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2023年、暑い最中の作業!

2023年7月今年も半分を過ぎました。例年ならいやちょっと前ですと6月7月は、長梅雨で来る日も来る日もシトシトト雨が降って憂鬱な季節。気を許すと食パンにカビが生えていたり下駄箱の革靴にうっすらとカビが生えたりと被害と言えばそんな程度でした。それが今では、毎年連日の線状降水帯による想像を超える降水量を記録して水害・土砂災害で命を失ったり財産を失ったり以前の梅雨とは様子が余りにも違い過ぎる。明日は我が身とただただ恐れをなすだけで自然の猛威に対抗する術は何一つありません。この度も被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。今回は、そんな憎々しく暑い6月7月にピアノと格闘した様子を簡単に記事にしたいと思います。

鍵盤の小口貼り換え 変色した小口を新品に

鍵盤ならし・あがき 白鍵黒鍵の全ての鍵盤の高さを合わせ次に深さを全て綺麗に合わせる

コロナ騒動以来、国内の新品のピアノの在庫というか生産が追い付かないのか購入して頂いてもお届けに10カ月待ちなんてザラで中には、1年以上待たされる。勿論ピアノに限った話では無いのは重々承知している。半導体不足で自動車に住宅設備は、ことさら深刻な問題ですし家電製品加えて電子ピアノなどなど作りたくても作れない。そんな状況でしたが最近それも随分と解消されて来ている。今年の初めに友人が車を購入して「納車は、10月だって」なんて話を聞いていたが先日電話があって「7月末に納車だって、早くなっちゃったよ(笑)。半導体不足も随分解消されてきたみたいだね~!」と喜ばしいニュースを耳にした。しかし何故か半導体使ってないピアノの納期は相変わらずで定価もどんどん上がっている。当然、中古のピアノも買い取り価格の高騰と修理部材や塗料の高騰によりひと昔の新品の値段以上になってしまっている。となると中古のピアノと言えどもとにかく丁寧に手を入れて値段に見合った商品に仕上げなければならない。音、タッチに消耗部品など見えない所の些細な部分まで存分に手を入れる事は勿論の事。外装は、新品かな?と思える程の仕上がりが要求される。まぁ~調律師ならばその作業は、ただただ面倒な作業の積み重ねではあるが、綺麗に一つクリアする毎にピアノがあからさまに蘇るのでとっても楽しいの連続でたっぷりと時間を掛けてピアノと向き合えるので云わば至福の時間と言えるだろう(笑)。

バットスプリングコード交換 一番よくある作業

ついでにブライドルテープも交換、その折に全てのハンマーに針刺し

いよいよ組み立て

そんな中、ピアノの先生が「ずっと家を探しているんですけど新居が決まったらそこにグランドを入れたいのでよろしくお願いします。」と数年前に頼まれていた。弊社は、何台もグランドピアノの在庫があったので全く心配なく「了解です!」と二つ返事で請け負った。その依頼から数か月後、私のお金持ちの友人から電話で「今度家を建て替えるからあのグランドピアノだ~れも使わなかったしこれからも使わないから引き取るとか出来る?」「お~それは、欲しいなぁ~!高く買い取るよ!」と言って直ぐに引き取った。このピアノは、友人の娘が高校入学の時にお祝いに家に防音室を増築してYAMAHAの工場見学を兼ねてみんなでピアノを選定(選びに)しに行って私が選んでお届けした正に当たりピアノ。ただ使ったのは3か月位?でそれ以降は、だ~れも全く使わずに数年定期調律はしたもののここ10数年は、手つかずの状態でした。引き取ると使ってないからとにかく綺麗。ただ、使ってないので音は、鳴りが悪く湿気でタッチももっさり、鍵盤にはうっすらとカビが見られるが、こんな綺麗でほぼ未使用のグランドなんて日本中探しても無いでしょう。直ぐにあの先生の顔が思い浮かんで彼女の為に家が用意出来るまで取って置こうとお取り置きしました。彼女が小学校の頃から調律にお伺いして音大に行かれてピアノ講師になって今度は仕事で色々とつながりが出来て結婚をしてと長い喜ばしい良い関係が続いています。ただ新居へのグランドの件を了解してから既に2年が経とうとしていました。

もう3回目かな?微調整はこんな感じで立てて作業

何度も繰り返し合わせる

全ての作業を終えて出荷を待つのみ

何時でも運送屋さんには、頭が下がる!暑い中ありがとう!

今年の初めに携帯電話が鳴った「ようやく家が決まりました(笑)!家の工事の関係で7月あたりに引っ越しになると思います。」「じゃ~早速ピアノを用意しなくちゃね!」というと「はい、よろしくお願いします。」と元気な声が帰って来た。直ぐに弊社商品倉庫にピアノを運んで長年調律をやってないのでまず調律をしながら隅々まで観察する。使ってない綺麗なピアノと言ってもそこは細かな擦り傷や打ち傷は沢山あります。内部や弦の下は、ホコリが溜まっているし鍵盤は、カビがシミになっている。内部の機械は、まったく消耗がありませんが使われていないので動きが悪く鳴りの悪いピアノになっている。ただ、購入するときに私が弾いて選んでいるので調整をすれば全く問題ない良いピアノです。まず外装を仕上げて内部お調整は、調律と整調・整音を何度も何度も繰り返してとりあえず工場で新品のピアノを用意する感じのニュートラルな感じに仕上げた。早速、先生に弾いて貰うと「もう夢の様だわ!」ととっても気に入って頂けた。ただ、古い付き合いですから先生の好みは良くい分かっているつもりです。このピアノは、本当に使っていないまっさらのピアノですので先生に弾き込んで頂いてだんだん華やかに変わって行くつもりでいましたが、お届け迄、色々と調整を繰り返して整音をしているともう少しもう少しと色々と手を入れるのが楽しくてもう誰が弾いても物凄い良い音に仕上がっちゃった(笑)。さてお届けとなると2階窓よりピアノの方大きい。無事に入るのかなぁ~と心配をしながら見ていると体のあちこちに力が入って見ているだけで疲れちゃった。かなり時間は掛かったもののギリギリで無事にピアノ室に収まった。新居に収まったピアノに向かって「今度は、沢山弾いて貰えるぞ!」と撫でると引越しを明日に控えたガランドウの新居の音楽室に堂々と鎮座したピアノが一際輝いで見えた。

コロナ騒動の影響!

天気に恵まれたゴールデンウィークは、コロナウィルスが治まり空港・駅・繁華街に観光地は多くの人 人 人で賑わい活気に満ち溢れた。3年余我慢を強いられ故郷の親族に会いに行くこともままならない、病気入院しても面会も出来ず更には、出産というおめでたい時も面会出来ずと何とも理不尽な3年間だった。そんな中、5月9日よりコロナウィルスは、5類に移行された。と言われても弊社は、お客様宅にお伺いするに当たり今まで通りマスクと手袋をしての作業は、まだまだ継続して参ります。コロナ騒動が治まっても尚、定期調律の予定が未だ遅れており特に土日指定のお客様が大幅に遅れております。ご迷惑をお掛けしておりますが徐々に解消しておりますので何卒もうしばらくお待ちくださいます様にお願い申し上げます。また、お電話頂いたお客様につきましては、優先的に対応させて頂いておりますのでお急ぎや不具合がある場合は、遠慮なくご連絡くださいます様にお願い申し上げます。さて今回は、コロナを基軸に変わって来たピアノ業界の事など簡単に書き記したいと思います。

 鎌倉プチロックフェスティバル事務局所有のピアノ    一日掛けて準備完了!

昨年10月23日、天気に恵まれて久しぶりの開催!5月14日(日)鎌倉プチロックフェスティバルVol.9 が開催される。場所は、いつもの由比ガ浜海浜公園でもちろん入場無料の電気を使わないアコースティックのフェスティバル。公園内に4か所のステージが設営されそれぞれタイムスケジュール通りに26のミュージシャン達が目の前で演奏するお祭り。周囲には、スポンサー企業の出店がずらりと並び大勢のお客様達が飲み食いしながらゆったりと1日を過ごされている。コロナ騒動でずっと中止してようやく昨年10月から再稼働して鎌倉地元の若手経営者達が手作りで作りあげたフェスティバル。毎度、開催に当たってのスタッフ達の働きは、とっても素晴らしく過去に何らトラブル無く安全に開催出来ているのは、ひとえにスタッフ達の誠実な働きがあってこそだと見て感じている。当日の早朝に公園内ステージにピアノを設置して調律をすると云う形で弊社は、最初から関わりを持って主催者とスタッフ達の人柄に惚れ込んでスポンサーをしている。ゴールデンウィーク中に1日割いて完璧にピアノの準備をしました。今週末の天気は、芳しくない予報なので心配でなりませんが、どうか天気がもってくれて大大大盛況であります様にとただただ祈るばかりです。

昨年始めたバラ。全くの初心者ながら今年も綺麗に咲いてくれた!

今年は、暖かいので桜も藤もバラもなんでも早く咲いて季節が半月ぐらい早くなっている様だ。昨年よりちょっとハマっている我が家のバラも順調に咲き始めた。綺麗で香りも良くて何だかかわいくてしょうがない(笑)。コロナ過でステイホームなど人々の働き方が大きく変わって在宅ワーク・リモートワークなどちょっと前では聞くことも無かった言葉が現実となった。実際にお客様宅にお伺いするとリモートワークのご主人が会議中など当たり前で奥様達は、「子供は、学校に行ってるのにず~と家に居て3食作るのって本当に大変なのよ~!!」と皆さん冗談とも思えぬ半ば怒りに満ちた感じの愚痴を沢山聞かされる。また不動産屋の友人は、「コロナ過で働き方が変わって通勤が月に1~2回になると都内より湘南が人気になって鎌倉逗子葉山の物件が高騰してもう凄いよ!賃貸物件なんてもう何にもないよ!出たら直ぐ決まるよ!」てな景気の良い話を耳にした。実際に都心から鎌倉方面に引っ越されて弊社でピアノを購入された新しいお客様が増えた事を鑑みてもコロナ過の良い影響を実感する。ピアノの講師からは、コロナ過に急に大人の生徒さんが増えたんですと聞き及んでいる。講師の方々から沢山の大人の生徒さんの調律の依頼を受けているし弊社への新規のお客様は、大人のお客様がとっても多い事も事実です。ちょうど昨年は、ショパンコンクールで日本人の活躍にYouTube配信などが話題を支えてピアノに興味を持たれた方も多くいらっしゃった。お客様宅でも何度もその話になってお客様ととっても楽しく話が盛り上がったのが昨年出来事でした。そんな良い事ばかりではありません。コロナの影響で半導体不足が生じて電子楽器の生産が中止にされたり納期が半年以上掛かったりと不思議と半導体使わない新品ピアノは、納期が10カ月とか1年後なんて未だに理解に苦しむ事態になっている。そんなゴールデンウィーク前に地方の楽器店仲間から電話が「中古のピアノどこから仕入れている?業者からは、もう高くて買えないんだよ、仕入れ価格がお客さんへの売値になってるよ!どうしようもないよなぁ~!」といった愚痴。これは、もう数年前から業者からの提示価格が高騰して更に近年高騰を続けている。その背景は、中国経済の事情である。「ピアノ売って頂戴!」の宣伝などの買い取り業者が日本全国から沢山ピアノを買い取って中国など海外に輸出をする。ある業者は、年間50.000台を海外に輸出しているなどと耳にする。そんな状態が20数年以上続いているのだからもう日本でだんだんピアノの買い取りが少なくなって来た所に中国国内の需要がYAMAHA .KAWAIの高級機種を所望する様になりより価格が高騰している。ざっくりいうと並と高級なピアノでは、当然並の方が沢山売れたのでもともと高級ピアノは、台数が少ない。と言えども経済大国を誇った日本は、今と違って当然の様に親は子供に存分に投資したので少ないと言えどもそれなりに売れた。中国が正に今その状態なのでしょう。逆に言うと古いピアノは、修理が必要なので買わなくなった訳で日本が物凄く入念に頑丈に良い材料を厳選して作った頃のピアノは、売れなくなった訳です。実は、物凄く良いピアノだけど古くて商品にするには全修理して再生するしかない手の掛かりそうなピアノの行く場が無くなって廃棄される訳です。随分話が横道にそれてしまいましたが、私は友人に「買取業者からは、卸値が高いから買わないよ!商売にならないからね~!うちはお客様から買ってるよ!それに50~60年前の古~い良いピアノは、完全オーバーホールして商品にしているよ!時間は掛かるけどあの時期のピアノは。物が違うからね~(笑)!」というと「お客さんは、買い取り業者に売っちゃうでしょうに」というので「ずっと自分で調律して前の使用者の事も状態も分かってる身元の分かるピアノは、安く買おうなんて思わずに業者より少々高く値段をつけても卸値より安いし何より安心じゃない。お客様も知らない所に売るよりは、長年知ってる所に売る方が安心でしょうに。」というと「客との関わり方が違うんだろうなぁ~~!」としみじみとした感じだった。きっと近況報告と雑談をして愚痴をこぼして気分転換のつもりだったのであろう電話が悔やんだ声になってトーンダウンしたので何だか申し訳ない気分になって早々に電話を切った。

60年前のピアノを茶色に変えて全塗装が終えた所。内部は、これから全修理して最高の商品に仕上げます。

お客様との関わり方については、調律にお伺いしてどんな話をするのかは、人それぞれなので正解はありません。私もどうしているのか良く解っていないのですが自然体が良いじゃないかなぁ~なんて思っています。我々調律師は、他の職業と違ってお客様宅に上がり込んで数時間居座っての仕事です。よって色々と礼儀やエチケットと気を付けなければならない事が沢山有りますがこれが中々難しい(笑)。お客様との出会いの中には、数十年と長い長い良いお付き合いが出来る事が多々あります。小学校1年生のお子さんが大人になって結婚して子供を産んでその子がピアノを始めるのでお母さんが子供の頃に使っていたピアノを運んでまたまた調律に行く。ピアノを通じてそのご家族と何代にも渡ってお付き合いが出来る。こんな幸せな職業って他にあるだろうか?正に調律師冥利に尽きると思っています。