2025年9月も残りわずか。命の危険を感じる様な暑さもお彼岸に入った途端、朝晩の気温が下がった。暑さ寒さも彼岸までと昔の人の言い伝えに改めて本当だなと感心する。この9月は、プライベートで大忙しの中、色んな役職の当番や秋の芸術に向けての打ち合わせなど重なって大忙しだったので今回は、手短に9月の様子を書き記したいと思います。
この赤いフェルトも昭和のなごりかな?
ピアノ調律の仕事をしていると、当然ですが毎月新たなお客様との出会いに恵まれる。お客様の紹介だったりホームページを読んでの申し込みだったりピアノの先生の紹介だったりと誠にありがたい話です。また、新たな出会いの数だけ新たなピアノに出会う訳ですからこれが中々面白い。今月9月もご紹介で長年放置したまま使っていないピアノの調律の依頼を受けた。社会人になってまたピアノを習い始めたので子供の頃に使っていたピアノをちゃんと調律したいとの事でした。ここでは、お客様の承諾を得てませんのでメーカー名やブランド名は伏せておきますが、昭和59年製造のピアノで生産台数や規模で中堅よりちょっと下のメーカー、中部関西で多店舗展開していた大手販売店からオーダーで製造されたピアノでした。お客様に聞くとご両親の転勤で関西在住の時にピアノを購入したそうです。その頃は、今と違って子供の数が多いのでピアノもまだまだ売れていた頃で業界的に多少陰りが見えて来たと云えども一月60台以上売っていた販売店を数店知っている。今では考えられない時代というか今考えると子供が居れば皆ピアノと言うのはおかしな時代だったとも言える。そんな時代に生まれたピアノとは、大方30数メーカーがしのぎを削って300以上のブランドを生産していた訳ですから色んなピアノがあって私も知らないピアノが沢山ある訳です。ですから未だに新たなピアノに出会う事が楽しみと言うか調律師として面白い訳です。今回は、そこそこ知れた販売台数的に中堅よりちょっと下のメーカーのピアノで私も数台このメーカーのピアノは管理した事がありましたが、腑に落ちないちょっとした違いを見つけてクスッと笑えてしまった。低音弦のフェルトですが通常共鳴を抑えるためにフェルトで止音するのですが、規格に合わないフェルトが貼られていて止音の役を全く果たしていない。製造時や出荷調律に分かるのに・・・これも当時の事情を知る我々には理解出来る悩ましい事情です。まぁ~色んな意味でピアノは奥深く興味深いなとこのピアノを調律しながら昭和の楽器業界花盛りの時代に気持ちはタイムスリップした。
鍵盤漂白が終えた所
作業に没頭するとついつい写真撮影を忘れてしまう。
綺麗になった鍵盤。
先だって日本ピアノ調律師協会の研修会が開かれた折に大先輩の講師の方がコンサート調律よりも一般家庭の調律の方が色んな意味で難しいかもしれないと語っていた。これは、熟練の技術と沢山の経験を持ち合わせた技術者しか語れない領域ですが、言わんとする意味が良く解る。コンサート調律でピアニストの要求に即座に応えるという事は生半可な技術ではお役に立てない事は皆様もご承知の事と存じますが一般家庭のピアノは、通常一年に一回の調律。春夏秋冬温度湿度の変化に冷暖房に対応して一年間弾き手に違和感なく使って頂く。即ち一年持たせる調律というのは、意外に技術が要求される仕事なのです。そんな折に今年初めて色んな方と事情があって紹介でお伺いしたピアノの先生宅での事です。半年前に調律したにしては音が狂っていて何より機械部分のホコリが凄くて一度も掃除をされた形跡というかアクションを引き出した事がないのかな?と思える状態。掃除機を借りて延々掃除掃除でようやく綺麗になった物のハンマーの消耗が凄く鍵盤ブッシングクロスも摩耗してちょっと可哀そうな状態。摩耗部分は、改めて作業する事にしてとりあえず最善を尽くして調律調整をして作業を終え先生に確認して頂くと触った瞬間に「あ~全然違う!今までの調律師さんは調律だけする人だったのね!こんなに変わるんだ~!」と大喜びされた。その様子を眺めているととっても感性が敏感で調律がうんぬんより先生自身が上手で綺麗な音を奏でていた。その後、2か月経つか経たないかに携帯に先生から電話が入る。「この前調律に来た時にShigeruKawaiの在庫があると仰っていたけどそれが気になって気になって一度弾きに行って良いですか?」との電話で2台ピアノを並べて2台ピアノのレッスンをしたいとの事でした。このホームページにも記事にしましたが昨年入庫したピアノです。その後、このホームページを見て数人からお問い合わせ頂きましたがお住まいが地方のかたや関東でもちょっと遠い方で大変失礼ながら電話でお断りさせて頂きました。このピアノは、お届けした後も私が管理出来てこの人に使って頂きたいと思う人にお譲りするピアノです。先週、弊社の倉庫に弾きにいらして大層気に入られて私も是非この方に使って頂きたいと思い願ったのでお届けする事が決まりました。弊社は、お届けが決まるとピアノの最終調整に何日も掛けます。最近のグランドピアノは鍵盤が人口象牙になっているので弊社では、お届けする前に漂白研磨して綺麗に仕上げる作業から始めます。それから別れを惜しんで丁寧に細部に渡り調整を繰り返し、全てを完璧に手抜かりなくまるで娘を嫁がせる親の心境。気に入った方に嫁ぐのだから嬉しくもあり寂しくもありだが今度は、大切に沢山弾いて頂けるのでピアノにとっては何よりうれしい事です。今回も良い方とのご縁に恵まれてこれからは、メンテナンスで長いつながりが始まります。私も随分歳を重ねてしまいましたが健康で長生きしなくちゃと調律師として新たな気概が生まれた気がします。良い人たちに恵まれてピアノに囲まれて感謝感謝。
2025年、今日から9月がはじまりました。今年は、6月位から暑い日が続いて梅雨が無くて水不足が心配されると今度は線状降水帯なる物が各地に発生して水害に死者まで出てしまう。一体地球はどうなってるんだ?政府の推奨通り熱中症にならぬ様に毎日エアコンの中で涼しく過ごして居るが電力不足の問題ってどうなってるんだろう?なんてふと考えても町場の調律師では、どうにも答えは見出せない。この暑さのせいで頭の回転もすこぶる鈍く元々賢くない頭はいつもオーバーヒート状態。全ては、異常な暑さのせいだという事にしてダラリと今回は、そんな暑い暑い8月の様子を手短に書き記したいと思います。
21弦あるお琴
ピアノと同じチューニングピンで調律出来る
ピアノ用のチューニングハンマーをはめるとピッタリだった。
暑かろうが涼しかろうが、ちょっと暇ががあるとYouTubeなる物を見てしまう。一番活用しているのが料理である。上手ではないが料理をするのが大好きなので色んなレシピを見て気に入ったチャンネルのレシピで作ってみる。お客様に「料理するんですか?」なんて言われると「調律師の調理師も一字違いだから」なんて言いますが美味しい物作るのが好きなんです。ちょっと話がそれましたがYouTubeを見ていると中国人女性が袈裟姿でお琴を弾く動画があってなんとホテルカリフォルニアを演奏する。シーケンサーを使って一人多重演奏でアレンジも見事で素晴らしい腕前。プロ演奏者なんでしょうがちょっと感動して何回も繰り返し見ているいや聴いている。そんな折、この8月に初めての中国の方のお宅に調律にお伺いした折にピアノの前に大きなお琴が置いてあった。私は、ピアノそっちのけでお琴に興味をそそられたが、ぐっと堪えて調律を終えた後に「このお琴、誰が弾くんですか?」と聞いたら小学高学年のお嬢さんが「私が弾きます。」「ちょっと見せて」と言ってそのお琴を撫でまわすように眺めて触って弾いてみてちょっと感動でした。何か感動したかと言うと和楽器のお琴は13弦なのにこちらのお琴は、21弦ある。そして和楽器の弦は絹糸だったと思うが弦を張るのに専門の方にお願いして張らないとならないと記憶している。そして音程は、かなり不安定で絹糸なのでテンションが低く音程や音色が不安定でピアノなどと合わせるのは難しいと一般的には考えられている。こちらの中国のお琴は、21弦は、スチール弦で丁度ギターの弦と同じ様でした。それが1本1本にピアノのチューニングピンが本体に打ち込まれていて調律工具のチューニングハンマーで回して調整する。すなわち、演奏者がチューナーを見ながら正確に音を合わせる事が出来て高いテンションで正確な音程が保持できるという優れモノだった。私は、私のピアノチューニングハンマーをそのお琴にはめてみるとピッタリハマってスムースに動いた。今度は、そのお琴用のチューニングハンマーをピアノにはめてみると、これまたピッタリはまった。ただ、お琴用は、とてもピアノの弦の張力に耐えらそうになかったのでピアノでは回さなかった。何だかその一連の私のやり取りがとても面白かった様で笑いと驚きで満ち溢れた。お琴を習い始めて2年半ですがと言って演奏を聞かせて貰うと何の曲か分からないがとても上手に演奏してくれた。あのYouTubeの音だ!やっぱり音楽は、音程が合ってるというのは、イロハのイ一番重要だなと調律の重要性を再確認して仕事の出先で知らない楽器に触れらてとても嬉しい経験が出来た事を素直に喜んだ。一言付け加えさせていただきますが、和楽器のお琴は、その素晴らしさが有り21弦のお琴とどちらが良いとか優れているとか比較しているわけでは御座いません。それぞれの歴史や文化それぞれの活躍の場が御座います。決して誤解の無い様にお願い申し上げます。
一応、真剣にお話ししている所。
さて8月のある日、ピアノ講師の依頼で生徒たちに夏休みの思い出としてピアノ調律体験の講師を務めました。普段は、公立小学校や中学校でピアノ調律体験学習・ピアノ調律職業講話として学校でやる事が多いのですがこちらの先生は、とっても生徒思いと言うか熱心いや情熱を持っていらっしゃってとってもクオリティの高い教育をされている。このクオリティていうのが専門的とか厳しいとかコンクールとかそんな事では無くてもっともっと重要な所が誠実なのでしょう。まぁ~生徒数が凄くて人気の高い音楽教室です。何時もの様にピアノの歴史から部品や構造の話に入りいざピアノのアクションを引き出すと子供たちは大喜び。ピアノ調律体験は、生徒全員にユニゾンを合わせてもらう体験ですが小学低学年ですと身長や握力など不利な点が多くて中々合わせられないが聴く耳は、ちゃんとしていて皆さん音の変化をちゃんと聴き分けているのには毎回驚かされる。ここの音楽教室は、2回目の体験授業で今回も先生が沢山写真を撮って頂きましたが今の世の中、子供達の顔姿が写っているといろいろ問題がありますので私の話し中の写真1枚だけにしておきます。
ピッチ下げにだったが無事調律完了。

8月ある日、いつもお世話になっているヴァイオリンの先生から電話が入る。「こんにちは!娘の英莉香が自宅でピアニストとコンサートの合わせをするので調律お願いします。」と色んな雑談をしながら急ぎの調律の依頼だった。つまりは、娘のヴァイオリニスト佐藤英莉香がコンサート合わせをするのにピアニストのマルコ・ファティケンティ(イタリア人)が家に来るので急ぎ調律をとの事でした。急ぎお伺いするがこの日も暑い暑い。午前中ちょっと早めに到着すると直ぐにお父さんが出て来た。「おはようございます。ご無沙汰しております。」とニコニコと挨拶された。コロナもあって久しくお会いする機会が無かったが暑い中小走りに近くの駐車場に案内されてちょっと恐縮した次第です。と言うのもこの方洗足音楽大学の教授である大先生なのです。こちらは、音楽一家でお父さんフルートにお母さんと娘は、ヴァイオリニスト。昔から横浜室内合奏団やタナーチェンバーオーケストラそして佐藤英莉香のコンサートなどで長いお付き合いが続いてます。知り合った若き頃の佐藤大祐先生は、洗足音楽大学の准教授で日本からハワイやイギリスなど精力的にインターナショナルな活動をされていました。2008年には、私が企画したボランティアコンサートを佐藤夫妻に協力してもらって横浜室内合奏団の演奏で大成功を収め新聞に大きく取り上げられた思い出が蘇る。そんな活動が実を結んで教授になった訳で彼の成功は、何より嬉しい事でした。この日は、調律にお伺いしたのだが昔話に花が咲きご夫婦の変わらぬお人柄に嬉しい良き一日になった。今度、2008年の新聞記事とコンサートのパンフレットを倉庫から見つけ出して改めてここで紹介したいと思います。
Kamakura piano artistry corporation | Tel : 0467-47-1502