嬉しい楽しい大変なお仕事!

令和元年5月の関東は、突然真夏の様な猛暑になったり一気に気温が下がったり起伏の激しい天候。そして北海道では、日本のどこよりも気温が高いと北と南がひっくり返った様な聞いた事も無い異常気象。そうこうしていると西日本より先に関東の梅雨入り。もう色んな意味で日本は、滅茶苦茶になって来ているなぁ~と心配になった5月6月の奮闘した出来事を記事にしたいと思います。

5月の末にサロンコンサートが開かれた。会場の梶谷ピアノ教室は、多くの方にピアノの音のすばらしさを知って頂いてピアノが大好きになって貰いたいとの思いからこの一年、何度となくサロンコンサートを開催している。今回は、洗足学園音楽大学・大学院で講師をされている「白澤暁子先生」によるコンサート。当日は、朝から調律に入り念入りに順調に作業を進めた。11時過ぎに白澤先生自ら運転されて到着。直ぐにピアノに向かってリハーサルを始めた。「下から上まで満遍なく良く鳴りますね~。」とピアノの感触を噛みしめながら当日演奏される演目ドビュッシー・リスト・モーツァルトを次々と演奏された。すると「モーツァルトは、もっとピアノと対話をしたいわ!」と言うので「大屋根を一段下げましょうか?」と申し出て一段閉めて弾いて頂くと「本番は、モーツァルトだけ大屋根を一段下げましょう」とにこやかに速やかに事が決まった。さすがに感性に優れていて状況の判断力の鋭さにビックリさせられた。私は、当日の演目の中にドビュッシーが入っていたので特に和音の響きに気を配って念入りに調律をした。白澤暁子先生の絶妙な演奏テクニックで決して広くない会場に奏でる音が綺麗に舞って見える様でとても嬉しくなった。昨年私が手塩に掛けて6月に納品したスタンウェイのグランドピアノは、この一年で大勢の方に見て聞いて弾いて頂いて、その音色とタッチと木目の美しい様を皆様に誉めて頂けてとても幸せな気持ちで一杯です。この様なコンサートによって梶谷先生の思いが多くの方に伝わって教室の繁盛へと実を結んでいる。そのお手伝いをほんの少し出来ているかな(笑)?この子(ピアノ)を先生宅に嫁がせて良かった思えて親心で喜びを噛みしめた。

6月3日に嘉山路晴・淳子夫妻のコンサートが某ホール開かれた。演目は、「冬の旅」。毎年の事ですが前もって調律の依頼を受けていて当日は、一日開けて楽しみにしていた所、5月の末に突然「3日、宜しくお願いします。」と電話が入った。「はい!こちらこそよろしくお願いします。」するととても申し訳なさそうに「梅根さん、もしよろしければなんですが当日録音お願い出来ませんか?もし無理なら私達で適当に録音しますからいいのですが・・・」嘉山先生とは、10年ほど前に先生宅にベーゼンドルファーを搬入してからのお付き合いで毎年のコンサートも担当させて頂いていますが何時も決まった録音の方がいらしてCDを製作していました。「あれ!今年は、いつもの方はどうされたんですか?」と聞くと「それが先週突然亡くなられたんです。もうご高齢でしたし・・・突然でビックリしてしまって・・・今年もお願いしていたんですがその様な事情で・・・」「え~毎年とてもお元気だったのに・・・」とか何とか色んなお話をしながら「ちょっと電話を切ってお待ち頂けますか?」と言って電話を切り直ぐに友人に電話を入れて事情を話すと友人は、「そんな事情なら喜んでお手伝いするよ!」と二つ返事で引き受けてくれた。丁度新たな機材を購入した所だったので本番数日前に弊社倉庫で友人と二人で新製品を使った録音テストをやった。当日、あたふたして録音失敗では、済まされないので念入りにテストを繰り返した。

当日、朝9時に会場入りして調律を始めるのだが、今回は機材の搬入があるので30分早めに搬入口に到着して受付の手続きをすると若い警備員さんが「会場は9時からじゃないと入れません。この業務エレベーターも9時からじゃないと使えませんので9時までお待ちください。」ときっぱり!私は「会場の係りの方は、9時少し前だったら搬入出来ますよと言われてるんですが?」「いえ私共は、いかなる場合でも9時と言われていますのでお待ちください」とまたまたきっぱりと。心の中で「こいつじゃらちが明かないな!」とつぶやいてエレベーターの前に機材を運んだ。すると受付の窓口から警備員がずっと私を監視している。何か怪しい危険な奴だと思ってるのかなぁ~とか色々と考えながら時間が経って9時3分前になった時に女性が出社して来て業務用エレベーターに乗り込んだので慌てて機材をエレベーター内に運び始めたら警備室から若い警備員が飛んで来て「まだ9時になっていません!」と言いながら運び込んだ機材をエレベーターから運び出した。「おいおい、もう9時でしょ?」と言うと「いえ、まだです!」とまたまたきっぱり!こいつ監視して走って来たな!と随分気分を悪くした。そうこうしているとまた若い警備員がやって来て「9時になりました・・どうぞ」と言って私の機材をエレベーターに運ぶのを手伝ってくれた。何だ職務に忠実な好青年ではないかと少し気分を良くした。「全く朝から調子狂っちゃうなぁ~(笑)!」と心でつぶやいて、そんな自分に呆れながら大きな台車で大量の機材を会場に運び込んだ。この日は、天気が良く気温も高かったので会場のスタッフにエアコンを入れてくださいとお願いして自動車を駐車場に移動しに行って直ぐに戻って調律を始めるのだがもう9時40分になっている。11時からリハーサルなのにちょっと間に合わないかな?と思いながらピアノを触ると何とピッチが3Hz上がってる。今日は、バリトン歌手の冬の旅だから困ったな!いよいよ間に合わないぞ!と覚悟を決めて指定のピッチに下げる調律に取り掛かった。10時30分に友人がまたまた大量の機材を運び込んで来てセッティングを始めた。11時嘉山先生が「梅根さん、おはようございます!」と会場入りされた。「申し訳ございません。もうちょっと時間が掛かります。」と伝えると「大丈夫ですよ!ごゆっくり」と言って頂いてほっとした。11時を随分過ぎて調律を終えた。直ぐに先生がピアノを弾き始めて「弾きやすいわ!」と気持ちよさそうに演奏をしてOKを貰った。直ぐに私の機材のセッティングを始めてようやく全ての機材がつながってレベル合わせやマイクの位置の見直しなどなど慌ただしい時間が通り過ぎたらもう開場の時間になっていた。大勢のお客様が席に着いたと思ったらもう開演。慌ただしい時間が過ぎて本番が始まり先生の素晴らしい歌声と心地よいピアノの音色に酔いながら一気に24曲歌いあげるパワフルさに圧倒されながらの至福の時間は、あっという間に過ぎ去った。さて今度は、機材の撤収作業。何だか今日は、目の回る忙しく体力のいる慌ただしい一日だったなぁ~。翌日、先生から「昨日は、ありがとうございました。何時頃CD出来上がります?早く聞きたい」と言われたので「出来るだけ急いでやりますからちょっと待ってて!」と言って電話を切った。今回は、私がDSD11.2の高音質と44.1マルチ録音の2種類で友人がDSD5.6の高音質と計3種類の録音をしている。これから録音の聞き込みをして編集してマスタリングしてCDデーターを作る一番大変な作業が残っています。本職のピアノの仕事を普通にこなしながら空いた時間を全てこの作業に費やしてもまだまだ作業は、延々と続きます。調子に乗って大量機材を投入して3種類も録音しちゃったから単純に考えても普通の作業の3倍じゃん(笑)!もう~急がなきゃ!