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ピアノ調律師のありがたい事!

2025年7月ようやく関東も梅雨明けした。梅雨入りする前から真夏日が続いて明けた途端に猛暑日が続き熱中症アラートMax状態。夏休みに入った子供達は、日中誰一人として公園で遊んでいない。この日差しでは致し方ないかと妙に納得する。昔は待ちに待った夏休み、存分に季節を感じて沢山の思い出が心に刻まれて今では日本の四季が誇らしく思えるが今時の子供たちはどのように感じているのだろうか?昔は良かったなんて口にはしたくないが良かった物が変わって行くととっても残念な気持ちになる。まぁ~これくらいにして今回は、毎度の7月の近況を暑いので簡単に書き記したいと思います。

ハンマーファイリングの様子

2カ月程前に何度かお伺いしたお客様より電話が入る「もしもし○○と申しますが以前そちらで調律をやって貰っていた者なんですがそろそろ断捨離でピアノを処分したいのでお願い出来ますでしょうか?調律にいらした時にこのピアノは良いピアノなので使わなくなったら直ぐに電話してください。弊社で買い取りますからといつも仰っていたのでお電話差し上げました。」「○○さんは、どちらにお住まいでしょうか?」と聞き返すと「○○です」「はいはい、あの電気自動車の?」すると「そうです」話がつながって直ぐに弊社でピアノを引き取る事になりました。

底板から内外装に至る全ての作業が完了したらすぐ売れた(笑)。

ピアノは、YAMAHA UX-3 ピアノの支柱に筋交いが入ったX支柱を採用したピアノです。高級機種であるYAMAHAのX支柱は、海外でとっても人気があって二十数年に渡り高値で買い取られ続けて近年ではめっきり数が少なくなっている。X支柱が入庫すると直ぐに売れてしまうので弊社ものどから手が出る程欲しいピアノです。このピアノの持ち主は、エリーカという8輪電気自動車を開発した慶應大学教授で昔ニュースで電気自動で新幹線を超える370キロを記録したと大々的に報じて世界に先んじての記録は日本の最先端技術であると。私は、その8輪車の見慣れないデザインと新幹線より早い自動車と言うのを強烈に覚えていた。その張本人のお宅にお伺いする度に電気自動車の話や苦労話そして製品化する困難など色んな観点からとっても興味深い話を沢山聞かせて頂いた。調律料金を頂いた上に無料で慶応大学教授のお話を聞けるなんてそれにお茶にお茶菓子まで出して頂いてですよ(笑)。これもピアノ調律師の仕事の特権でしょうか(笑)。ありがたい話です。そのピアノは、偶然にもご夫婦共に慶応大学出身で先週仕上がったピアノを弾きに来られて来週納める事になった。これも何かの縁なんでしょう。長年のお客様のお孫さんが使うピアノで実家にはお父さんが弾いているX支柱の最高峰のピアノがある。何故かX支柱のピアノは直ぐに売れてしまう。

この場にいるだけで厳粛な気持ちになる。覚園寺

7月11日12日は、パリ在住の鈴木隆太郎さんのピアノリサイタルでした。昨年9月以来でしたが鎌倉の覚園寺で2日間に渡り開催された。今回は、梅雨真っただ中だったので流石に湿気が多くてピッチが上がっていたので3Hzピッチ下げ調律になった。コンサート当日の3Hz下げって結構大変でチェロ奏者がA442Hz指定だったので丁度になる様に大胆に余計に下げてぴったり合わせるといった具合ですが如何せんピアノが古いのでピンも渋滞しているのでそうそうピアノも素直に言う事を聞いてくれません。しかも音もコモっている。時間配分を考えて慎重に調律を終えて整音に時間を沢山割いて大胆に作業をした結果とっても品のある音に仕上がった。ここ覚園寺は、通常のコンサートホールと違ってお寺のホールなのでこの会場に身を置くだけで特別な場所と言った格別な雰囲気に包まれる。鎌倉奥座敷に位置する覚園寺は、綺麗に整備された緑に包まれ静寂のお寺。何故か有名なミュージシャンがイベントを開きます。皆さんも鎌倉観光ついでにコンサートいや、覚園寺に拝観されてみては如何でしょう!

本番前に演奏者の希望に合わせて、あの手この手で(笑)。

ピアノ調律師の仕事をしていると色んなお宅に出向きます。プロスポーツ選手宅から専門職のご家庭に芸能人や著名人宅までともうありとあらゆる職業をされているお宅にご縁があります。通常では中々お目に掛れない方々から色んなお話が聞けたりお知り合いになったり友達になったりとピアノを通じてならばそう言った関係が構築出来るなんてピアノ調律師の仕事っていい仕事だなと思う。この歳になると感謝の気持ちが加わってつくづく感じ入る。好きな事を仕事に出来て幸せだと・・・ありがたや!

 

 

ピアノ調律師の楽しい事。

2025年6月も終わろうとしている。なんて早いんでしょう。ちょっと前にお正月だったのになんて今年の春から同居の90代の義母の入院手術に退院後の本格的介護に直面して月日の感覚が鈍ってしまった。そんな状況でも会社は通常営業をしてはいるものの急に病院の検査が入ったり病院からの呼び出しが有ったりでお客様に大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。この場を借りて心よりお詫び申し上げます。そんな訳で今回は、ピアノ関係というか近況をさらりと書き記したいと思います。

2本ペダルを3本にする作業は、意外に面倒臭い作業が続く

 

今年の春以降、お客様宅ではもっぱら介護の話ばかりになっている。ありがたい事にとっても長いお付き合いのお客様が多いので皆さん介護経験をされている方ばかり。調律にお伺いした折にはそのご両親様とも雑談を交わしよく存じ上げている方も沢山いらっしゃいます。あの凛としたお父様がそんな事になってしまいましたか・・あのお母さまが・・・信じられませんね~と言った他所では中々聞けない苦労話というかビックリ仰天話の経験談やありがたい情報や助言を頂いて勇気をもらっています。そういった意味でもピアノ調律師の仕事って何とも不思議で面白い。例えば40年前にお伺いした時はお互いに20代で奥様もそれはそれは大層に美しく調律の感が鈍る位(笑)にピチピチしていて子供の勉強の話から進学の話に就職そして結婚その他旦那さんの愚痴や姑とのいざこざに勿論、楽しい事も盛り沢山と諸々の出来事がピアノと共に積み重なって記憶されている。こんなに長いお付き合いの出来る仕事って意外に少ないというか1年に1回ですが浅からず深すぎずの丁度良い距離が絶妙なのかもしれません。昔、あるビジネス本に富山の薬売りが年に数回お客様宅に訪問して使った薬の補充と体調管理、薬の効能やの世間話をしながらお客様の信頼を得て長く良いお付き合いをする事がビジネスで成功する秘訣であると。つまりは、損して得取れ常に誠実にという事なんでしょう。まぁ~これはいかなる職業にも言える事ですがネットビジネス時代になった今では、古臭いと一笑されてしまうかもしれませんが、我々ピアノ調律師にとっては、変わらず重要な事だと肝に命じています。

鍵盤も全て剥がして貼り換える。

最終仕上げは、全て丁寧に手作業。

そんな6月は、60年前のピアノを修理再生して商品にすると云うミッションのスタート。昔のピアノは、圧倒的に木材の質が良く鍵盤木材の狂いの無さや響板の材質の良さ、そして何より頑強さは近年のピアノと比べると雲泥の差である。と言うのも量産が進むにつれ徐々にコストダウンが進んで量産しやすく材質が変わり色んな意味で簡素化されて行った。その簡素化される前の時代のピアノは、丁寧に作られているが如何せん古いので色んな所が剥がれたり割れたりと厄介ではある物のそこを綺麗に修理するとまぁ~今ではとてつもなくお宝ピアノに蘇る。当然、当時は2本ペダルで弱音ペダルは付いてないのでどうせならとペダルを1本増やして3本ペダルして見た目も良くする。と言っても1本ペダル増やすって結構大変で違和感なく綺麗に仕上げるには、これだけで一日掛かりの仕事になってしまう。弦も総取り換え、色んな所のネジを調子よく外して行くとネジがパチンを軽く悲鳴を上げて折れる。軽い悲鳴に聞こえるが私にとっては大事件で一気にテンション駄々下がり~!「あ~何なんだよ~!」とピアノに八つ当たりをして作業を進めるとまたパチンとネジが折れる。「またかよ~!」と更に声を荒めて意気消沈する。「あれれれ、俺に逆らうの~」とか言いながら上から目線で作業するとまたパチンとネジが切れる。注意深く作業しているつもりですが、まぁこういった事はよくありますがドイツのピアノの修理では未だ1本もネジが折れた事がありません。ネジの材質なのか良く解りませんが兎に角ドイツピアノのネジはとっても質が良い。まぁ~圧倒的に金額が違うし作り込みやこだわりは細部に渡り好感が持てるいや感服する。もっともドイツピアノの修理より日本製の方が圧倒的に多いので私の経験値では、やや正確性に欠けるかもしれません。しかし折れたネジを取り除くという覚悟さえ決まればネジが1本でも3本でもそんな事はどうでも良くて平常心でどんどん作業は進む。逆に手早く綺麗にネジが取り出せると途端に満足感に浸れる。これだから何時でも楽しいんでしょうね!外装からちょっとしたデザインそして内部に関しては全て新調して新品の様に生まれ変わります。手塩に掛けて仕上げるといつも売りたくなくなっちゃうんですよね~(笑)。売りたくないピアノを沢山作ってこの方に是非使って頂きたいと思う方に出会う事を楽しみにワクワクしている。

切れたネジを取り出した所。

先日、私が帰宅すると妻が今日、母の訪問看護の契約に来た女性職員の方が梅根という名字に聞き覚えがあると「私が子供の頃にピアノの調律に来てくれていた方が梅根さんで鎌倉から来ていると母が言ってました。もしかしたらその梅根さんのお宅ですか?私は、旧姓○○で横浜市○○に住んでいました。」と言ってたわよ!覚えてる?と言われ○○区の○○さん覚えてるよ!高校生の時にまた始めた方だったかなぁ~?もう20年程前の話です。今度は義母の介護で私の方がお世話になるなんてピアノを通じて思いも寄らぬ嬉しい縁にこの仕事の別の喜びを改めて感じ入った6月でした。