにピアノ調律師として喜びを感じ得ます。次回の記事は、人と人の繋がりで来週5月27日に開催するクラッシックコンサートについて書き記します。まさに人と人の繋がりといったピッタリの題材に不思議な縁を上手く書き伝えられるか、またまた大きな宿題ですが是非、楽しみにしていてください。

フェスティバル主催者の竹内Kenさんから「スポンサー企業には、スポンサーTシャツが貰える事になっているんですよ・・サイズはいくつですか?」と昨年も言われたが、恐らく着ないだろうからいらないな!と思って貰いに行かなかった。今年、竹内Kenさんが鎌倉プチロックフェスティバルと書かれたTシャツを着ている。よくよく見たら背中に鎌倉ピアノ芸術社の名前が入っている!「Kenさん、毎回スポンサー企業の名前をプリントしているんですか?」と聞くと「当たり前じゃないですか~!」と「ひぇ~僕にもちょうだい(笑)!」