「最後から二番目の恋」で賑わう鎌倉

2025年4月、慌ただしく過ごして居るともうゴールデンウィークに突入しちゃったらしい。四月上旬では鎌倉の桜が満開で大勢の観光客と外国人観光客で大賑わい。まぁ~最近は何時でも混んでいるのですが、特に春の賑わいは華やかで良い。今回は、そんな華やかな賑わいの鎌倉の出来事やピアノの修理の様子などを手短に記事にしたいと思います。

以前は、中国人観光客ばかりで賑わってた様に感じていましたが最近は、どうやら様子が変わって欧米の方々で賑わっている様に感じる。鎌倉の地元の人しか行かない観光客が入りにくい感じの馴染の喫茶店があって、なんとそこも外国人観光客が増えたと聞き及んだ。正にインバウンドいずれにせよお客が増える事は良い事だねと言ってはみた物の何時でもす~っとカウンターに座れて美味しい珈琲が出てくる快適さがお気に入りなのに混雑すると困るなぁ~なんて自分勝手な事を心で呟いてみたもののやっぱり商売繁盛は良い事だと言い聞かせて珈琲を飲みほした。それと鎌倉の極楽寺を舞台にキョンキョンと中井貴一らが出演するテレビドラマ「最後から二番目の恋」が4月から始まった。3作目なのに最初から出演者が変わらず殺人とかサスペンスじゃなく何にも大して進展しないゆる~い感じのドラマなのに何やら面白い。何より鎌倉の知っている風景や路地が映るのも何とも癒される。ロケ地の観光客も増えるだろうしもう直ぐ紫陽花の時期になればまたまた鎌倉は賑わう。まぁ~観光客が増えても我社にはあまり関係ないが、鎌倉が賑わって活気着けばそれでよし!て感じかな(笑)。

さて来たる5月11日母の日に「鎌倉プチロックフェスティバル」が開催される。鎌倉由比ガ浜の海浜公園 AM10:00  Start 入場無料。電気を使わないアコースティックだけのロックフェスティバル。今回は、初めて2台のピアノを運び込んでのフェスティバルです。1台は弊社でお預かりしている主催者のピアノともう一台は弊社で貸出しピアノを用意します。今回は、私の良く知るジャズピアニストVakeneco さんが出演するので特に念入りに昨日一日掛けて調整・調律をして準備万端です。このゴールデンウィーク中にもう一台の調整・調律をして後は、当日天気に恵まれます様に!とお天道様に毎日お祈りをします。皆様よろしければ鎌倉観光のついでに足をお運び頂けると嬉しいです!宜しくお願い申し上げます。

そして4月は、他に別のお寺でコンサートが開かれるので調律にお伺いした。このコンサートもコロナで4年ぶりの開催。ここは電気を使うプロも出演する大掛かりなコンサート。ピアノを弾いてみるとピッチが2Hz程下がっている。当日、出演者も多くかなり激しく弾かれる事が予想出来たので張力のバランスを取って音止めに慎重を期した。アクション関係は、若干のスティックがいくつかあったのと湿気による筬の変化と整調を一通りして万全の準備を終えた。後は、コンサートが大盛況である事を祈るだけです。何だか最近は何かにつけお祈りする事が増えたなぁ~!きっと年取ったんだな(笑)。

ピアノの修理関係では、毎度の鍵盤小口貼り換え作業。ちょっと専門的になるが調律師以外の方は写真を見ながら想像して読み進んでください。この修理は、黄ばんで変色した鍵盤の小口を剥がす作業から始めます。小口が剥がれやすいタイプとおいそれと剥がれないがどうにか剥がれるタイプ、そして何としても剥がれないタイプと大まかに3タイプある。この作業の依頼の大半が剥がれやすいタイプでそれでも白鍵52鍵分を剥がすには、1鍵1鍵おぼつかない手でやるとなると日が暮れちゃうのでそれぞれがお手製の治具を使用して作業の効率化を図れば30分もあればとっても綺麗に剥がれる。がしかし今回の鍵盤はおいそれと剥がれないタイプだったのでお手製の治具を使用しても集中して力任せに全体力を使い続けて1時間30分。ようやく剥がし終えたが何とも頑固に貼り付いていて翌日から肩と二の腕が筋肉痛になった。付け加えて書きますとなんとしても剥がれないタイプは、電動工具を使って剥がすと云うより切り取る訳です。今回のケースもこの電動工具を使えば30分の掛からずに終えたのに・・・この記事を書きながら今気づいた!。何てことだこれが老いなんだろうなぁ~(笑)。剥がし終えると接着と言うか圧着するのでそれなりの治具がまた必要になる。そこで一晩寝かせてはみ出た鍵盤を電動工具で粗削りして仕上げは丁寧に手作業でやすりで削って仕上げる。交換修理としては、大した技術はいらないが一番目に付く白鍵盤なので綺麗か汚いか腕の良し悪しはお客様が一番厳しい判断をされるので根気よく丁寧に素早く仕上げる必要がある。しかし綺麗に仕上がると何とも嬉しいのも事実。調律師の仕事の一つとして白鍵一枚二枚の経験があっても一台全交換となると全く別次元の仕事になります。自分で工夫した治具の製作も数台経験が無いと納得の行く治具は出来ないだろう。また、小口貼り換えだけでも最低でも2種類の治具やその他工具を使うが全鍵盤張り替えとなるともっと他の治具や工具が必要になる。それを色々と想像して作って使ってみてまた改良して納得の仕上がりに近づくと何だろう満足感?達成感?いやもっと違ってとっても幸せな気分になる。これがピアノ調律師の仕事なんでしょうね!

 

 

34年ぶりの再会。

もたもたと日々仕事に追われていると2025年3月も残りわずかになってしまった。ここ数日は、3月なのに夏日になって移動中の車内は冷房、作業場では薄手の夏の作業着を引張りだす始末で気持ち良く暖かいを一気に通り超えて暑い。そして今年は、花粉の飛散量が特別に凄い様で汗まみれに加えてくしゃみの連発で鼻水まみれとこの異常気象に猛烈な嫌気がさす。しかしこの暑さで一気に桜が咲いて何故か気分が浮き浮きしている。今回は、そんな3月の様子を手短に書き記したいと思います。

一昨年前、仕上がって出荷待ちのピアノ

一昨年、ご自宅の建て替えの為に約1年ちょっとグランドピアノを弊社でお預かりしてその間にピアノのクリーニングや内部の調整をしてお届けをしたお客様。以前のお宅では、湿気が多くてピアノの金属部分はサビだらけ、ピアノ内部は、カビだらけと言った具合で当然内部の機械類は湿気で動きが悪くタッチももたもたして決して良いコンディションではありませんでした。保管中にたっぷりと時間があったので弊社で十分に繰り返し作業してベストな状態で納品したのですが一昨年お届けして半年もしない内に音がバランバランに狂ったと連絡を頂いて再度お伺いすると新築のお宅の最新暖房システムが災いをしてつまり乾燥が過ぎて木部が痩せてカラッカラな状態。調律中にお客様に加湿器を買いに行って貰って設置場所などをアドバイスをして様子を見る事にした。翌年、お電話をすると建替え前にずっとお願いしていた調律師さんから先に連絡があったので一足先にお願いしたとの事でした。長いお付き合いの調律師さんですからまぁ当然と言えば当然です。それは良いのですが唯一心配なのは過乾燥対策をしてくれるのかが気がかりだった。本年、お客様からメールが入って是非調律をお願いしたいとの事でした。昨年、過乾燥の経過を見れなかった事が気に掛かっていたので作業時間をたっぷりと割いてお伺いした。

過乾燥でパックリと割れた響板

湿度22%~26%をウロチョロ

ピアノを触るとバランバランに狂っている。お客様に「この冬は、加湿器はどうされましたか?」と聞くと「今年は、もういいかなと思って使いませんでした。」と返答された。チューニングピンのトルクが無くなって音が急激に下がっている所が多数あり、尚且つ乾燥による木部の変化でスティックも多数。そしてよくよく見ると響板が大きく2カ所割れていた。「あ~なんてことだ!可哀そうに。」とそっとピアノを撫でた。とりあえず作業に取り掛かって調律をしながら湿度計を見ていると室温20℃湿度22%~26%の間をウロチョロしている。もっと外気が低くて寒い日は、長時間もっと下がる事が予想出来る。昨年この子の様子を見る事が出来ていればこんなに大怪我をしなくても済んだだろうと悔やまれてならない。と言っても後の祭り打つ手の引出はいくつかあるので「これからは、ちゃんとオジサンが面倒見て調子よくしてあげるからね!」と心で呟いて思いを込めて作業に没頭した。長時間の作業を終えてピアノを弾いてみると生き生きとした艶のある音を奏でてくれて新たな絆を構築できた様な気がした。

色んな作業を効率良く並行して行う。

先月末に一通のメールが届いた。以前、調律をお願いしていた○○です。長い事放置していたピアノの調律をまたお願いしたい・・とお名前と住所・電話番号が記載されていたがその住所は、全く覚えが無かったが私の母とお名前が同じだったので特に強く記憶していたお客様だった。直ぐに連絡を入れてお伺いすると一度もあった事の無いご主人様が玄関で出迎えてくれた。奥様は、ちょっとお出掛けになっていてもう直ぐに戻られるとの事でした。早速、ピアノにご対面するとEarlWindsor W112だった。ご主人様曰く、最近、孫が遊びに来てピアノを弾くと孫が「音が狂ってる!て言うんですよ(笑)狂ったままじゃ可哀そうだから連絡先をずっと持って居たので連絡しました。」ありがたい話です。「以前は、とっても湿気の多い社宅にお住まいでしたね~」と私は、その家の佇まいまで記憶していた。そこからこちらの高級住宅街に家を建てられてかれこれ30年余り、調律記録を見ると最後の調律が平成3年、34年ぶりの調律になる。そしてあの物凄い湿気だったお宅から湿気とは無縁の快適なお宅へ移動と乾燥と長年の放置でなんと音は半音下がりズタズタの状態。アクションも故障個所多数だが幸いな事に虫食いは全く無かった。

カシュー塗装なのに綺麗に保たれていた。

早速、ピッチ上げ調律に入るがWindsorの場合は、きわめて慎重に張力を均等に上げる必要があるので数回に分けてそれぞれを短時間に手際よく徐々にピッチを上げて行くを繰り返す必要がある。その途中のインターバルを開ける時間は、アクションの修理や調整・鍵盤筬のすり合わせなど上手に時間配分をしながら慎重に作業を進める。このピアノの場合、無作為に作業すると最悪、次高音部の鉄骨折れの可能性があるのでことさら慎重にピアノ全体の様子を感じながら作業する事が求められるが、特に難しい訳では無くそれ相応のピアノの知識と経験があれば何ら問題はありません。そうこうしていると奥様が帰宅されて34年ぶりの再会です。変わらぬお姿にとっても懐かしい思いとまたお用命を頂いた喜びで長時間の疲れが一気に吹き飛んだ。と言っても作業途中。挨拶もほどほどにして作業再開。鍵盤筬を慎重に外して経年変化を修正して整調に最終調律をして無事に作業終了。当然、半音もピッチを上げているのでこれで一年間万全とは行きませんがこれからちゃんと調律管理は必要となります。作業を終えてお沢山の昔話に花を咲かせて気分よく帰路についた。どちらのケースも長年ピアノ調律師の仕事を続けていると経験する当たり前の出来事。だからこそ人と人との出会いや関わりは、ことさら大切にしなければなりません。それがピアノ調律師の仕事なんだと今更ながら肝に銘じてありがたみを感じた。

 

 

 

Kamakura piano artistry corporation | Tel : 0467-47-1502

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