粗悪品と極上品、ピアノの話

令和6年1月あっという間に過ぎあと10日あまり。お正月の地震による混乱は、未だライフラインも確保できていない所が沢山あると報道で聞き及んでおります。この地震によりお亡くなりになられた方々に対し、心よりご冥福をお祈りすると共に極寒の中、被災した方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。さて昨年後半からの忙しさをそのままにホームページのアップも出来なくてご心配をお掛けして誠に申し訳ございません。今年に入ってお客様より「お元気なの?お忙しいのかしら?」とお仕事の依頼の電話が鳴り続いています。予定が遅れてご迷惑おかけしておりますが順次対応しております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。そんな言い訳を今回はさらっと記事にしようかなと思ったのですがちょっと粗悪なピアノに出会っちゃったのでそれも付け加えて手短に書き記したいと思います。

昨年、夜の11時位にピアニストの先生から携帯に電話が入る「○○です~!今日ね、弦がまた切れちゃったのね。それと裏のお宅のピアノの調子が悪いらしいのね。ついでに見て貰えるかしら。」「はい、良いですよ!切れたのは、高い方低い方?」と聞くと「高い方でちょっと前から切れてたんだけど今日また切れたら全く音が出なくなっちゃったのよ~今からでもいいわよ(笑)。」「え~(笑)。裏のお宅のピアノはどんな具合なんですか?」「良く解らないわ~なんか毎年調律してるんだけど調子が悪いって言うから私の調律師さん紹介するから大丈夫よ!と言ったのよ~。ところで先日のあなたのFBで「くびゆら」ていうの買った手書いてあったけれどどう?効くの?私も首が凝って凝って大変なのよ~どうかしら」などと何時もの感じで夜中にしばし世間話で大笑いした。後日、日を改めて裏のお宅に調律に行くと弾くと幾つかの鍵盤がカチカチと音がしている。ピアノのメーカーを見て直ぐに悪い所が分かった。そんなに古いピアノじゃないが膠(にかわ)切れ。いわば昔の接着剤の接着が剥がれちゃったて云う様な症状なのですがこのピアノの場合は、ちょっと事情が違う。生産効率を上げるために通常のメーカーでは絶対にやらない方法を使っている。写真の解説をするとハンマーシャンク(丸い棒)の先が鉛筆削りで削った様になっている。それだと接着面が少なくて数年で直ぐにカチカチ音がし出してこの様に簡単に取れてしまう。工場で製作する時は、効率が良く綺麗に仕上がるのでしょう・・・きっと。ほとんどのピアノ調律師は、この箇所が取れる経験は皆無というかここは、取れないのが当たり前。上のハンマーの取り付け箇所は、調律師さんは、度々経験されていると思います。よって本来ならば歪に削られた丸い棒を全て交換するのが安心な修理方法なのですがそれには、かなりの金額と手間が掛かるのでお客様と相談の上、お金の掛からない方法で修理してまた症状が出たらその都度修理するというか毎年の定期調律で少しづつ修理して行きましょうとなった。このメーカーのピアノは、過去にかなりの台数のクレーム処理をした経験があるので大方このピアノの事は、知り尽くしているつもりでいます。世の中には、沢山のメーカー製作した多くのピアノが存在する。今では、中国・東南アジアのピアノメーカーから色んなブランドのピアノが販売されています。それぞれ個性というか特性がある訳ですからして我々も絶えず情報収集を怠ってはなりません。何時まで経っても幾つになっても人間、日々勉強・勉強なんですね!

 

そんな中、昨年12月早々に弊社の在庫ピアノのオーバーホールで全解体で弦を取り外してなんて作業を始めた所で立て続けにグランドピアノの買い取りが発生した。声楽家の先生がご高齢の為にピアノを処分される事に。以前と言っても17年前の12月に先生宅に私が収めたピアノ。浜松の工場にグランドピアノを選び(選定)に行った正に当たりピアノです。当時、イタリア製の響板を使用したモデルで福与かで尚、華やいだ伸びのある良い音のピアノです。全く傷一つない丁寧に使われたピアノを買い戻した訳です。そうこうしていると数日後にグランドピアノの買い取りの話。同じく17年前の春にお届けしたShigeruKawaiです。とっても裕福なご家庭のお嬢様の為のピアノで同じく工場で選定をするに当たってShigeruKawaiの当時の仕上げ担当の友人に直接電話して希望を伝えて数台仕上げて貰った物の中から1台を選んでお届けしたピアノです。しかしお嬢さんは、早々とピアノの方は、諦めて殆ど弾かれなかったピアノ。欠かさず毎年、私が定期調律をして管理していたので正に新品の様な状態で消耗部分なんて全く無しといっても過言じゃない珍しいピアノ。数年前コロナ騒動の前年に同じく私のお客様からほとんど手つかずのShigeruKawaiを買い取った。その折に「ShigeruKawai買い取ったから入ったら見に来いよ!」と嬉しくて友人にポロッと話すと「それってお前が売った物なの?」「そうだよ!全く使ってないんだよ(笑)!」と嬉しそうに言うと「それ買う!もう買うわ!奥さんに」と言って弊社の倉庫に入る前に売れてしまったという出来事があった。今回の2台のピアノは、内外装も含めそんじょそこらには無いコンディション最高のピアノですからこれから色々と調律したり調整を繰り返したりして手元に置いておくことにします。そして私がこの方に使って欲しいと思う方が現れたらお譲りする事にします(笑)。殿様商売なんだから~とか言われると思いますが私が選んだピアノですからこの先もずっと触って行きたいんですよね~(笑)。それにコンディションの良いしかも身元の分かってる中古ピアノなんてそうそうありませんから。そうそう売りたくなくなっちゃうんですよね~(笑)。年を取ってただ単に我儘な頑固な調律師になっちゃって「ごめんねごめんね~!」て感じかな!

 

 

 

2024年 新年のご挨拶

2024年、元旦早々に能登半島地震が発生しました。被災された方々、被災地にご家族やご友人をお持ちの方々に心からお見舞いを申し上げます。またその翌日には、羽田空港で大変な事故が起きました。こんなお正月は、記憶にないなぁ~と不安な気持ちになりそうな所にニュースでJAL機の脱出迄の映像が流れた。CAさん達の緊迫したやり取りと訓練された行動。乗客の協力もあって速やかに全員脱出された。さすがスマホの時代です。その様子は、瞬時にありとあらゆる角度で色んなジャンルに情報がアップされる。その様子を見てJALのCAさん達には、心から敬意を払う。また災害物資搬送のお亡くなりになられた海保の隊員の方々へ心よりご冥福をお祈り申し上げます。さて私共の音楽業界は、昨年よりすっかり元通りにいや、我慢が過ぎた分より活発に動き出しました。本年弊社は、「明るく・楽しく・元気よく」でより活発に活動してまいります。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

                鎌倉ピアノ芸術社

              代表取締役 梅根 恒紀

 

 

Kamakura piano artistry corporation | Tel : 0467-47-1502

Pin It on Pinterest