「#グランドピアノ調律鎌倉」タグアーカイブ

2020年秋のお仕事の様子。

2020年10月は、キンモクセイの香りが例年になく強烈に漂って秋の気配が・・なんて思った途端、急に寒くなり慌てて暖房を入れた。近年秋をまったりと楽しむ風情が無くなったなぁ~とぼやきながらも10月からコンサートやレコーディングに加え婚礼など段々忙しくなってきました。そんな秋の近況や凄く感動したコンサートの様子を記事にしたいと思います。

9月に営業再開宣言をこのホームページで告知した途端に長いお付き合いのお客様から電話が相次いだ。「今年は、時期になっても電話が無いわ、どうされてるのかしら?と思ってホームページ見たらコロナで自粛していると分かったから、その内電話があるだろと思ってたんですよ!そうしたら、再開されたと書いてあったので電話しちゃったんですよ(笑)!特にうちは急がないから・・・何時でも良いですよ!」とお電話を頂くと嬉しくて直ぐ予定を決めてお伺いします。勿論、アルコール除菌の後にゴム手袋とマスクと慎重を期してお伺いして「あらら大変ですね~!そんなの良いのに(笑)」と言って頂きながら世間話に花が咲いてついつい長居をしてしまう。ありがたい事でこれって仕事なんだよなぁ~と楽しい一時を満喫している。そんな中、友人が家の立替えの間グランドピアノを預かって欲しい。ついでに綺麗にして新築に届けて欲しいと申し出があったので当然引き受けた。ただ、家が出来上がるのは1年以上先なんだそうだ。そんなに古いピアノでは無いのにサビと汚れと汚れと汚れ・・・ただただ汚いピアノで可哀想な状態。グランドピアノの保管は、通常ピアノの3本の脚とペダルを外して布団でぐるぐる巻きにして立てて保管するのが通例ですが弊社は、調律師のピアノ屋さんなので何時でも弾ける状態での保管をしております。保管スペースは、布団ぐるぐる巻きの3倍以上ですから他社では当然保管料は、通常の3倍以上と高く付きます。高価なグランドピアノを良い状態に保つには、梱包を解いて演奏できる状態で調律管理が何時でも出来る状態が自然です。弊社は、調律師の立場から全ての預かり保管ピアノは、通常の値段で梱包を解いて何時でも弾ける状態で保管しております。今回の友人のピアノも同じく梱包を開いて保管をするのですが1年以上もここに汚いピアノが有るのも他のピアノが全てピカピカなのに気持ち悪いから引き取って友人に断りも無く外装を綺麗にして倉庫に搬入。

これから一年かけて内部の調整をしながらビックリする位に良い音とタッチにしてあげようと思います。でも、あんまりのんびりしているとあっという間に一年経っちゃうから取敢えず毎月調律して弾きながら調整して物凄く良い音で良いタッチにして遊ぼうかなぁ~(笑)!そして来年沢山請求してやろ~と思ってます。ついでに新しい全塗装したピアノも倉庫に運び入れてやらなきゃいけない仕事は、山積み状態です。

8月のある日、音楽プロデューサー・キーボード奏者・作曲家・アレンジャーと世界的に活躍する現役ミュージシャン西脇辰弥さんから「10月に新たなコンサートを企画しているので調律をお願いします。」と連絡を頂いた。当日の内容は、ボーカルがAKANE LIV エレクトリックハープがSANAE  西脇辰弥PRESENTS「音の醸し人コンサート・世界は日の出を待っている~」ピアノは、ベーゼンドルファーのグランドピアノですと告げられた。直接の調律依頼に感謝しながらどんなコンサートになるんだろうと当日を待ち遠しく思ったが日々の慌ただしさに追われているとあっという間に時は過ぎて昨日がそのコンサートの日でした。

 

朝9時会場入りして調律の予定で11時からリハーサルと聞いていたので通常のコンサートと同じ感覚で会場を一人独占して集中してベーゼンドルファーの調律を楽しめると思っていたが、ほぼ全員が9時に会場入り。グランドハープの業者搬入から映像配信部隊のスタッフから音響スタッフのセッティングが同時進行。当日のタイムスケジュールを渡されると10時30分リハーサル開始と書いてあった。急ぎピッチ下げ調律を開始した。調律師にもよるだろうけれどピッチ上げよりピッチ下げの方が大変だと私は感じている。きっと大半の調律師も同じ意見だと思うが1時間30分で一流のピアニストが演奏して録音・配信に耐えうる状態に調律を仕上げる。この騒音の中。いや~まいったなぁ~と思えども時間は、刻々と過ぎて行く。タイムスケジュールでは、昼食休憩が12時から1時までとあるので修正は、そこでやれば良いなと気を楽に構えて楽しんで作業を無事終えた。リハーサルは、クラッシックコンサートと違って配線のチェックや雑音、音量や残響音と全体のバランスなど音響スタッフとの打ち合わせと確認作業が念入りに繰り返され、加えて撮影スタッフとの打ち合わせと大忙し。しかしプロ集団の集まりなのでそこは、肝は押さえて坦々と完璧に準備が進んだ。お昼休みに入ったのでピアノを再確認すると若干の修正はあったものの、さすがベーゼンドルファー音の保持は、惚れ惚れする良いピアノ。午後のリハーサルが始まるとボーカルのAKANE LIVさんは、表情豊かに美声を張り上げてとても魅力的だ!まだメイク前なのになんて美しく何でこんなに顔が小さいんだろう?そしてエレクトリックハープのSANAEさんも金髪でマスク姿だが何とも美しい。録音エンジニアに「ハープ奏者って何人も知ってる訳じゃないけど美女揃いだよね~!」と言うと「そうなんですよね(笑)!」するとSANAEさんが「え~凄いハードル上げられちゃってる(笑)!男性もいるんですよ!ヨーロッパは、男性の方が断然多いんですよ。」と教えてくれたがどう想像しても男が優雅にハープを演奏しても???増しては、太ったハゲてるおじさんがハープ奏者だったら?なんて、あんまりここに書き込むと色々と問題が起きそうだからこの辺にして置くが今回は、SANAEさんが優雅に演奏して美女揃いのコンサートで良かった!無事に準備も終えて後は、本番待ち。今回は、ソーシャルデスタンスでお客様の数も少なく少人数のコンサートでしたが開場の1時間30分前からお客様が雨の降る中お待ちになられていて、その人気ぶりを鑑みる事が出来た。本番が始まるとさすがプロの演奏と舞台進行、何より西脇氏のお話は、音楽への造詣の深さに笑いをちりばめてお客様を飽きさせない。そこにAKANE LIVさんの突っ込みが絶妙で笑いを招き、お客様全員が一音一句聞き逃さない。まぁ~全員熱烈なファンだから当然と言えば当然なんだけれど。AKANE LIVさんの歌は、流石プロで声量と音域の広さそして絶対に音程を外さない。出来そうで出来ないそこがプロ。そして美しくスタイルも良しとなれば申し分が無い、人気があるのがうなづける。そこに今回初めてエレクトリックハープが入り流石グランドハープとても演奏がゴージャスでピアノとハープだけとは思えない大迫力に圧倒された。中盤に西脇辰弥氏がハーモニカの演奏を披露した。ハーモニカと言うと僕的に昔のフォーク歌手がフォークギターをかき鳴らして雄叫びの様な下手なハーモニカを吹き鳴らすというか雑音の様なイメージしか残っていないがここで聞いたハーモニカは違っていた。哀愁漂う旋律に演奏者の思いを感情をそのまま音にくるんで、聞いている人の心を直接揺さぶる演奏と音色だった。あ~なんて良いんだろう!何とも言えぬ気持ちの良い演奏が心に深く刺さった!あ~ハーモニカがこんなに良いなんて!きっと如何なる楽器も優れた演奏者の手に掛かれば多くの人を感動させられるのだろう!素晴らしい体験だった!コロナ禍の最中、万全の注意を払って開かれたコンサート。音楽映像の配信も時代の流れなのでしょう。しかし生の演奏に敵う物は何も無いな!と改めて思った。西脇氏が奏でる僕が調律したピアノの音色に聞き入って「やっぱり俺って天才だな(笑)!」といつもより余計に天狗状態になって都内の大渋滞にはまっても上機嫌で帰宅した。

 

 

 

営業再開のお知らせ!

昔から暑さ寒さも彼岸までと良く言った物ですが9月も半ばを過ぎると途端に過ごしやすくなって来ました。9月に入りお客様からのお問い合わせが多くなり「そろそろお願いしたいのですが?」と逆に恐縮するようなお電話を沢山頂いております。ここで弊社の業務の再開をここにご報告させて頂きます。コロナウィルスについては、今まで通り予断を許さない状況が続いておりますので従来通りアルコール除菌の後にゴム手袋とマスク着用を徹底して最善の注意を払ってより一層の緊張感を持ちまして業務に努めてまいりますので皆様、何卒宜しくお願い申し上げます。

2020年は、人々の生活から経済に至るまで近年経験の無い不の連鎖の渦に世界中が巻き込まれて未だ抜け出せない状態が続いています。国の政策でGOTOトラベルやGOTOイートなど支援策が報じられていますが、我々音楽業界(コンサート・エンターテーメント関係)では、ようやく収容人数の緩和という形が報道されています。実際の所は、国も良い支援策が見出せないのか、これで集客が満たされるのか?いたずらに時間だけが過ぎて行く次第でGOTOコンサートなんてそんな支援策は全く報じられていない。プロの演奏家にとってまだまだ厳しい時間は続きそうです。そんな中、10月以降は、レコーディング・コンサート・新規イベントの依頼が増えてきました。中でも世界的に有名なキーボード奏者アレンジャープロデューサーであるTNさんから新たな試みのイベントを企画したので・・との仕事の連絡が入りこの取り組みが他の演奏家の活動のヒントになればと思い今から楽しみでならない。また、コロナウィルス騒動の中ステイホームで自宅に居る時間が増えたお蔭で改めてピアノを弾こうと思ったお客様が多くいらっしゃってピアノ講師の方々と連携を取りながら新たなお客様が増えたりまたは、ピアノ販売・ピアノ修復並びに修理は、あまり影響を受けない業務でしたので休業宣言中も出来る事はやり続けておりました。ただ、ご家庭の定期調律に関しては、春より大幅に予定が遅れております。お客様からのお問い合わせを優先させて頂いておりますが順を追ってご連絡を差し上げてまいりますので何卒よろしくお願い申し上げます。

鎌倉ピアノ芸術社

代表取締役 梅根 恒紀

令和2年1月の出来事

2020年,新年を新たな気持ちで意気揚々とスタートしたと思ったら、もう2月になってしまった。今年は、「今日できる事は、今日やる!」これを肝に命じて士気を高めて仕事に取り組もうと考えています。まぁ~何時もの事ですから最初だけになりそうですが事あるごとにこの目標を思い出して充実した一年に成る様に努力していきます。そんな1月の様子を今回は、記事にしたいと思います。

今年は、1月5日からのスタート。昨年11月に開いたピアノ発表会の録音を編集・マスタリングして出演者それぞれにCDにして配布しなければなりません。今の時代は、携帯でそれぞれ録画しているでしょうから今更CDといってもそうそう喜ばれないでしょうが良い音と音楽性を高めたマスタリングをして良き記念にして頂ければと思います。昨年にある程度の作業は進めていたのですが最終仕上げとなるとまるまる1日掛の作業となった。何度となくそれぞれの演奏を聞き返しての作業になりますが何時ものプロの演奏と違って子供達の演奏には、小さな心の張り詰めた緊張が音に表れていてとても新鮮。途中で間違えて戸惑う様子、緊張でついつい演奏が速くなったり止まりそうに遅くなったり。繰り返し聴いていると今、目の前で演奏が繰り広げられているかの様にリアルな光景が頭の中で蘇ってくる。きっとこのCDを手にした親御さん達もあの日の緊張と心配と不安な気持ちが蘇り、きっと同じ気持ちになる事でしょう。良い思い出として喜んで頂けると嬉しいのだが(笑)。大変でしたがちょっと楽しい作業だった。

昨年から弊社在庫のピアノで仕上がっているが一つの鍵盤が欠けているのでお客様にお見せしていないピアノがある。忙しくてなかなか手を付ける事が出来なかった可哀想なピアノなので「ほっておいてごめんね!」と心の中で謝って全鍵盤交換する事にした。既存の白鍵盤を全て剥がして木部を調整をした後に新しい鍵盤を張り付ける。完全に接着が出来た後に木部からはみ出ている部分をベルトサンダーで削る。まぁ~これが白い粉が沢山出るので完全防護で作業するが、気が付くと顔から頭や全身にまるでパウダーを浴びた様な状態になる。最後は、やすりを手にして人力で全鍵盤を削って仕上げる。2日掛の作業ですが「今日できる事は今日やる!」今年の目標なので他の仕事の合間合間に士気高く作業に取り組んで綺麗に仕上がってようやくピアノ喜んだ・・・と思う。その翌日、初めてのお客様から電話が入る「〇〇先生にピアノを習っている者ですがピアノを購入しようと思うのですが相談に乗って頂けますか?」と電話が入る。この日は、事務仕事で書類と格闘している最中だったのですが「それでは、もしご都合が宜しければ今日これからピアノを見ながら色々と相談に乗りましょうか?」と申し出ると「是非!お願いします。」急ぎスーツに着替えてお迎えに伺った。おっ綺麗な奥様だ!ちょっとテンションが上がり気味で倉庫にご案内した(笑)。ピアノの設置場所の問題や肝心なご予算のお話をしながら色んなピアノをお見せして最後に昨日鍵盤張り替えを終えたあのピアノを弾いて見せると「なんて綺麗で澄んだ音!」と言ってとても気に入って頂いた。昨年、私が忙しくて修理してあげられなかった可哀想なピアノ。昨日出来上がったらもうお客様がついた!ピアノもきっと嬉しくて張り切って良い音出したのかな(笑)?と不思議な気持ちになった。是非、このピアノをお客様に使って頂きたいという気持ちになった。決してお客様が綺麗とか可愛いとかそんな事ではありません・・・決して(笑)。だがちょっと予算オーバー!大出血サービスしてクレジット決済をしてキャッシュバックを計算に入れてめでたく購入して頂いてその翌週無事に納品して、とっても喜んで頂いた。

1月の中旬に調律師の友人から奥様のグランドピアノを買って欲しいと連絡があって浜松に行ってきた。年数は経っている物のほとんど使っていないピアノで外装も内部も綺麗な状態。奥様のご実家に置いてあったらしくご実家の処分に合わせてとりあえず浜松のピアノ工場に運び込んだらしい。さすが旦那が調律師だけあって保管状態は完璧。茶色のピアノで全く色あせも無かった。このピアノを綺麗に仕上げて内部の部品交換や調整を繰り返して良いタッチと良い音に仕上げる。ピアノを隅々まで見回しながら頭の中で蘇った音色がイメージ出来た。新年早々楽しい仕事に出会えて幸先が良い!

そんな中、ピアニストから電話が入る「以前相談したロシアのピアノの件なんですけど、友人が断捨離を進めるので処分して欲しいと言っているんですけど引き取って頂ける?」「はい、良いですよ!早速手配をしましょう」と段取りを組んで引き取った。運送屋の倉庫に入庫した所で見に行くと我々プロが今迄に見た事も聞いた事も無いピアノだった。聞く所によるとそのお客様のご主人がソ連大使館勤務でソ連で中古を購入して持ち帰ったらしい。その時は、燭台が付いていたんだけど近所の調律師に頼んでオーバーホールをして貰ったらしいが、こんな事書くのもちょっとためらうがそれはそれは、ひどい修理と塗装で現状態では、修復不可能。誰も手を付けて無くてオリジナルのままだったら良かったのに!これでは、全く使い物にならない。かなりガッカリさせられた。すると頭をよぎったのが昨年オーバーホールを頼まれたボロボロ再起不能状態のプリマトーンだった。まぁ~あれは、日本製で現代の構造のピアノだったが、綺麗に仕上がった。今回のソ連製ピアノは、恐らく100年以上は、経つであろう代物。鍵盤数も85鍵象牙。このまま廃棄するか迷いに迷ったが、恐らく日本に1台しかないんじゃないかなぁ~と思い直して修理する事にした。丁度、世界各国から仕入れた燭台の在庫もあるし商売にならないが珍しいピアノだから私のコレクションにする事にした。ここまでくると、もう道楽(笑)。仲間に笑われそうだな!

昨年12月の記事「ピアノ調律師として嬉しかった事」で書いた結婚式の件。昨日調律に行って来ました。昨日は、天気も良く海も綺麗でずっと眺めていたい気分。でも明日は、お客様の晴れの舞台いつもより調律に気合とどうか末永くお幸せにと気持ちを込めて作業を終えた。

1月もここには書けない色んな事や出会いがありましたが何だか充実したスタートが切れました。今年の目標である「今日できる事は今日やる!」この歳になって今更といった感がありますが、ここに書き記した以上努めて実行して行きたいと思います。この1月の出来事を鑑みると前向きに充実する様に取り組めている気になって少し楽しい(笑)。きっと途中、中だるみすると思いますがそんな様子を見かけたらどうぞ優しくご指摘ください。