2025年12月の様子!

2025年も大晦日を迎えて今年もあと数時間です。本年も皆様に支えて頂きどうにか無事に一年過ごす事が出来きました。この場を借りて心より御礼申し上げます。また、このマニアックなブログを通じて新しい出会いが沢山有りました。心より嬉しく思っております。本年も誠にありがとうございました。今回は、一年を振り返ってなんて考えましたが、いやいや柄にもない事を書くのもと思いとどまり年末に向けての12月の出来事を書き記して置こうと考えなおしました。

昨年に続いて今年もご自身の演奏の記録と成長の証としてピアノの先生のレコーデイングが行われた。場所は、私の友人宅のホール。ここは、色んなミュージシャンがレコーディングやコンサートに利用する。特筆すべき所は、専用の電源のお陰て電源ノイズは、皆無。オーディオ関係に使用する専用電源の為だけに電柱を立て建物の周りには無数のアースが撃ち込まれレコーディング中の録音機器などは、特殊なバッテリー駆動され万全を期した徹底ぶりはちょっと類を見ない。昨年は、ショパンにリストにドビュッシーだったが今回は、モーツアルトピアノソナタだった。前日にレコーディング機材を車に積み込んでレコーディング当日は、朝9時にからホールで調律を開始。ここの所、ピアノの使用が多かったので頻繁に調律をしているのでコンディションも良く狂いも少なくあっという間にピアノは仕上がった。と言ってもレコーディングですから午前中一杯は掛かる訳ですがそれが終えると今度は、録音機材のセッティングと休む間無く大忙し。今回は、DSD5.6とPCM44.1KHzの2系統で録音。まぁ~毎度のパターンですがどうにかピアニストの登場までに準備は整った。直ぐにウォーミングアップが始まりその流れで録音が始まる。1楽章2楽章3楽章とそれぞれ納得が行くまで何回も演奏するが、人間の集中力は、何時間も続かないので休憩を入れながら雑談を挟んでリフレッシュして頂いてどうにか満足のいく演奏を数テイク夕方までに録音出来た。さてそれからが大変で編集の後にマスタリング(CDにする)作業が待っている。皆さんが親しんでいるモーツアルトは、私の勉強不足もあってさっぱりマスタリング作業が進まない。と云うより前回同様にピアニスト自身が演奏時に聞いている音を再現する試みでマスタリングしているので曲の理解がとっても重要。残念ながら私の勉強不足のせいで中々作業が進まなかった。と云うよりモーツアルトは、何から何まで難しい。理解が進めばもっと深い所が見えて来てどっぷりと深みにはまってしまった。とは言えどうにか年内に仕上げてサンプルを届けたいので朝から晩まで数日掛けて没頭してようやく満足のいくCDを12月26日に関係者にお届け出来て胸を撫でおろした。この一連の作業は、正解が無いので毎回チャレンジと勉強勉強で奥深く中々思い通りに行かないが格別に面白い。そして毎年チャレンジを続ける先生は、未だご自身がレッスンに励まれ幾多のコンクールにも出場され毎回本選に行かれて賞を頂いてと正にいくつになっても前に進んでいらっしゃる素晴らしい先生。来年は、ショパンだそうで先生は、また一年掛けてご自身の演奏に磨きをかける訳です。毎年その集大成を記録に残すのって素晴らしい。そのお手伝いが出来てこれも正に調律師冥利に尽きるといった所でしょう。まぁ~録音の道に導いてくれた仲間達には、心から感謝している。

にかわ切れ。乾燥で接着不良になっている。

写真では分かりずらいが響板の接着部分が割れている。

そんな12月のある日、別のピアノの先生から「生徒のピアノの調律をお願いします。生徒がいまとってもやる気になっているので早急に対処してあげてください。ピアノは、かなりひどい状態らしいです。」とLINEが入る。直ぐにお伺いすると2階の階段を上がった直ぐの部屋にピアノある。ピアノと本棚でまるで音楽室の様なとっても贅沢な環境。お伺いした時に息子さんが練習されていた音を聞いてかなり狂っているなと分かったが実際に私が弾いてみると物凄く狂っていてその不自然な狂い方に違和感を持った。あれれれ!これは何なんだ!と鉄骨回りを見ながら下パネルを開けると響板が5本に渡り割れていた。早速、下がりに下がったピッチ上げに取り掛かるが響板割れという事でそこそこ気を使いながら数回に分けてピアノの状態を探りながらピッチ上げ作業に取り掛かった。すると色んな箇所でカシャカシャと音がする。にかわ切れ。接着不良を起こして簡単に部品が外れるので修理をする個所に印をつけながら作業を進める。お客様に「暖房は何を使ってますか?」と聞くと「エアコンです。でもこの部屋はあまり暖房は点けないんですよ。ただ夏にずっとエアコン点けて家全体を冷やしているんです」と仰るので乾燥による響板割れやにかわ切れの説明をした。響板割れは、致命的なトラブルで修理も大掛かりになるので費用も相当額になるなど色んなお話をさせて頂きましたが結果的にどうにか弾ける状態にとの事で慎重に調律とアクションの修理を進める事になった。若い頃と違って響板割れ位ではおいそれと驚かない技術が身についていてにかわ切れ修理もチャンチャンと終えて調律も綺麗に仕上がった。昭和の頃と違って家の密閉性や断熱そして冷暖房器具の発達により快適に過ごせるがピアノにはどうにもきつい。本来ならばピアノを弊社に運んでの大修理なのだが大層に費用が掛かるので色々と相談をしながら様子をみながらという事になった、やる気満々の息子さんはとっても喜んで生き生きと弾いて聞かせてくれたのでとりあえず無事に丸く収まった。昔と違ってと云うのは何も家や暖房に限った事ではありません。我々ピアノ調律師は、お客様宅に「調律の時期になりました」と電話を入れて仕事の予定を立てて来たが近年は電話を掛けても誰もお出にならない。留守電になっている場合は、まだ良いのですが家の電話には、悪質なセールス電話しか掛かってこないので出ないか留守電になっているか、もう取り外すかになっている。テレビやニュースでももっぱら詐欺電話に注意してと家の電話には、犯罪者からしか掛かってこない様な時代になってしまった。連絡は、携帯やメールでの連絡に取って代わってしまったので昔に比べるとスケジュールをスピーディに上手に調整する事はとっても難しい時代になった。電子ピアノは、性能が上がって高級機種は中古ピアノと変わらない価格に上がったが新品ピアノは、昔の製品に比べると品質は落ちて価格は跳ね上がっている。高級外国製ピアノは、定価の高騰に加え円安の影響で日本での販売価格は、大きく飛び跳ねあがっている。何でも物価上昇が当たり前の時代だがピアノを取り巻く環境は別の意味で大きく変わってしまった。しかしながら今の時代は本当にピアノが好きな人が欲しいピアノを出し渋りなく購入する時代になった様です。われわれは、それに応える技術とサービスを持ってお客様と向き合う本物の時代になったとも言えます。弊社は、これからも技術の修練と高い品質のピアノの販売でお客様と本物の時代とを共に過ごしてまいりたいと思っております。どうぞこれからも鎌倉ピアノ芸術社をよろしくお願い申し上げます。

 

 

厄介なピアノの共鳴

2025年気が付いたらあと12月だけになってしまった。年を重ねると一年が早くて年と共にどんどん加速している様だ。子供の頃の一年は長かったなぁ~なんて懐かしむこと自体が老いたる証拠なんでしょう。そうは言ってもこの歳になるとそれなりに面白い事や知らなかった事など年齢に関係なくワクワクすることも沢山ある。ことピアノに関しては、きっと死ぬまで勉強なんでしょう。苦にならずに取り組めるのは,長年の経験や忍耐が板についたのかな?楽しくありがたく過ごせている。今回は、意外に話題になりにくいピアノの共鳴について書き記したいと思います。

11月の初めにピアノの先生から電話が入る。「ちょっとお願いがあるの私の友人の事なんですけどねピアノを弾くと変な音がするって言うのね。私は、共鳴でしょ?調律師さんに言ったら修理してくれるでしょうに。というと何回も言ったわよ~何年も言い続けてるけど原因が分からないって言うのよ~という訳で行ってくださる~?ちょっと遠いんだけど」と早口でお話になったので「遠いってどちらにお住まいなんですか?」と聞くと「小田原なんです」「いや~全然遠くないですよ沢山お客様いるし先生も沢山いますよ。」と言って行く事に決まった。

お伺いするとレッスン室にグランドピアノとアップライトの2台あって問題の共鳴はグランドピアノの方だった。ピアノ講師の先生がこの音なんですよね~と言って鍵盤を叩くと何処からとなく「ジッジッ」と音がする。人間一度その音を認識するとあの小さく「ジッジッ」と鳴っていた音がやけに大きく聞こえてくる。私は、共鳴だなと直ぐに思い当たる所を触って共鳴の原因を探ろうと奮闘したがこれが見つからない。まぁ~数人の調律師が数年格闘したが見つけられなかったのだからそうおいそれとは見つけられるはずが無いだろうと思っていたが心では「俺に出来ない事はない!」なんて思い上がった気持ちが存在して問題解決の目処が立たないと気持ちだけが焦って色んなネジを締めた。が「ジッジッ」という音が一段と大きくなった気すらした。先生にもう一度鍵盤を優しく弾いてもらって「ジッ」の音の出何処を探すが小さい音だけに色んな所から聞こえてくる。消去法で蝶番・響板の表と裏・駒・など主要部分に共鳴は無い。次にペダルも問題ないのでしょうがなくジャッキでピアノを持ち上げてみたら脚の取り付けナットが緩んで音を発していた。ついでに脚を取り外してキャスターを確認するとキャスターの取り付けネジが緩んでいて一つはネジが完全に効いて無かったので埋木をして修理して締め直しをしたらようやく共鳴が収まった。「お~これだったかぁ~」と問題解決でホットした。「俺って天才!」意気揚々と改めて優しく弾いてみると今度は「チッチッ」と別の音がかすかに聞こえた。「先生、聞こえます?」と聞くと「はっきりと!」と言われて愕然としてど~と疲れが圧し掛かった。今度は、音が変わって音の出何処が変わって天井からなっている様に感じた。私は「いや、これはピアノじゃないなぁ~と心で思って」優しくピアノを弾きながら天井を見回したが床からも壁からも聞こえてくる気がして「あ~完全に音に飲まれちゃったなぁ~」と思い先生に「とりあえず調律をしますから」と言って調律作業に取り掛かった。

アップライトピアノとグランドピアノ2台の調律はそんな大きな問題は無くチャンチャンと終えて改めて共鳴を確認すると「チッチッ」と音がしている。調律をして周波数が変わると収まったりもするのだが全く変わらず憎々しく「チッチッ」と鳴っている。先生がちょっと休憩なさってと言ってお茶を入れてくださったのでちょっと耳を休めるために休憩がてら先生と雑談をするとこの共鳴が気になってずっとお願いしていた調律師との仲がギクシャクしてしまいここの所、毎年違う調律師が来て共鳴は収まらずずっと我慢が続いているとの事でした。そう言われてプレッシャーを掛けられて「ジッジッがチッチッに小さな音に変わりましたが、もうちょっと頑張って原因を探りますので先生ももう少しの時間協力してもらって良いですか?」と言って先生に弾いて貰ってしばらくすると、どうやら壁のコンセントの中から音がしている様な気がした。早速コンセントのプレートを外して中を見るとプラスのネジが2本止まっていて上のネジが大きく緩んでいたのできっちりと締め付けると何故か「チッチッチッ」が止まった。「あ~これだったのか~ピアノの脚とキャスターとコンセントの中と3つが鳴っていた事になりますね~(笑)!」原因が偶然の様に解決して肩の力がす~と抜けた。先生は、弱く強く何度となく弾いて確認をして最後ににっこりと「共鳴が消えたわ~(笑)。ありがとうございます。何年我慢したのかしら~嬉しい!」と言ってとっても喜んで頂いた。ピアノ調律師の仕事で結構厄介な事がこの共鳴です。一人では作業しずらいので誰かに弾いて貰ってという作業が一番効率的です。昔は、ピアノライトの電球のフィラメントからシャンシャンと音がしたりリビングのシャンデリアの金具が鳴ったり昔アップライトピアノでよく出くわしたのが壁から音がするケース。今ではめっきりありませんが昔の家の適当に立て付けられた壁板からは低い鈍い共鳴がしたり天井の廻り縁から共鳴が出たりとピアノ本体以外から共鳴しているケースは多々あります。まぁ~昔に比べて今の住宅は綺麗に作られているのでその様な共鳴もめっきり減りましたがもしかしたらピアノ調律師にとって嫌なトラブルのダントツ一位が共鳴じゃなかな?と思う。こればかりはケースバイケースでマニュアルに従った対処法が通用しないので技術とは違った経験が物を云う事案。しかもお客様の要求は完全に音が消える事ですからして完璧に対処しなければ収まりの付かない厳しい仕事という事になります。共鳴は、私もいつ何時でも今回の様に対処できると言い切れない難しさがありますが、今回の様に色んな調律師が対処できなかったのに上手く原因を見つけて対処出来た時の喜びはとっても大きい!まぁ~そんな事で良い大人が一喜一憂する訳ですからピアノ調律師の世界は、究極のアナログ。だから面白いんですよ!

 

Kamakura piano artistry corporation | Tel : 0467-47-1502

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