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過乾燥ピアノの管理方法

今年のスギ花粉は、例年より大幅にパワーアップな様で朝、車に蓄積されている花粉の量が半端ではありません。もうそれを見ただけで目がかゆくなる!しかし今朝のニュースでは、まだスギ花粉の5%しか飛んでおらずこれからが本番だと・・・なんて恐ろしいニュースなんだ聞きたくなかったなと消沈した。そんな中、某ショッピングセンターのお菓子売り場で父親と男の子の会話が耳に入った。父親がやさしく「そんなに嫌なのか?」男の子は、悲しいオーラを全身から発しながらこくりとうなずいた。私は、その悲しいオーラに幼い男の子にどんな嫌な事が起こっているのだろう?ととっても気になって聞き耳を立てた。するとお父さんは、やさしく子供に寄り添うように「ピアノが弾けるようになると楽しいぞ!もう少し続けてみたらどうだ?」男の子は、全身で拒絶するように微動だにしない。「○○〇の音楽教室は、直ぐそこだよ。折角ここまで来たんだから今日は行ってみようよ」と言うと首を横に振って全身から拒否の信号を最大限に発信した。その様子に父親は、「そんなに嫌なのか?分かったよ。じゃ~帰ってお母さんに話してみようね!」と言うと男の子は、とっても申し訳なさそうに父親と目を合わせた。とても温厚な素敵なお父さんといかにも育ちの良さそうな子どもに見受けられた。でもそんな家庭の母親は・・・なんて書き込むと炎上しそうなのでここで切り上げますが子供のピアノ教育は、昔に比べると教則本もシステムもかなり進化して取り組みやすく興味が沸く様になっているはずなのにこの会話の様な事は、昔も今も何ら変わっていない。何か根本的な所が違っているのかもしれない。今回は、音楽教育の話は後回しに別の機会にしてピアノの管理方法について取り急ぎ書き記したいと思います。ピアノ調律師さん達からは、厳しい意見が寄せられる可能性があるかな?~炎上するかな?(笑)!とも思うがちょっと気になっている事なので少数意見却下でまぁ~どんと来いです(笑)!

正面の壁にエアコンがありピアノに風が直撃する。

加湿器の蒸気がピアノに降り掛かっている様に見えるが実際は、少し距離はある。低音のピンのトルクも戻って完全にピアノは安定した。

 

 

ピアノ調律師が多く参加するSNSサイトが幾つかあってそのほとんどが技術的な事から各メーカーの情報からコンサート情報などなどピアノに関する情報でつながってなかなか有意義である。しかし中には、一部の自称調律師や自称ピアニストなどの投稿者によってちょっと乱され炎上を繰り返しているサイトもあるから気を付けなければならない。また投稿されている方々の顔ぶれは、ピアノ調律師・ピアノ愛好者からピアノ講師にピアニストなどでそこに書き込みされる顔ぶれは、大方決まっている。毎年このシーズンは、ピアノ調律師のメンバーのアップで学校のピアノについて調律に行ったらこんな酷い状態だったとかこんな所が壊れていたとか状態の悪さ自慢、大変だった自慢(笑)?するとどう修理したんだ?の書き込みに始まってそれぞれ技術談義の書き込みが始まり時々それよりは、こうした方がより良いと書き込みに熱が入ってるが、それはそれで世の中には色んな方法や考え方があると勉強になる。それがSNSの良い所なんだろうとも思う。そんなサイトで最近増えたのが冬場の乾燥に対するピアノ管理方法について。SNSでは、主にグランドピアノの過乾燥の対処法についてのアップがされています。私も知らない方法で鉄骨のサウンドホール。鉄骨の穴の開いた所にクロスを敷いてコップに水を入れて管理する方法でした。恐らくその方法を試した調律師は少ない様であからさまにダメだと云う書き込みはありませんでしたが何となくそんな方法良くないんじゃない???みたいな空気が漂う事になっていたがサイトの主催者の機転で炎上はしなかった。私が感じるのは、どうして何時もグランドピアノの話なのか?さもなければ高級ピアノの話ばかりなんだろう?という事です。多くのお客様は、お子様が弾くアップライトピアノをお持ちでリビングの床暖房か全館空調でお困りの方です。大昔に私は、タッパーに水を入れる方法を老人施設にあったアップライトピアノで試してみました。過乾燥によるトラブルで色んな調律師がお伺いしたが当時うまく対処できなくて回りまわって私がお伺いした。古いピアノで乾燥が進み過ぎて低音部のピンズルは、致命的で全く保持が出来ないピンが沢山あった。困り果てて酷い所は太ピンに打ち変えて会館からタッパーを借りてそこに水を入れて管理する方法を試した。なみなみ入れた水も2日でからっぽになるので如何に乾燥しているかが分かったと同時に会館の方が忘れずに2日に1回水のつぎ足し続けるのは、無理だと分かった。別のお客様宅で全館空調でピアノの場所の湿度が30%を切る絶望的なケースで同じく下パネルを開けて器に水を入れての管理を試した結果、効果は敵面にあるのですが問題は、お客様の負担が大きくて続かないという事。子育て中の奥様は、そもそも忙しいのでそんなピアノの事ばかり構っていられない訳で当然の事なのです。よって暖房器具の設置場所から風向きに加湿器の設置場所まで数年掛かりで試行錯誤して今ではようやく安定した状態を保っている。そもそもピアノの最適な温度・湿度は、室温15℃~25℃・湿度50%~60%と言われていますがまぁ~年間を通してそれを維持する事は、大方無理な話ですから私は、人間が暮らしやすいとピアノも過ごしやすいんですよ!と言うようにしている。ちょっと湿気が多い方がピアノは、管理しやすいのです。もっと言わせて頂くと湿気が多い位の方が管理は簡単で過乾燥は、致命的にピアノが壊れます。冬場のピアノの管理法は、お客様の負担にならない方法を考えないと結局は続かなくてピアノが酷くなって子供も弾く気がしなく成ってピアノをやめてしまう。そんな悪循環になってしまうと元も子も無い訳です。数年前に娘宅にピアノを移動してから過乾燥の兆候が表れていた長年の客様宅で上手く成功した方法ですが加湿器の蒸気を思いっきりピアノの方に向けて当てちゃっても大丈夫な位に大胆な方法です。といっても人間蒸気が当たってピアノがびしょびしょになると誰でもいけないと思うので不思議と丁度いい状態になっています。この方法は、在宅の時しか暖房や床暖を入れないので在宅の時しか加湿器もスイッチを入れない訳です。四六時中入れぱなしでは無いので大事には至りません。まぁ~何かあったら弊社ですぐに修理するから心配いりません(笑)!ただ別のケースで昨日友人宅の新型全館空調で昨年お届けしたグランドピアノが過乾燥で大変な事になってしまった。ピッチは大幅に下がって低音部のダンパーガイドレールが少し反って音が止まらない状態。冬場は、床下の温水パイプで温められた空気が噴き出すのではなく優しく循環して家全体を24時間温める続ける方式で自然でとっても暖かいので他の暖房器具は、一切使わずに済む位に優しく暖かいが乾燥している。その友人宅の調律修理調整中に加湿器を買いに行ってもらって空気の対流とピアノの状態を考えてピアノに吹きかけて管理する事にした。こちらの場合は、少し様子を見る事になるがまぁ~どうにかなったら修理すればいいやと腹を決めて乾燥に挑んだ!年々進歩して行く空調関係と建築技術。便利になって生活しやすくなって良い事ですがピアノにとって思わぬ弊害が表れちゃったので我々も試行錯誤ピアノ管理方法をバージョンアップしていかなければなりません。いくつになっても勉強勉強です。そのバージョンアップの情報収集となる簡単な方法がSNSの利用です。日本中いや世界中会った事の無い人達とコミュニケーションが取れて情報が収集出来るなんて。ちょっと前では、考えられないまさに夢の様な世界になりました。ピアノレッスンもコロナをきっかけにリモートレッスンが急速に進みました。音楽エンターテイメント業界は、どの業界より先陣を切って配信事業が当たり前の中、YouTubeライブ配信などタイムリーで面白くて便利で何より楽しいサービスが新しいビジネスを生んでいきます。私は、その進化に置いてけぼりにされてしまいそうですが、音楽に垣根は無くクラッシックにロックにポップス・ジャズに演歌と音楽は音楽、色んな音楽を自由に簡単に楽しむ状況は皆さん既に整っています。こんな時代だからこそ音楽が支えとなり心豊かに過ごせるように更に面白い事にチャレンジ出来る様に楽しまなければなりません!期待と夢は、年甲斐も無く膨らむばかり・・はじけなきゃいいけどね(笑)!

 

スタンウェイのアグラフ折れました!

2023年気持ち新たにスタートしたと思ったらもう2月。昨年12月の入院騒ぎで益々スケジュールの遅れが生じて御ひいきのお客様には、大変ご迷惑をお掛けしております。未だ完全には解消できておりませんが徐々に解消して来ておりますのでもうしばらくお待ちくださいます様お願い申し上げます。なお緊急の不具合などご連絡を頂けますと最優先で対処しておりますので遠慮なくご連絡くださいます様お願い申し上げます。今回は、そんな緊急のお仕事など最近の様子を記事にしたいと思います。

音楽教室のグランドピアノ 

新年、最初のお仕事は学校調律でした。昨年の10月位からの予約で学校が始まると同時に2日に分けての作業。1月から3月末の年度末まで続く学校調律は、体育館から音楽室に視聴覚教室などと13㎏の調律鞄を持って歩き回るのだから結構疲れる。学校って広いなぁ~と改めて思うのと同時に先生方、体力付くだろうなぁ~なんて思いながら作業に取り組むが何はともあれこの時期の学校は、寒い!これから2月3月と思いやられる!

体育館のグランドピアノは、湿気を吸い込んでいる。

横浜市立の学校は、どこも神奈川県立の学校と比べてピアノが圧倒的に新しくて素晴らしく良い。これが学校のピアノ?と思えるくらい良いピアノが入っている。同じ神奈川県なのに財布が違うとこんなに違うのかと唖然とさせられる。ただ、そんな良いピアノが入っていても過酷な環境の学校ピアノでは、調律が適切で無かったり十分な作業が施されていなかったりするとさっぱり良い音がしない。それを敏感に感じる音楽専科の先生方が不満に感じるのは、当然の事です。学校調律の問題点をここでは、あえて書きませんが以前の記事を読んで頂けると大方の事がご理解頂けると思います。ただピアノ調律師がしっかりと仕事をすれば何ら問題は無い訳です。しかし学校調律を単なる収益先として捉えれば最低限以下の仕事しか出来ないと云うのは現状でしょう。私は、日本人誰しもがお世話になって来た学校であるからにして恩返しのつもりで誠心誠意学校のピアノに向き合い社会人としてボランティア精神で作業に取り組まなければならないと考えています。ただ、めちゃめちゃ寒いんだ体育館!

ネジがぽっきり折れたアグラフ 3つの穴の中にそれぞれ弦が通る。

初めてのお客様から電話が鳴った「もしもし、初めまして○○に住む○○と申します。実は、スタンウェイのグランドピアノを持って居るのですがアグラフが折れてしまったので修理をお願い出来ますか?」と「はい!出来ますよ。」と言うとすぐさま「え~良かった!色んな所にお願いしたのですが全部断られて御社が4件目です。」と言われた。「アグラフが折れたんですよねぇ?」と不安になって聞き返すと「3本張りのアグラフです。調律師の方にいらして頂いてこれは、鎌倉ピアノ芸術社さんにお願いしてみてくださいと言われましたのでお電話差し上げました。」との事でした。その調律師さんを私は存じ上げませんでしたが、さすが同業者、弊社にどう伝えたら良いかか親切丁寧に分かりやすくお客様に伝えて頂いて居たので直ぐに部品を取り寄せてお伺いする事が出来た。

アグラフ交換した所だけ金ぴかに輝いでいる。

かなり使い込んでいるスタンウェイ。

グランドピアノのアグラフが折れる事は、珍しい事では無いのですがそうそう頻繁にある事でもありませんので調律師が全員交換の経験がある訳でないようです。また、それなりの工具も必要となる上に今回の様な交差弦のアグラフ交換は、一番厄介で何より面倒である。私は、何度も交換経験があるのでそれなり、いやそれ以上の工具を持っている。何時もの様にチャンチャンと折れたネジを取り除いたら終始その様子を横で見ていたお客様は、思わず「お~取れた(笑)!」と思わず声があがって笑いあった。新しいアグラフは、ぴったり方向が合うまで幾つか付けては外しを繰り返してようやくぴったり合った。お客様は、その様子を見ながらとっても嬉しそうにニコニコされていた。3本の弦を外しては、はめるの作業は、それなりに時間が掛かる。ようやく出来上がると交換されたアグラフだけがピカピカと輝いてその存在をアピールしている。それから調律に入りピアノを安定させて作業終了!かなり狂ったピアノの調律を合わせると3時間ちょっと掛かった。お客様には、綺麗に仕上がったピアノの音色にととっても満足してい頂いた。その後、美味しそうなお茶菓子を出して頂いてしばし色んな雑談に花が咲いて夕食の時間を大幅に過ぎた所でお土産まで頂いてお客様宅を後にした。新たな出会いに感謝をして都内の大渋滞へ車を走らせ帰路についた。

ベーゼンドルファーのダンパー部

昨年暮れにお伺いするはずのお客様。ご主人様は、声楽家で奥様は、ピアニスト。ピアノは、ベーゼンドルファー。ここ数年、湿気と乾燥の影響でダンパーの戻りが悪くなって来てその場しのぎの対処でごまかしていたのですが、その数がかなり多くなって音が止まらなくなって来たのでそろそろ根本的に修理をしなければと。ただその作業は結構いや かなり いや相当大変で調律師誰しもが一番やりたくない作業の一つだと私は思う。それに時間も掛かる。そこで12月のレッスンが全て終わった後の年末に半日空けて貰ってダンパー修理と調律にお伺いする予定にしていたのだが私の入院で年を越してしまった。今年になって新たに先生に予定を空けて貰った。昨年既に覚悟を決めていたので新年になろうともその覚悟は変わらず気合を入れていや、ご迷惑をお掛けした分更に気合が入って作業に取り掛かった。ダンパーアッセンブリーを取り外すといってもダンパーを全て外す訳ですから終わったら取り付けてダンパーの走りからダンパーの掛かり、総上げと総下げにソステヌートの調整。結局ダンパーに手を付けると全てをやり直す事になる。それに加えてヤマハ・河合のダンパーアセンブリーを外すのは、大変ではありませんが、ベーゼンドルファーは、ちょっと面倒臭い。言い方を変えるとかなり頑丈に取り付けてある(笑)。当然、取り付けも大変。正直な所、ヤマハ・カワイピアノのダンパーの取り回しは、とっても扱いやすいとつくづく感じる。スタンウェイの場合は、ビス止めじゃなく接着されていて物凄く厄介は時代のピアノもあるし元々ダンパーアセンブリーの構造が少し違う。これは、SHIGERUKAWAIも同じくでスタンウェイのをパクったのかな?なんて無責任に書いちゃうと叱られそうだが、いずれにせよとっても調整が難しい部分であることには間違いない。先生のベーゼンドルファーは、取り外すと大半がスティック状態で相当数のセンターピンを交換する事になった。また、ダンパーワイヤーの滑りが悪いので当然ワイヤーを磨いて取り付けて調整をしてそれから調律をして昼から夕食時間過ぎまで掛かった。この作業も調律師全員がやった事があるという訳では無いであろう。ピアノ全盛期の時は、調律師の仕事は、調律だけする人、修理する人、販売する人と分業制。と言うかピアノが沢山売れていて調律師が少なくて調律が間に合わなかった為に自ずと分業になってしまった。今は、もう違います。調律も修理も調律師はピアノの事何でも出来なければなりません。ご自身で修理して調整して手塩にかけて仕上げたピアノは、大切に使ってくれるお客様に買って頂いてそのピアノをずっと調律したい。古い人間だとお思いでしょうがそれが調律師のあるべき姿、調律師の仕事だと私は考えます。