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コロナ騒動の影響!

天気に恵まれたゴールデンウィークは、コロナウィルスが治まり空港・駅・繁華街に観光地は多くの人 人 人で賑わい活気に満ち溢れた。3年余我慢を強いられ故郷の親族に会いに行くこともままならない、病気入院しても面会も出来ず更には、出産というおめでたい時も面会出来ずと何とも理不尽な3年間だった。そんな中、5月9日よりコロナウィルスは、5類に移行された。と言われても弊社は、お客様宅にお伺いするに当たり今まで通りマスクと手袋をしての作業は、まだまだ継続して参ります。コロナ騒動が治まっても尚、定期調律の予定が未だ遅れており特に土日指定のお客様が大幅に遅れております。ご迷惑をお掛けしておりますが徐々に解消しておりますので何卒もうしばらくお待ちくださいます様にお願い申し上げます。また、お電話頂いたお客様につきましては、優先的に対応させて頂いておりますのでお急ぎや不具合がある場合は、遠慮なくご連絡くださいます様にお願い申し上げます。さて今回は、コロナを基軸に変わって来たピアノ業界の事など簡単に書き記したいと思います。

 鎌倉プチロックフェスティバル事務局所有のピアノ    一日掛けて準備完了!

昨年10月23日、天気に恵まれて久しぶりの開催!5月14日(日)鎌倉プチロックフェスティバルVol.9 が開催される。場所は、いつもの由比ガ浜海浜公園でもちろん入場無料の電気を使わないアコースティックのフェスティバル。公園内に4か所のステージが設営されそれぞれタイムスケジュール通りに26のミュージシャン達が目の前で演奏するお祭り。周囲には、スポンサー企業の出店がずらりと並び大勢のお客様達が飲み食いしながらゆったりと1日を過ごされている。コロナ騒動でずっと中止してようやく昨年10月から再稼働して鎌倉地元の若手経営者達が手作りで作りあげたフェスティバル。毎度、開催に当たってのスタッフ達の働きは、とっても素晴らしく過去に何らトラブル無く安全に開催出来ているのは、ひとえにスタッフ達の誠実な働きがあってこそだと見て感じている。当日の早朝に公園内ステージにピアノを設置して調律をすると云う形で弊社は、最初から関わりを持って主催者とスタッフ達の人柄に惚れ込んでスポンサーをしている。ゴールデンウィーク中に1日割いて完璧にピアノの準備をしました。今週末の天気は、芳しくない予報なので心配でなりませんが、どうか天気がもってくれて大大大盛況であります様にとただただ祈るばかりです。

昨年始めたバラ。全くの初心者ながら今年も綺麗に咲いてくれた!

今年は、暖かいので桜も藤もバラもなんでも早く咲いて季節が半月ぐらい早くなっている様だ。昨年よりちょっとハマっている我が家のバラも順調に咲き始めた。綺麗で香りも良くて何だかかわいくてしょうがない(笑)。コロナ過でステイホームなど人々の働き方が大きく変わって在宅ワーク・リモートワークなどちょっと前では聞くことも無かった言葉が現実となった。実際にお客様宅にお伺いするとリモートワークのご主人が会議中など当たり前で奥様達は、「子供は、学校に行ってるのにず~と家に居て3食作るのって本当に大変なのよ~!!」と皆さん冗談とも思えぬ半ば怒りに満ちた感じの愚痴を沢山聞かされる。また不動産屋の友人は、「コロナ過で働き方が変わって通勤が月に1~2回になると都内より湘南が人気になって鎌倉逗子葉山の物件が高騰してもう凄いよ!賃貸物件なんてもう何にもないよ!出たら直ぐ決まるよ!」てな景気の良い話を耳にした。実際に都心から鎌倉方面に引っ越されて弊社でピアノを購入された新しいお客様が増えた事を鑑みてもコロナ過の良い影響を実感する。ピアノの講師からは、コロナ過に急に大人の生徒さんが増えたんですと聞き及んでいる。講師の方々から沢山の大人の生徒さんの調律の依頼を受けているし弊社への新規のお客様は、大人のお客様がとっても多い事も事実です。ちょうど昨年は、ショパンコンクールで日本人の活躍にYouTube配信などが話題を支えてピアノに興味を持たれた方も多くいらっしゃった。お客様宅でも何度もその話になってお客様ととっても楽しく話が盛り上がったのが昨年出来事でした。そんな良い事ばかりではありません。コロナの影響で半導体不足が生じて電子楽器の生産が中止にされたり納期が半年以上掛かったりと不思議と半導体使わない新品ピアノは、納期が10カ月とか1年後なんて未だに理解に苦しむ事態になっている。そんなゴールデンウィーク前に地方の楽器店仲間から電話が「中古のピアノどこから仕入れている?業者からは、もう高くて買えないんだよ、仕入れ価格がお客さんへの売値になってるよ!どうしようもないよなぁ~!」といった愚痴。これは、もう数年前から業者からの提示価格が高騰して更に近年高騰を続けている。その背景は、中国経済の事情である。「ピアノ売って頂戴!」の宣伝などの買い取り業者が日本全国から沢山ピアノを買い取って中国など海外に輸出をする。ある業者は、年間50.000台を海外に輸出しているなどと耳にする。そんな状態が20数年以上続いているのだからもう日本でだんだんピアノの買い取りが少なくなって来た所に中国国内の需要がYAMAHA .KAWAIの高級機種を所望する様になりより価格が高騰している。ざっくりいうと並と高級なピアノでは、当然並の方が沢山売れたのでもともと高級ピアノは、台数が少ない。と言えども経済大国を誇った日本は、今と違って当然の様に親は子供に存分に投資したので少ないと言えどもそれなりに売れた。中国が正に今その状態なのでしょう。逆に言うと古いピアノは、修理が必要なので買わなくなった訳で日本が物凄く入念に頑丈に良い材料を厳選して作った頃のピアノは、売れなくなった訳です。実は、物凄く良いピアノだけど古くて商品にするには全修理して再生するしかない手の掛かりそうなピアノの行く場が無くなって廃棄される訳です。随分話が横道にそれてしまいましたが、私は友人に「買取業者からは、卸値が高いから買わないよ!商売にならないからね~!うちはお客様から買ってるよ!それに50~60年前の古~い良いピアノは、完全オーバーホールして商品にしているよ!時間は掛かるけどあの時期のピアノは。物が違うからね~(笑)!」というと「お客さんは、買い取り業者に売っちゃうでしょうに」というので「ずっと自分で調律して前の使用者の事も状態も分かってる身元の分かるピアノは、安く買おうなんて思わずに業者より少々高く値段をつけても卸値より安いし何より安心じゃない。お客様も知らない所に売るよりは、長年知ってる所に売る方が安心でしょうに。」というと「客との関わり方が違うんだろうなぁ~~!」としみじみとした感じだった。きっと近況報告と雑談をして愚痴をこぼして気分転換のつもりだったのであろう電話が悔やんだ声になってトーンダウンしたので何だか申し訳ない気分になって早々に電話を切った。

60年前のピアノを茶色に変えて全塗装が終えた所。内部は、これから全修理して最高の商品に仕上げます。

お客様との関わり方については、調律にお伺いしてどんな話をするのかは、人それぞれなので正解はありません。私もどうしているのか良く解っていないのですが自然体が良いじゃないかなぁ~なんて思っています。我々調律師は、他の職業と違ってお客様宅に上がり込んで数時間居座っての仕事です。よって色々と礼儀やエチケットと気を付けなければならない事が沢山有りますがこれが中々難しい(笑)。お客様との出会いの中には、数十年と長い長い良いお付き合いが出来る事が多々あります。小学校1年生のお子さんが大人になって結婚して子供を産んでその子がピアノを始めるのでお母さんが子供の頃に使っていたピアノを運んでまたまた調律に行く。ピアノを通じてそのご家族と何代にも渡ってお付き合いが出来る。こんな幸せな職業って他にあるだろうか?正に調律師冥利に尽きると思っています。

スタンウェイのアグラフ折れました!

2023年気持ち新たにスタートしたと思ったらもう2月。昨年12月の入院騒ぎで益々スケジュールの遅れが生じて御ひいきのお客様には、大変ご迷惑をお掛けしております。未だ完全には解消できておりませんが徐々に解消して来ておりますのでもうしばらくお待ちくださいます様お願い申し上げます。なお緊急の不具合などご連絡を頂けますと最優先で対処しておりますので遠慮なくご連絡くださいます様お願い申し上げます。今回は、そんな緊急のお仕事など最近の様子を記事にしたいと思います。

音楽教室のグランドピアノ 

新年、最初のお仕事は学校調律でした。昨年の10月位からの予約で学校が始まると同時に2日に分けての作業。1月から3月末の年度末まで続く学校調律は、体育館から音楽室に視聴覚教室などと13㎏の調律鞄を持って歩き回るのだから結構疲れる。学校って広いなぁ~と改めて思うのと同時に先生方、体力付くだろうなぁ~なんて思いながら作業に取り組むが何はともあれこの時期の学校は、寒い!これから2月3月と思いやられる!

体育館のグランドピアノは、湿気を吸い込んでいる。

横浜市立の学校は、どこも神奈川県立の学校と比べてピアノが圧倒的に新しくて素晴らしく良い。これが学校のピアノ?と思えるくらい良いピアノが入っている。同じ神奈川県なのに財布が違うとこんなに違うのかと唖然とさせられる。ただ、そんな良いピアノが入っていても過酷な環境の学校ピアノでは、調律が適切で無かったり十分な作業が施されていなかったりするとさっぱり良い音がしない。それを敏感に感じる音楽専科の先生方が不満に感じるのは、当然の事です。学校調律の問題点をここでは、あえて書きませんが以前の記事を読んで頂けると大方の事がご理解頂けると思います。ただピアノ調律師がしっかりと仕事をすれば何ら問題は無い訳です。しかし学校調律を単なる収益先として捉えれば最低限以下の仕事しか出来ないと云うのは現状でしょう。私は、日本人誰しもがお世話になって来た学校であるからにして恩返しのつもりで誠心誠意学校のピアノに向き合い社会人としてボランティア精神で作業に取り組まなければならないと考えています。ただ、めちゃめちゃ寒いんだ体育館!

ネジがぽっきり折れたアグラフ 3つの穴の中にそれぞれ弦が通る。

初めてのお客様から電話が鳴った「もしもし、初めまして○○に住む○○と申します。実は、スタンウェイのグランドピアノを持って居るのですがアグラフが折れてしまったので修理をお願い出来ますか?」と「はい!出来ますよ。」と言うとすぐさま「え~良かった!色んな所にお願いしたのですが全部断られて御社が4件目です。」と言われた。「アグラフが折れたんですよねぇ?」と不安になって聞き返すと「3本張りのアグラフです。調律師の方にいらして頂いてこれは、鎌倉ピアノ芸術社さんにお願いしてみてくださいと言われましたのでお電話差し上げました。」との事でした。その調律師さんを私は存じ上げませんでしたが、さすが同業者、弊社にどう伝えたら良いかか親切丁寧に分かりやすくお客様に伝えて頂いて居たので直ぐに部品を取り寄せてお伺いする事が出来た。

アグラフ交換した所だけ金ぴかに輝いでいる。

かなり使い込んでいるスタンウェイ。

グランドピアノのアグラフが折れる事は、珍しい事では無いのですがそうそう頻繁にある事でもありませんので調律師が全員交換の経験がある訳でないようです。また、それなりの工具も必要となる上に今回の様な交差弦のアグラフ交換は、一番厄介で何より面倒である。私は、何度も交換経験があるのでそれなり、いやそれ以上の工具を持っている。何時もの様にチャンチャンと折れたネジを取り除いたら終始その様子を横で見ていたお客様は、思わず「お~取れた(笑)!」と思わず声があがって笑いあった。新しいアグラフは、ぴったり方向が合うまで幾つか付けては外しを繰り返してようやくぴったり合った。お客様は、その様子を見ながらとっても嬉しそうにニコニコされていた。3本の弦を外しては、はめるの作業は、それなりに時間が掛かる。ようやく出来上がると交換されたアグラフだけがピカピカと輝いてその存在をアピールしている。それから調律に入りピアノを安定させて作業終了!かなり狂ったピアノの調律を合わせると3時間ちょっと掛かった。お客様には、綺麗に仕上がったピアノの音色にととっても満足してい頂いた。その後、美味しそうなお茶菓子を出して頂いてしばし色んな雑談に花が咲いて夕食の時間を大幅に過ぎた所でお土産まで頂いてお客様宅を後にした。新たな出会いに感謝をして都内の大渋滞へ車を走らせ帰路についた。

ベーゼンドルファーのダンパー部

昨年暮れにお伺いするはずのお客様。ご主人様は、声楽家で奥様は、ピアニスト。ピアノは、ベーゼンドルファー。ここ数年、湿気と乾燥の影響でダンパーの戻りが悪くなって来てその場しのぎの対処でごまかしていたのですが、その数がかなり多くなって音が止まらなくなって来たのでそろそろ根本的に修理をしなければと。ただその作業は結構いや かなり いや相当大変で調律師誰しもが一番やりたくない作業の一つだと私は思う。それに時間も掛かる。そこで12月のレッスンが全て終わった後の年末に半日空けて貰ってダンパー修理と調律にお伺いする予定にしていたのだが私の入院で年を越してしまった。今年になって新たに先生に予定を空けて貰った。昨年既に覚悟を決めていたので新年になろうともその覚悟は変わらず気合を入れていや、ご迷惑をお掛けした分更に気合が入って作業に取り掛かった。ダンパーアッセンブリーを取り外すといってもダンパーを全て外す訳ですから終わったら取り付けてダンパーの走りからダンパーの掛かり、総上げと総下げにソステヌートの調整。結局ダンパーに手を付けると全てをやり直す事になる。それに加えてヤマハ・河合のダンパーアセンブリーを外すのは、大変ではありませんが、ベーゼンドルファーは、ちょっと面倒臭い。言い方を変えるとかなり頑丈に取り付けてある(笑)。当然、取り付けも大変。正直な所、ヤマハ・カワイピアノのダンパーの取り回しは、とっても扱いやすいとつくづく感じる。スタンウェイの場合は、ビス止めじゃなく接着されていて物凄く厄介は時代のピアノもあるし元々ダンパーアセンブリーの構造が少し違う。これは、SHIGERUKAWAIも同じくでスタンウェイのをパクったのかな?なんて無責任に書いちゃうと叱られそうだが、いずれにせよとっても調整が難しい部分であることには間違いない。先生のベーゼンドルファーは、取り外すと大半がスティック状態で相当数のセンターピンを交換する事になった。また、ダンパーワイヤーの滑りが悪いので当然ワイヤーを磨いて取り付けて調整をしてそれから調律をして昼から夕食時間過ぎまで掛かった。この作業も調律師全員がやった事があるという訳では無いであろう。ピアノ全盛期の時は、調律師の仕事は、調律だけする人、修理する人、販売する人と分業制。と言うかピアノが沢山売れていて調律師が少なくて調律が間に合わなかった為に自ずと分業になってしまった。今は、もう違います。調律も修理も調律師はピアノの事何でも出来なければなりません。ご自身で修理して調整して手塩にかけて仕上げたピアノは、大切に使ってくれるお客様に買って頂いてそのピアノをずっと調律したい。古い人間だとお思いでしょうがそれが調律師のあるべき姿、調律師の仕事だと私は考えます。

 

 

 

2022年1月の奮闘

2022年は、年初からトラブルに見舞われ仕事に追われ事務仕事に追われオミクロン騒動にてんてこ舞いしてるうちに北京オリンピックが開催した。毎月更新していたホームページのアップもとうとう1月は、出来ず仕舞いになってしまいました。誠に申し訳ございません。今回は、その言い訳でもありますが1月の様子を記事にしたいと思います。

このお正月休みを利用したピアノ講師のグランドピアノの修理は、お正月明け早々から直ぐに取り掛かった。そこそこ年数の経つピアノで相当弾き込んだピアノですが丁寧に使われたと言うか弾き手に癖が無いと言うのが正しいと思える。あらゆる所が綺麗に同じように摩耗していてその摩耗具合に雑な所が無く綺麗なのです。例えば鍵盤をまっすぐに弾き下ろすと鍵盤に貼られているブッシングクロスは左右同じように摩耗する。ピアノの構造上通常は、次高音から高音側は、左側が良く擦り減り低音側は、左右の右が擦り減るのが当たり前というか左右がアンバランスに減って行く訳で88鍵の鍵盤割の都合でその様になるのが通常です。中音部のセクションに置いてはよほどの癖が無い限り大方差左右均等に擦り減る。これは、ピアノ調律師であれば良く目にする事でしょうしピアニストやピアノ講師の方々も大体分かると思います。もし想像がつかなかいようでしたらお知り合いのピアノ調律師に説明を頼んでみてください。喜んで説明してくれると思います。しかしこのピアノは、通常と違ってとっても運指が綺麗な方に弾かれていたことが推察できる。実際に彼女の演奏は、何度となく聞いて居ますが、芯のある音を出すかなり打弦の強いタイプだったのでちょっと驚いた。

今回のピアノ講師宅は、数年前に弊社で防音室を施工して夏冬ガンガンにエアコンを使用するので色んな木部の変形やネジの緩みが多い。考えられる作業はすべてお預かりしている間にやろうと奮起して作業をしてお約束の納品日に間に合わせた。お届けしてすぐに先生は、別の新品のピアノを弾いているみたいと大層に喜んで頂いた。その翌日、先生から「昨日は、ありがとうございました。音の違いが分かる生徒達がとっても喜んでいます。ありがとうございました。」と嬉しいメールに年末からお正月休みを返上して間に合わせた作業が報われてとっても良い気分になった。

その奮闘中。1月6日に久々に関東に雪が積もりその翌日の朝、パソコンを起動すると完全にフリーズしてとうとう息を吹き返さなかった。ちょっと前から調子が悪いなぁ~と思い買い替えをと思いながら使い続けていたらとうとう壊れてしまった。また、この壊れた時期が悪い。弊社の決算時期で事務処理の最中。データーは、税理士事務所にバックアップされているので大丈夫だったが問題は、コロナウィルスの影響で半導体不足が影響して直ぐにパソコンが調達できない。古いノートパソコンを引っ張り出して事務処理を済ませたが、問題はそう簡単ではなくて壊れたパソコンには、昔の珍しいピアノの写真やめったに使わないがあると便利な書類の作成済フォームなど使い慣れた物が詰まっている。それを復活させる為にいろいろと奮闘したりと何だか落ち着かない新年のスタートとなった。そんな時に、とある由緒あるお寺から調律依頼の電話が鳴る。本番3日前の夜に「ピアノの音が出ない所が沢山あるとピアニストに言われて急で申し訳無いのですが本番に間に合うように調律をお願い出来ますでしょうか?」予定が詰まっていて対応が出来そうにないが調子が悪いままではコンサートで演奏出来ないしそれではピアニストもお客様もお寺も困ってしまうだろうと思うとどうにかしてあげたくなって「明日の夜でよろしかったらお伺い出来ますよ」と急な申し出に応じた。

広いお堂の片隅に鎮座する古いグランドピアノ。早速ピアノを触てみると押しても音の出ない所が沢山ある。ピッチもかなり下がっている。とりあえず不良個所にチェックを入れてざっと修理をしてざっとピッチ上げの調律をする。お堂に暖房が入れてもらってだんだんピアノが温まってくるとどんどんスティック(音が出ない所)が増えてくる。新たにチェックが増える。これは簡単じゃないなぁ~!よしやるかぁ~と独り言をつぶやいて本腰を入れて作業に没頭する。夕方から作業を始めて気が付くと辺りは真っ暗。たった一人で夜のお堂で調律はちょっと怖い。しかしお堂に煌々と明かりが点いていると近所の人達なのか?夜にもかかわらず次から次へとお参りに来る人が絶えない。当然お参りにきてピアノの音がしているのでしばらく見ていかれる。ガラス越しに覗かれて私も気が付いてにっこり微笑むと何だか間の悪い顔をしてぎこちない笑顔が返ってくる。しかしよほどグランドピアノの調律が珍しいのか一向に立ち去らない。夕飯の支度とかしなくていいのかなぁ~とかこのお爺さんの格好なら近所の人だな!なんてのんきに勝手な想像をしたりして、しばらくそんな攻防が続いてふと気付くと音もなく居なくなっての繰り返し。お陰様であんまり怖くなかった(笑)。当日のコンサートは、別の仕事で聞きに行けなかっのが残念だったがきっと上手く行っただろう!

そうこうしていると世間では、オミクロンが大流行して来た。そんな折に昨年の秋からお預かりしている親の形見のピアノを綺麗に元通りに修理して欲しいとの依頼のピアノ。全塗装を終えて内部の最終調整に入り納品期日もそろそろ迫っているので作業を進める。しかし今年は例年よりちょっと寒い感じがする。作業場は、冷暖房完備ですが倉庫の方は広いのでとっても寒い。ストーブをつけても何しても寒いがここは沢山着込んで頑張るしかない。この年代のピアノが材質も良く頑強に作られている事が良くわかる。大きく寸法を狂わせた所が無いのは、さすがYAMAHA素晴らしいピアノだなとつくづく思う。長年放置したピアノは、40年位調律をしていないので全音位音が下がって海真近にお住まいだったのでサビが凄くてかなり苦労したが手を入れる度に調律をする度にどんどん蘇ってくる。長年放置されて湿気を含んでいたハンマーは、最初からやり直しの様な下針から打ち直す始末だったが、あまりに一所懸命に整音を繰り返すとだんだんピアノの機嫌が良くなって音が踊りだす。そうしてくると、ももっともっと欲が出てきて家に帰ってもこのピアノの事が気になって次は、あれやってこれやってと色々と考え実際に作業してを繰り返すとピアノそれに応えてくれて、どんどん良い音になって響いて踊りだして歌いだしたので寒いのを忘れて何だかとっても楽しかった。満を持して出来上がったピアノの報告お客様にすると「ありがとうございます。楽しみにしていたんですよ。ただ家族がオミクロンにかかってしまって治るまでちょっと待っててください。」あれれ、どうぞお大事になさってください。と納品が延期になってしまった。こんな所でコロナの影響を受けるなんて・・・ちょうど北京オリンピックが開催されたのでテレビ観戦しながらオミクロン感染拡大の一日も早い収束を願いながら新しいパソコンでこのホームページの記事を書いております。2022年は、古いパソコンが壊れたのを機に新しいパソコンで新たな業務管理体制を構築して新たな気持ちでピアノと向き合って参ります。本年も健康で楽しくピアノに向き合いその様子を情報発信して参りますので今まで同様に皆様、何卒お付き合いの程よろしくお願い申し上げます。