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12月に突発性難聴で入院

2022年12月も残すところ後2日。年を重ねると一年が早い早い。思えば2022年1月早々に関東地方にも雪が積もったその時に弊社のサーバーが漏電でパソコン共々内部のハードディスクが破損。大切なお客様のデーターが台無しになってしまった。高額を支払って業者にデーター復旧依頼もしたが全て無駄だった。この件に関してはもちろんバックアップをしたりと万全の対策をしていたが対策をしていたつもりになってしまっていて、いざトラブルが発生するとその対策の甘さが致命的な事態を招いてしまった。残念としか言いようがない新年のスタートになってしまったが音楽業界もようやく通常活動に戻って忙しくなってきた所にロシアのウクライナ侵攻や急激な円安と不安を煽る出来事が相次いだが一度通常に戻ってしまうと勢いがあってどんどん仕事が増えてピアノも売れてとかなり忙しくなっていた。ここ12月に入って更に忙しさが増した所にどうやら疲れが溜まってしまった様で突然突発性難聴を発症して緊急入院してしまった。ただでさえスケジュールが遅れに遅れているのに12月は、仕事をこなすこともままならずに大変ご迷惑をお掛けしております。また、創業以来毎年欠かさず元旦にお届けする年賀状の準備も出来ずに今回は、データー破損の問題もありまして初めて年賀状を失礼する事になってしまいました。皆様、いつも弊社を御ひいきにして頂いて誠にありがとうございます。弊社は、例年通りにピアノを通じて皆様と音楽業務に徹して活動を邁進しております。12月の入院騒ぎで皆様には、大変ご迷惑をお掛けしました事、大変心苦しく思っております。どうぞ来年も今までと変わらずによろしくお願いを申し上げる次第でございます。今回は、そんな入院のお話を記事にしたいと思います。

天井が高くて残響音が長い円形の会場

ステージが広くてピアノの位置決めが難しい会場

12月13日の夜。突然かなり大きな音で耳鳴りがしだした。何時もの様に自分流の処置をしたがちょっと様子が違う強烈な耳鳴りに不安を感じて殆ど眠れずに朝を迎えた。朝になっても耳鳴りの音は、まったく変わっていなかったのでスケジュールを全てキャンセルして耳鼻咽喉科に行く。診察をして聴力検査などをして先生から「耳を使うお仕事をされているので直ぐに入院をして治療をした方が良いと思います。今日、明日に入院出来ますか?」と聞かれて「明日は、コンサートの仕事がありますので明後日ならいや来週からなら」というと「早い方が良いので明後日に入院で紹介状を書きますので今からその病院に行って手続きをしてください」と言われて急ぎ病院に向かった。そこで新たに診察を受けると「いわゆる突発性難聴といわれるもので原因は、血流が悪くなって起きるとかストレス・睡眠不足色々言われますがちゃんと原因が分かっている訳ではありません。ただステロイドがとっても効果があるという事が分かっています。右の耳の聴力が全般に下がっているので入院して治療をします。高ステロイドとお薬を点滴で入れて様子を見ながら脳の検査もして10日くらいの入院になりますから退院は、12月25日ですね。如何でしょうか?」と綺麗な女医さんに言われたので「どうぞよろしくお願いします。」と全てをお任せする事にした。「今日明日分の薬を処方しておきます。」と言って診察を終えたがそれから入院の手続きに説明やら色々とやたらと時間のかかる事が多くて私の場合は、耳鳴りはしているが体はいたって健康なのでまぁ~良いがこれ具合の悪い人は、この時間で病状悪化するなぁ~とか考えながら時間を費やして綺麗な女医さんにも診て貰ってとっても気分が良いのか入院を覚悟した安堵感か耳鳴りの音がすこし小さくなって来た様な気がした。

鍵盤の小口を全てはぎ取った所

入院前に全てのブッシングクロスと小口を貼り終えて安心した所。

退院の翌日に総仕上げをして完成。後は梱包してお届け。

翌日、朝起きるとほぼ耳鳴りは収まっていた。今日は、随分前から指名で入っていたコンサートの調律。左耳は、まったく問題なく聞こえるので左耳で調律すれば問題ないのですが万一何かあるといけないのでチューナーを持って出かけた。会場は、響きの大きい、残響音の長い天井の高い会場で右耳の具合も問題無く普通に調律が終えた。チューナーを使うとかえって時間が掛かってしまうので普通に短時間で作業が出来る事が確認出来て何より良かった。するとピアニストとクラリネット奏者がやって来て早速、音合わせを始めた。しばらくその音を聞いていたが。とっても良い調律が出来て安心した。急ぎ会社に戻ってお客様からお預かりしている鍵盤修理をある程度やっておかないと年内にお届け出来なくなっちゃう。

体育館は、室温5℃でとっても寒かった。

通常学校のピアノではありえない最高級ピアノ。毎年弊社が手を入れて管理しているので抜群に良い音がする(笑)。

鍵盤のフロント・バランスのブッシングクロスの交換と鍵盤の小口交換の仕事。この修理は、ピアノ調律師の交換修理としては一番多いと思う。現にほぼ毎月この修理をしない月はありませんしこの12月も既に一台修理してお届けしているもっともポピュラーな仕事ですが綺麗に仕上がるとすごく高級なピアノに生まれ変わって弾くと直ぐに判るのでお客様には、とっても喜んで頂ける。鍵盤小口交換もこれは黄色く汚く変色した鍵盤の一部が新品に変わる訳ですから誰でも一目で綺麗になった事が確認できます。入院の前日にこれだけはと思っていた事をやり遂げてなお、耳もほとんど回復しているので入院しなくても良いかなぁ~とも思うのですが、ここは、覚悟を決めて休暇だと思って沢山の本を持ち込んで金曜日から入院した。その日からステロイドの点滴が毎日始まり月曜日に聴力検査をするともうすっかり回復していた。先生は、「もう聴力回復していますね。ただ脳のMRIの検査とステロイドは、徐々に量を減らしていく必要があるので今週の金曜の退院にしましょう。」と早めの退院を素直に喜んだ。入院中は、朝から美味しくないが量は多い食事で苦しんで体は元気なので毎日スクワットを何セットもこなして本を4冊読破した。コロナでお見舞いも一切なく病室のWi-Fiでパソコンは使えるので事務仕事は難なくこなせた。電話で異業種の友人曰く「ここの所、梅根さん仕事詰め込みすぎてるなぁ~と思っていたんですよ。働き過ぎですよ!もうそんなに稼がなくても(笑)!」彼の言葉をそのまま妻に伝えると「だって週休二日にするって言ってたのに全然休みが無いじゃない。働き過ぎなんじゃないの?もう年なんだから無理は効かないって警告ですよ!」とやんわりと叱られた。退院の日から仕事の手配など事務処理を終えて翌日には、あの鍵盤修理を完成させて26日にお届けした。その後、毎年の冬休み学校調律のスタートで年内やれる事は全てやりこなしてどうやら2023年をお迎えする準備を整えました。この一年色んな事がありましたが皆様に支えながら一年を過ごすことが出来ました。また、つたない内容のこの記事も多くの方々に読んで頂きまして心より感謝申し上げます。来年度は更に健康で更なる質の高い仕事を追求する事で皆様の信頼にお応えしてまいります。今後とも鎌倉ピアノ芸術社をよろしくお願い申し上げます。

LESTER PIANO覚悟の修復

2022年も半分が過ぎて梅雨らしからぬ陽気。昔の梅雨は、来る日も来る日もシトシト雨が降り続けてピアノの調子が悪くなる過酷な季節でした。しかし近年は、各家庭の気密性やエアコンの性能が著しく進化してピアノ調律師がこの季節はと過酷に感じる事は少なくなった。また近年の異常気象が一番の影響なのでしょうか?しっとりとシトシト降り続ける梅雨とは随分様子が違って来ている様に感じる。今回は、そんな5月から6月の様子を記事に書き記したいと思います。

コロナウィルス騒動で大人のピアノ人口が増えたと業界報道があった。弊社も新規のお客様に大人の方が随分増えた事は、実感していた所です。また、子供の頃に使用した思い出のピアノを綺麗に大修理したいとの依頼が以前に比べると圧倒的に多くなりました。思い出のピアノを大切にする大変喜ばしい事ですがその作業は、困難を要する。というのは、ピアノ業界全盛期のピアノは、大量生産したので個体差があって意外にも大手メーカーの新品ピアノも根本的に歪な調整のまま場当たり的な調整で出荷された商品も少なからずありました。メーカー問わずどのメーカーも生産が追い付かないが故のピアノメーカー花盛りの事情だった訳です。その様なピアノに出会うと間違いを正す様な正義感でピアノと向き合い正しい寸法に直して良い音に仕上げるのが弊社の仕事だと思って奮闘している。

ご自宅を新築に建て替える間、弊社で保管してその間に修理をする仕事で上記のケースに当てはまるピアノで修理に手を焼く。鉄骨とアクションが歪に湾曲して取り付けられて大きくたわんだ状態。何度も寸法を測りながら位置を決めて調整を繰り返す。ようやく平行が出たら今度は、全てのアクションの整調をするが最初のダンパーは、大方全てをやり直す羽目になる。ピアノ調律師ならば出来れば避けたい作業だと思いますがどうやら避けられない最初の作業になる。覚悟を決めて思い切れば案外何てことなく出来るのだが面倒な作業なのでなかなか重い腰が上がらないのが現状でしょう。もちろん、この作業をお客様宅でやるなんて私も絶対にやりたくない。ただこれが決まるとまるで自分が名医にでもなったような気分でピアノが正当に蘇っていくのを実感できる。

6月に昨年9月にピアノの状態を見に行ったお客様より上品な声で「どうしても、あのピアノを処分する気持ちになれないのでピアノの修理をお願いしたいんです。」と電話があった。昭和41年製のLESTER PIANOでべろんべろんに音が狂っていました。各所に著しく音の下がった所が何か所もあってピンズルである事が触っただけで確認できた。ピアノを慎重に観察すると17年前までは毎年調律されていましたがチューニングピンが緩く2本太いピンに交換してありましたが既にそのピンのトルクも緩くなっていてその横方向のピンが全てピンズル。すなわちピン板が割れている可能性がある。響板も割れあり過乾燥であった事が想像出来た。お客様に聞いてみるとすごく初期の全館空調が入っていたそうで今は、壊れていて使ってないとの事でした。私は、ピン板の交換やその他木工修理に塗装と概算でもかなりお金額になる事を告げました所、また、その金額でしたらもっと良いピアノが買えますよと提案したがお父様が買ってくれた思い出のピアノなので他のピアノにする気は全くないと仰られてお客様宅を後にした。9カ月ほど経ってお気持ちが固まったとお電話頂いた次第です。先日ピアノを引き取ってざっと調律をしてみるとやはり調律が出来る状態ではありませんでした。これからピアノを分解してピン板から全てを作り直して新品のピアノの様に再生するお仕事。難しい仕事なので、たっぷりとお時間を頂いて綺麗に仕上がるまで何度でもやり直して上品なお客様に見合う綺麗なピアノに仕上げるのは、重責を担うがとってもやりがいがあって楽しみでならない!

4年程前の話ですが、長い間お世話になっているピアニストから電話が入る。「お世話様、○○です。来月あたりに八千代市に引っ越す事になったんですよ!ピアノの移動と調律をお願いします!」「八千代市って何処ですか?」「八千代市知らないの?千葉よ、東京のちょっと先だからそんなに遠くないのよ・・・住所を教えるから・・・」と移転先が何処なのか良く解らないままに強引に押し切られた。大変お世話になった先生なので少々遠くても喜んでお伺いしたいと思って地図で調べるとまぁ~遠い遠い片道2時間半掛かります。最初は、ちょっと気が重くなりましたが弊社で高価なグランドピアノを2台購入して頂いて長年大変お世話になっている大先生ですから喜んでお伺いさせて頂く事にしました。ドライブ気分でコロナ過も関係無く年2回程お伺いして今年も3月にお伺いしたのですが5月の金曜日、昼過ぎに電話が入る。「お世話様、○○です。弦が切れちゃったわ、高い所のFisの音。遠くて申し訳ないけれど来て頂ける?」「もちろんお伺いします。」「お忙しいでしょうからご都合のいい時に直ぐ来て欲しいわ(笑)。」「それは、急いで直ぐ来いという事ですね(笑)?」というと「ご都合付くのかしら?」「明日の土曜日は、朝一番で倉庫にピアノの入荷があります。それが終え次第そちらに向かいますから先生の都合は大丈夫ですか?」と告げると「助かるわ~じゃ~明日待ってるわね!」と嬉しそうに電話を切った。翌日、いつもの運送屋さんが朝一番早々にやって着て9時過ぎ早々に搬入作業を終えたので急ぎ八千代市に向かった。コロナの外出自粛規制解除もあって高速道路は、かなりの交通量で渋滞もありののろのろ運転で混雑しているがお昼前にピアニストの家に着いた。直ぐに作業をして12時には、全ての作業が終えてしまった。ピアニストのお主人様がピザトーストを調理して3人で雑談をしながらのお昼ごはんをご馳走になった。お主人様が「今日は、ご予定があったんじゃないですか?いつも無理ばっかり言って本当に申し訳ないと思って居るんですよ(笑)。」「いえいえ、今日は朝一で倉庫にピアノが入ったのでその後、そのピアノの整備でもしようかなぁ~と思っていた所に先生から電話でそれは何をさて置き、いの一番で駆け付けなければと丁度良かったです(笑)!」すると先生が「この後は、会社に帰って作業なさるのかしら?」「いやいやこれから帰ってももう今日は作業にならないですよ(笑)ちょっと早く来すぎちゃいましたね(笑)」というと「ここの近くに京成バラ園があるんだけどちょうどバラが満開よ!寄っていかれたら!」と言って一緒に京成バラ園に向かった。一面色とりどりの満開のバラに圧倒される。なんて綺麗なんだろう。年を重ねるとバラの美しさと香りが身に染みる。とっても贅沢な時間を過ごしたが物凄い人出にコロナ大丈夫かな?と思わず心配になる!。そしてバラ園の綺麗なお姉さんに勧められて初心者用の香りの強い「プリンセスヴェール」というバラの苗木と薬や土などなど色んなものを勧められて買い込んで上機嫌で帰宅した。すると妻が「一人でバラなんて買い込んで来て・・・」と不機嫌になった。というのは、私も京成バラ園に行きたいとその様な訳で次の土曜日に妻のご機嫌を取る為にまたまた京成バラ園に向かった。見事なバラの美しさに妻も上機嫌になってバラの苗を4鉢追加購入した。翌日は、一日掛けてつつじを全部抜いて計5鉢のバラを地植えしてその後、3週間に渡って毎日バラが咲き乱れた。YouTubeでバラの育て方を沢山見過ぎてちょっと混乱しているが毎朝、水やりをして見事に咲いているバラをひとしきり眺めてから出かける素人丸出しの日々が始まった。何より義母と妻が大層に喜んで家庭が明るい。女性は皆いくつになってもバラが大好きなんですよ。まるで猫とマタタビの様に!とFacebookでお友達の著名な園芸家が教えてくれた。60代にして初めて興味を持った薔薇の世界に今はとってもワクワクしている。何せ女房の機嫌が良いから家庭が明るくて安心して日々の生活が送れます。凄いなぁ~薔薇って奴は、やっぱりマタタビなんだなぁ~(笑)!