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2024年11月の様子!鎌倉プチロックフェスティバルVol.10開催される。

2024年も今日から12月。年を重ねる毎に加速度的に一年が早く過ぎ去って行く。きっとこれが正しく年を取って行くという事なんでしょう。そうなると自分の体調や家族の体調そして介護などと病院と仲良く過ごす事が必然になって特に10・11月は、お仕事の様に色んな病院を駆け巡ってその合間をぬって精力的に仕事に精を出した。今回は、合間をぬった仕事の様子を書き記したいと思います。

11月3日に第10回鎌倉プチロックフェスティバルが開催された。一口に10回と言えども過去に天気に恵まれずに当日中止を余儀なくされたりコロナ過で開催が見送られたりと主催者とその仲間たちの苦労は想像を絶すると思う。弊社は、プチロックのピアノを倉庫で預かっていて当日に合わせて調整して搬入してまた引き取って倉庫に戻したら手入れをしてと陰ながら協力している。今回も10月29日と10月30日の2日がかりで弊社倉庫で調律・調整をして準備をしたが、その時点で開催日の天気予報は、弱い台風の通過による大雨と強風と最悪の予報で開催が危ぶまれる。毎回であるが主催者は、ヤキモキと胃に穴が開く思いだろう。また、弊社も折角の労働が無にならない様に正に連日の神頼み。

年2回のフェスティバルに向けて毎回事前に調整して準備する。

天気に恵まれたが強風に煽られてスタッフも大忙し

開催当日は、弱い台風は熱帯低気圧に変わり少し北にそれて通過したので最悪の予報は外れたが会場の海浜公園は、時折荒れ狂う風に見舞われテントが壊れたりとスタッフは大忙し。弊社も朝9時前にピアノを搬入してテントが飛ばされないかドキドキしながら調律をして万全の準備をした。幸いな事にフェスティバル開催時間には、晴天になりだんだん風も収まり大勢の観客で賑わった。連日の神頼みが功を奏した気がしてそっと胸をなでおろし主催者達の労をねぎらった。

古くて汚いブライドルテープを取り外す

綺麗に貼り替えた状態

そんな合間に初めてのお客様より電話があった。「恥ずかしいんですがとっても古いピアノなんですが音が出ない所や鍵盤が上がってこない所が何か所もあって見て頂けないでしょうか?」「勿論、お伺いさせて頂きます。ピアノは、どちらのメーカでしょうか?」と聞くと「YAMAHAで50年位前の物なんですけど別の方に毎年調律に来てもらっているのですが古いので大掛かりな修理をしないと直らないて言うんです。失礼なお話ですがセカンドオピニオンて言うんでしょうかホームページを見て是非一お願いしたいと思ってお電話しました。」と言われるとちょっと嬉しくなって直ぐに予定を決めてお伺いした。ピアノはヤマハの茶色の大型ピアノで毎年調律しているのにめちゃくちゃに音が狂っていた。中を確認すると鎌倉特有の湿気で機械の動きが悪くなっている事が原因とちょっと乱暴に修理された様でブライドルテープのチップがちぎれている所が沢山あった。とりあえず全く音の出ない所を数か所修理して調律をするとチューニングピンのトルクは適正で問題無く綺麗に仕上りとても良い音を奏でてくれた。お客様に弾いて貰うと触った瞬間に「うわっ!!」ちょっと驚いて「こんな綺麗な音になるんですね~(笑)」と満足げに喜んで頂いた。ただ、湿気による機械も動きやブライドルテープの破損は、ちょっと費用が掛かるが機械自体をお預かりして修理しなければなりません。それを告げて費用とお預かり期間を伝えると二つ返事で「お願いします(笑)」と言われるのでそのまま機械をお預かりして直ぐに作業に取り掛かった。湿気による機械の運動不良は、まぁ~調律師にとって修理のイロハですが根気がいるこの作業は、熟練か否かは、歴然と時間と仕上がりに現れる。うまい具合にブライドルテープを全て交換するので手順として都合が良い。ついでにハンマーの整形にハンマーの裏側に針を刺すことにした。このハンマーの裏側に念入りに針を入れるのはお客様宅では、中々上手く行かないので心置きなく短時間に効率よく作業が出来る。この様なケースは、お客様にとってとってもお得だなぁ~何て自分の手際の良い作業と仕上がりに「どうよ、他じゃ~ここまではやってくれないぞ~!」と恩着せがましく機械に語り掛けて悦に入った!

マイクセッティングの真っ最中

昨日は、以前弊社で働いていたピアノ講師がご自身の演奏を記録に残したいと録音のお仕事でした。前日に車に機材を積み込んでと言っても録音機材って量が多くて兎に角重いんです。朝9時に会場入りして調律と整調と云うのもピアノが温まるまで時間が掛かるので整調やら整音やら他の作業をやりながら上手く時間配分を組み立てて思い通りに仕上がった。次に車から機材を下ろしてセッテイングをしてるところに先生が到着。早速ウォーミングアップでピアノを弾いて貰ってその間に録音機材の調整をしてと大忙し。夕方までかけて何回も何回も演奏を繰り返して最終的に良い状態の録音が出来た。先生もこの日の為に長い時間を掛けて日々練習に練習を重ねた事でしょう。その成果を記録してあげられた事とっても意義のある事で疲労困憊ではあったがとっても充実した嬉しい時間だった。先生は、一日も早くCDを手にしてじっくり聞きたいと思うのは当然なのですがレコーディングは、これからが大変です。編集からマスタリングという作業を経てCDにするのですがこれが良い音に仕上げるにはとっても時間が掛かる。それに12月は、コンサートにクリスマスイベントにピアノ販売など大忙しに加えて病院にも行かなくてはならないし色んな事が大忙し。仕事と病院の合間を縫ってCDを仕上げて上手に段取りを組み立てて何て考えていると「この調子ならまだまだ元気に現役行けるなぁ~!」と妙に活力が湧いて来る。忙しさという幸せを噛みしめながらお正月は何食べようかなぁ~とほんのちょっと考えただけなのにもうお正月の買出しの事で頭がいっぱいになって来た。あ~これも元気な証拠なんだろうなぁ~(笑)!

慌ただしかった2024年10月

2024年の秋は、その気配を感じたと思ったらまた夏日とその繰り返しで道行く人も短パン半袖、真夏の格好かと思いきやダウンベストやコートを着込んだ人。もう何を着たら良いのか正しく判断出来ない位に気候の変化が人々の暮らしに影響を与えているようだ。そんな中、仕事もプライベートもちょっと慌ただしくしていたので前回のクイーンのコンサート以来ホームページをアップ出来ておりませんでした。気が付いたら10月も残り僅かなので急ぎ近況をアップしたいと思います。

9月7日のクイーンのコンサート翌週14日は、国内外でご活躍の鈴木隆太郎さんのコンサートが開催された。前回と違ってショパンにラフマニノフとクラッシックピアノコンサートです。一週間前にフレディのピアノの音に仕上げたピアノは、コンサートが終わった後に元に戻す作業をしていたのですがやはり鎌倉に関わりのある著名なピアノニストのコンサートなので気持ち新たに念入りに音造りから手を入れる事にした。まぁ~クイーンのコンサートで根本的に手を入れていたので今回は、その延長で時間内に丁寧な作業が想像通りに進んで万全な準備を終え本番を迎えた。前回のホームページを読んで調律師の知り合いから数人ロックとクラッシックの調律ってどう変えるんですか?と質問を受けた。これを電話で説明するのは、大変難しくて相手がどんな音楽を聴いて来たのか、ロック・ポピュラーそしてクラッシックにどれだけ精通してどういった感性をお持ちなのかによる。なんて書くととっても難しい様に思われるがそんな事は無くてどちらも弾き手が気持ちよく弾けるように準備するただそれだけです。ただそんな説明では誰も納得頂けなくてちょっと困った。ご自宅で気に入ったCDを聴く時に何時もボリューム5とか6とかそれぞれにお決まりの音量と云うのがあるのですがクラッシックのピアノソロアルバムを聴くと何だか音が小さいなぁ~と感じてボリュームを2~3上げて聴いた事を経験されている人は、沢山いるはずです。ダイナミックレンジの広いピアノの音を録音するという事は、ピアニッシモからフォルテまでの音量の差と音色・倍音を隈なく録音する。そしてそれを再現する時に色々と厄介な事にぶつかる訳です。アコースティク録音の難しい所ですが逆に言うととってもシンプルで全体の音圧を下げれば問題は解決の方向に向かう訳です。ロックなどはドラムにベースにエレキギターやキーボードを大音量で演奏するのでピアノの音はかき消されてしまいます。そこでプロのエンジニアがかき消されない様に工夫をしてくれます。その工夫の方法や手順を担当調律師は、知っておく必要があります。すなわち調律師自身が録音やそのオペレーション(工夫)を体験しておく必要がある訳です。それなりの機材やその扱いのレクチャーを受ける必要があるので興味の無い調律師さんには厄介と云うか面倒なのでお勧めしませんがそういった努力?興味をもって作業に取り組む必要がある訳です。またその世界は、とっても奥が深くて私も未だに満足のいくオペレーションが出来た事がありませんが何回やっても何回やり直しても飽きない調律師として特別な世界がそこにあります。なぜならば細かな音までこだわりを持って調律して作りあげたピアノの音を録音して、その音が如何に原音に近いかそれは誰の耳よりも調律した本人が一番正確に判断する事が出来る訳です。ピアノ調律が記録として残る唯一の手段ですからピアノ調律師ならば興味が湧かない筈がありません。調律師として格別な世界がそこに存在します。我々は、ジャンルを超えて色んな音楽を知る努力を怠ってはいけません。ちょっとマニアックでつまらない説明文になってしまいましたが質問者に対してフォローのつもりで書き記しました。どうぞ勘弁してください(笑)。

2024年、弊社は不思議と新品のピアノが売れている。ここ数年新品のピアノの定価が上がり続けている事が起因しているのか?この10月1日にもYAMAHAのグランドピアノにShigeruKawaiが値上げとなった。グランドピアノの場合、値上げと言えば1万2万ではなく数十万円単位なので消費者にとってはとっても大きな金額です。昔の様に子供が居れば即ピアノなんて時代は、それこそ時代遅れで電子ピアノも安価で随分良くなっています。何時まで続くか分からない子供の為にいきなり新品100万円のアップライトピアノを購入するご家庭は、決して多くは無いはずです。と言っても中古ピアノも50万円以上なんてそれなら電子ピアノ10万円てな訳になるのは当然で今時の若き世代は、お金の使い方や商品の見極めがとっても上手で子供が本当に好きと分かったら電子ピアノからいきなりグランドピアノに買い替えてなんて具合に時代が大きく変わってしまった。これが本来の消費行動なんだとお若い世代に教えられる。

 

10月上旬にピアノの先生からお友達の子供がグランドピアノを探しているので相談に乗ってくださいとメールが来た。早速お電話を差し上げてみると場所から予算から色々と制約があって色んな展示会などに出かけて大方機種が決まっている様でした。私は、「とりあえずYAMAHAもKAWAIもありますからとりあえず弾きに来てください。それからゆっくりと考えられたら良いんじゃないですか?」と言うと翌日に弾きにいらした。お母さん、息子におばあちゃんの3人揃で最初にYAMAHAの手塩を掛けて調整したピアノをお母さんに弾いて貰った。「あ~素晴らしい音。とっても弾きやすいし綺麗」と言ったがきっと高いんだろうなと緊張した様子。次に息子さんに弾いて貰うとこれが中々センスが良くて何よりピアノが大好きオーラが凄くてあ~なんか良いなぁ~と眺めていると突然リストの魔王を弾き始めた。これは、私も大好きな曲で何だかこの親子に弊社のピアノを使って欲しいなぁ~とちょっと思っちゃってちょっとこっちのピアノ弾いてみてとそしてこっちも弾いてみてと色々と音の違いやタッチの違いを説明して私が明るい音やまろやかな音そして迫力のある音を実演すると驚くことに短時間にピアノの音の聴き方と云うかどういった音が良い音なのかを理解された。弊社のピアノは、大方以前私が販売してメーカーの工場まで行って数台の中から選定してお届けしたピアノです。最初から当たりピアノで身元がはっきりして私がずっと定期調律をしたピアノばかりなのでこの縁深いピアノは、おいそれと誰にでも販売という訳には行きません。本当に大切にずっと使って頂ける方のお宅に嫁がせたいと願ってます。今回のお客様には、どれもご予算とピアノのサイズが大きくオーバーするピアノばかりでしたがとってもピアノ好きそうな一家だったので大胆な条件を提示した。提示した瞬間にちょっと大胆過ぎたか?と一瞬後悔がよぎったが、男の子のピアノ大好きオーラに魅せられてピアノの幸せを望んだ。後日、お電話で購入が決まってとっても気分が良かった。さぁ~お届け迄に最終調整をして最高の状態でお届けします。嫁入りの支度を万全にしてその日を待ちわびる秋麗の候。ちょっと寂しくなるが素敵な縁に恵まれた。