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Discover Queen in鎌倉 覚園寺

今年の夏は、身の危険を感じる暑さが続いている。更に線状降水帯に加え落雷に突風と各地で被害が発生している。もう毎年毎年である。地球温暖化のせいなのか否かは、ピアノ屋風情には分かりませんが日本の気候が変化して色んな影響が出ている事位は分かる。いや分かる気がする。そんな中オリンピックがはじまり日本人選手の活躍が正気を取り戻す清涼剤となり、気になってついつい夜中にテレビ観戦して体中に力が入って興奮して寝不足になる。寝不足は熱中症の元ですから存分に水分を補給して仕事に取り組む。今回は、そんなこんなの体たらくな7月の様子とちょっと興味深い面白いコンサートの告知をしたいと思います。

2024年9月7日に「Discover Queen in鎌倉覚園寺」が開催される。エンタデュケーターでプロデューサーで作曲・編曲にエレクトリック鍵盤楽器奏者でピアニストで日本屈指のハーモニカ奏者と多才な西脇辰弥さんのイベントです。スペシャルゲストに佐藤竹善(sing like talking)さんを迎えてフレディ・マーキュリーとピアノと言った感じのイベントが開催される。そこで私、梅根がQueenのピアノについての解説をする事になってしまいました。このイベントには、日本中からQueenファンや西脇辰弥ファンが駆け付けますがそのお客様に失礼のない内容をご提供出来るか否か準備に奮闘し眠れない夏を過ごしております。

ディスカバーQueenとは、2021年4月から2022年4月までNHK-FMで放送された番組でメインパーソナリティーが熱狂的クイーンファンのサンプラザ中野さん。そしてクイーンの音楽をあらゆる角度から分析して分かりやすく解説する西脇辰弥さんが中心となって1年に渡りクイーンの魅力を深堀した番組でした。今と違ってアナログ録音の時代に色んなアイディアを駆使して作りあげた初期のアルバムから時代を追って曲の解析や詩の内容そして当時の機材と録音技術の妙技を西脇氏の再現で分かりやすく放送したり時代と共に進歩する機材によるレコーディングの変化、そしてメンバーの心境や環境の変化を照らし合わせて全アルバムを深堀解説した大変人気の高い高尚な番組でした。そして今回は、唯一ずっと変わらない筈のピアノの存在なのにQueenは、変化をもたらしていたという観点からピアノにピントを合わせたコンサートになる様です。Queenが大好きとかフレディ・マーキュリーのピアノが大好きとか鎌倉が大好きな方々へのちょっと面白い企画です。興味のある方は、是非お問い合わせください。

そのコンサートの打ち合わせで7月半ば過ぎ、猛烈な暑さの中,西脇辰弥氏が弊社の倉庫にいらっしゃった。打ち合わせと言ってもほとんどがエアコンの効いた部屋でQueenとかピアノの雑談というか綿密ではない打ち合わせ(笑)。それがとっても楽しい時間でした。西脇氏曰く「こんな話を当日してください。みんな喜びますよ~(笑)」と言われたがとっても話が楽しくて何を話したのかよく覚えていない(笑)。当日、とても再現出来そうもないがもうこうなったら自然体で普段通り話をする事にしようと思う。そうこうしているとピアノのタッチや整音の話になったので倉庫に調整中のグランドを見せる事になった。倉庫は、40℃を超える暑さですが、最初に調整中のピアノを弾いて頂いて途中整音をする所を実演したり使用する工具を説明したりと貪欲に興味を深くされていたのでとあるクラッシックピアニスト用にタッチや鍵盤に特別な調整を施したグランドを弾いて貰う事にした。触ると直ぐに「あ~違いますね~!」そして「このピアノは、弾けば弾くほど色んな事を教えてくれますね。」と言いながら色んなタッチを試みて音色を変化させている様子を見て「さすが第一線で活躍する一流のプロ。大したものだなぁ~!」とつくづく感心しながら心で呟いた。そうしたらベートーベンの月光3楽章を弾き始めた。その演奏が素晴らしく重ね重ね大したものだなぁ~いやもう脱帽でした。そしてこのタッチの説明を求められたのでこの場では、書けないウルトラCを説明して「とっても繊細な調整なので家庭に置くピアノにはちょっとリスキーなんですよ。でも毎日必ず使うピアニストにはたまらない調整です。」と最後に説明を加えると汗まみれの西脇氏の目がキラリと光った。さぁ~コンサート本番まで1月を切りました。まだまだ準備をする事がありますがどうか当日、皆さんが喜んで楽しんで頂ける様に準備を重ねたいと思います。また、その様子は、この場にアップしたいと思います。どうぞ皆様、熱中症にお気を付けてオリンピック日本チャチャチャでお過ごしください。

 

2023年、暑い最中の作業!

2023年7月今年も半分を過ぎました。例年ならいやちょっと前ですと6月7月は、長梅雨で来る日も来る日もシトシトト雨が降って憂鬱な季節。気を許すと食パンにカビが生えていたり下駄箱の革靴にうっすらとカビが生えたりと被害と言えばそんな程度でした。それが今では、毎年連日の線状降水帯による想像を超える降水量を記録して水害・土砂災害で命を失ったり財産を失ったり以前の梅雨とは様子が余りにも違い過ぎる。明日は我が身とただただ恐れをなすだけで自然の猛威に対抗する術は何一つありません。この度も被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。今回は、そんな憎々しく暑い6月7月にピアノと格闘した様子を簡単に記事にしたいと思います。

鍵盤の小口貼り換え 変色した小口を新品に

鍵盤ならし・あがき 白鍵黒鍵の全ての鍵盤の高さを合わせ次に深さを全て綺麗に合わせる

コロナ騒動以来、国内の新品のピアノの在庫というか生産が追い付かないのか購入して頂いてもお届けに10カ月待ちなんてザラで中には、1年以上待たされる。勿論ピアノに限った話では無いのは重々承知している。半導体不足で自動車に住宅設備は、ことさら深刻な問題ですし家電製品加えて電子ピアノなどなど作りたくても作れない。そんな状況でしたが最近それも随分と解消されて来ている。今年の初めに友人が車を購入して「納車は、10月だって」なんて話を聞いていたが先日電話があって「7月末に納車だって、早くなっちゃったよ(笑)。半導体不足も随分解消されてきたみたいだね~!」と喜ばしいニュースを耳にした。しかし何故か半導体使ってないピアノの納期は相変わらずで定価もどんどん上がっている。当然、中古のピアノも買い取り価格の高騰と修理部材や塗料の高騰によりひと昔の新品の値段以上になってしまっている。となると中古のピアノと言えどもとにかく丁寧に手を入れて値段に見合った商品に仕上げなければならない。音、タッチに消耗部品など見えない所の些細な部分まで存分に手を入れる事は勿論の事。外装は、新品かな?と思える程の仕上がりが要求される。まぁ~調律師ならばその作業は、ただただ面倒な作業の積み重ねではあるが、綺麗に一つクリアする毎にピアノがあからさまに蘇るのでとっても楽しいの連続でたっぷりと時間を掛けてピアノと向き合えるので云わば至福の時間と言えるだろう(笑)。

バットスプリングコード交換 一番よくある作業

ついでにブライドルテープも交換、その折に全てのハンマーに針刺し

いよいよ組み立て

そんな中、ピアノの先生が「ずっと家を探しているんですけど新居が決まったらそこにグランドを入れたいのでよろしくお願いします。」と数年前に頼まれていた。弊社は、何台もグランドピアノの在庫があったので全く心配なく「了解です!」と二つ返事で請け負った。その依頼から数か月後、私のお金持ちの友人から電話で「今度家を建て替えるからあのグランドピアノだ~れも使わなかったしこれからも使わないから引き取るとか出来る?」「お~それは、欲しいなぁ~!高く買い取るよ!」と言って直ぐに引き取った。このピアノは、友人の娘が高校入学の時にお祝いに家に防音室を増築してYAMAHAの工場見学を兼ねてみんなでピアノを選定(選びに)しに行って私が選んでお届けした正に当たりピアノ。ただ使ったのは3か月位?でそれ以降は、だ~れも全く使わずに数年定期調律はしたもののここ10数年は、手つかずの状態でした。引き取ると使ってないからとにかく綺麗。ただ、使ってないので音は、鳴りが悪く湿気でタッチももっさり、鍵盤にはうっすらとカビが見られるが、こんな綺麗でほぼ未使用のグランドなんて日本中探しても無いでしょう。直ぐにあの先生の顔が思い浮かんで彼女の為に家が用意出来るまで取って置こうとお取り置きしました。彼女が小学校の頃から調律にお伺いして音大に行かれてピアノ講師になって今度は仕事で色々とつながりが出来て結婚をしてと長い喜ばしい良い関係が続いています。ただ新居へのグランドの件を了解してから既に2年が経とうとしていました。

もう3回目かな?微調整はこんな感じで立てて作業

何度も繰り返し合わせる

全ての作業を終えて出荷を待つのみ

何時でも運送屋さんには、頭が下がる!暑い中ありがとう!

今年の初めに携帯電話が鳴った「ようやく家が決まりました(笑)!家の工事の関係で7月あたりに引っ越しになると思います。」「じゃ~早速ピアノを用意しなくちゃね!」というと「はい、よろしくお願いします。」と元気な声が帰って来た。直ぐに弊社商品倉庫にピアノを運んで長年調律をやってないのでまず調律をしながら隅々まで観察する。使ってない綺麗なピアノと言ってもそこは細かな擦り傷や打ち傷は沢山あります。内部や弦の下は、ホコリが溜まっているし鍵盤は、カビがシミになっている。内部の機械は、まったく消耗がありませんが使われていないので動きが悪く鳴りの悪いピアノになっている。ただ、購入するときに私が弾いて選んでいるので調整をすれば全く問題ない良いピアノです。まず外装を仕上げて内部お調整は、調律と整調・整音を何度も何度も繰り返してとりあえず工場で新品のピアノを用意する感じのニュートラルな感じに仕上げた。早速、先生に弾いて貰うと「もう夢の様だわ!」ととっても気に入って頂けた。ただ、古い付き合いですから先生の好みは良くい分かっているつもりです。このピアノは、本当に使っていないまっさらのピアノですので先生に弾き込んで頂いてだんだん華やかに変わって行くつもりでいましたが、お届け迄、色々と調整を繰り返して整音をしているともう少しもう少しと色々と手を入れるのが楽しくてもう誰が弾いても物凄い良い音に仕上がっちゃった(笑)。さてお届けとなると2階窓よりピアノの方大きい。無事に入るのかなぁ~と心配をしながら見ていると体のあちこちに力が入って見ているだけで疲れちゃった。かなり時間は掛かったもののギリギリで無事にピアノ室に収まった。新居に収まったピアノに向かって「今度は、沢山弾いて貰えるぞ!」と撫でると引越しを明日に控えたガランドウの新居の音楽室に堂々と鎮座したピアノが一際輝いで見えた。