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生徒達から嬉しい便り

この度の熊本県を中心に発生した地震により被害に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

ピアノの先生宅に用事で伺った折に「忙しそうですね~この間、〇〇先生とあなたの話になって色々とご活躍でお忙しそうよですって?楽しそうな顔しているものね!その忙しい様子をホームページにアップするって書いてあったけどあれどうなってるの?(笑)」と楽しそうな顔ってどんな顔???ちゃんとホームページ見てるんだ・・・先生は、私より年上(実年齢は不明ですが)ですが携帯は、スマホでパソコンもバリバリとこなすアクティブな女性。私に言わせると先生の方が断然楽しそうに見えるんですけど!そんなやり取りがあってから中学校から一通の茶封筒が届いた。今回は、生徒達の手紙の事を書き記したいと思います。

克明に覚えている出来事で、私が中学3年生の時に「将来何になりたいか」とアンケートがあった。私は、「テレビにでるミュージシャン」と真剣に考えて書いた。女性担任の先生に職員室に呼ばれて「あなた,ふざけているの?みんな真面目に書いてるのよ。」僕は「真面目に考えて書きました」と告げるとガツンと頭を叩かれた。他の生徒のアンケートを僕に見せながら「ほら、ほら、みんなちゃんと真面目に書いてるでしょ?あんただけよこんなふざけた答えは!」と声を荒げて書き直しを迫られた。先生の机の端で僕は、「ピアニスト」と書き直した。すると「まだふざけてるの?」と睨まれて「学校の先生」と書き直すと「それでいいのよ」と解放された。その時に他の友人は、医師・弁護士・パイロットなどまぁ彼らの偏差値を考えると何よりふざけた回答に当時の先生は、満足だったのだろうか?当然、僕を含めて誰一人アンケート通りの職業に就いた者はいない。子供ながらに意に反する事を強いられて小さな心に傷が残った。高校に進学すると何かの折に英語の先生が「2番目に好きな事を仕事に選ぶと良い。なぜならば1番好きな事は、一生続ける趣味として取って置くんだ」そう言った事をよく覚えている。その時は、へぇ~そうなのかぁ~と大好きな先生の言葉に感心したものでした。しかし、私も歳を重ねて人並みに人生経験を積み重ねた今となっては、その言葉は、間違いだと自信を持って言えます。福沢諭吉先生の言葉に「世の中で一番楽しく立派な事は一生涯を貫く仕事を持つと云う事です」とありますが、人は誰しも40年余り厳しい社会で戦い続けなければなりません。厳しい社会だからこそ自分の1番得意な1番好きな事を仕事に選ぶべきなのだと考えます。1番好きな事だから嫌な事があっても続けられます。壁にぶち当たっても乗り越える事が出来ます。1番好きな事を選んだ人達の中で2番目に好きな事で立ち向かうのでは、既に勝ち目は無いと考えます。何だか競争じみた話になりましたが、そう言った事では無く、一番幸せな事は、一番好きな事を仕事にする事が出来た人。「一番楽しく立派な事は、一生涯貫く仕事を持つ」さすが福沢先生の言葉には、大いに感銘を受ける。それには、どうしたら良いのかのヒントを生徒達に伝えられたら。なんて大層な思いを抱いて準備したら前回の記事に書いた様に大失敗をしてしまった。

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中学校から届いた大きな茶封筒を開けると体験授業の時の生徒達からの手紙だった。拝啓に始まり敬具で締めくくられた手紙の内容には、「先生が調律の見本を見せてくれた時は、簡単そうに思えたがいざやってみると音の高さや引っ張り具合など、とても難しかった。」「ピアノの内部構造の話は、普段見る事の出来ない部品やしくみを教えて頂いてとても驚いた。」「ピアノ調律師の仕事は、ピアノ調律だけじゃなく多岐に渡る事を初めて知りました。」などの文字が書き綴られていた。そして最後に「進路の事など詳しく教えて頂きとても自分の為になりました。先生のお話を聞いて好きな事を職業にする事が良い事だと分かりました。人に勧められても自分な好きな事を職業にしたら長続きする事が分かりました。」「先生のお話の中で好きな事を頑張るという言葉を胸に、私も今習ってるバレエを頑張りたいです。」などと私の伝えたかった事が全員に伝わっていたんだ!あの落胆の後ですから余計に嬉しくなります。社員にダメ出しをされ続けて準備をした甲斐が報われました。それにしてもそれぞれの便箋に丁寧に書かれた手紙。今では、メールやラインなどペーパーレスの時代に手書きの手紙は、心に響きます。この中学校の職業体験学習の趣旨もさることながら最後は、手紙の書き方まで良く考えられた学習プログラムに感心させられました。しかし日本ピアノ調律師協会としては、子供達にピアノ調律師の仕事を理解してもらいピアノに興味を持って頂くという事なのですから長老達からは、「調律の仕事を説明をしに行って他を頑張りますじゃ何しに行ったんだか?」て叱られちゃうなぁ~。でも良いんです。少数意見は、却下じゃ!

 

 

横浜市立中学校で校内職業体験学習

3月16日に横浜市内の中学校で校内職業体験学習が開かれた。ピアノ調律の仕事がどういった物なのかを説明して実際に生徒達にピアノ調律を体験して頂くといった内容。日本ピアノ調律師協会の横浜地域を背負って準備万端で学校に乗り込んだ。以前、別の中学校で講師をした時は、男女生徒達とディスカッション形式の講話と体験で適度に笑いを取ってにこやかに時間が過ぎた記憶があるが、今回は、悪戦苦闘の2時間授業の様子と思わぬ人と人との繋がりを書き記したいと思います。

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今回の話は、私のお客様がこの中学校のベテラン先生で調律にお伺いした折に「もしよろしければ体験授業の講師を引き受けてくれませんか?」とお願いされました。「僕なんかでよろしいでしょうか?」と言うと「生徒達に今ここでなさっている様な面白いお話をしてあげてください。喜びますから」と。「お力になれるのであれば宜しくお願いします。」と快く引き受けて調律代金を受け取って意気揚々とお客様宅を後にしたのが昨年の2月でした。その年の12月に入り学校より依頼書類が郵送されてきて話が本決まりとなった。

その12月に三十年来のお得意様宅に定期調律にお伺いして何時もの様に雑談をしていると奥様から「今度、家の娘がお世話になります。ふつつか者ですが宜しくお願いします。」と突然切り出された。「???何の事ですか?」と聞き返すと「昨日娘が仕事から帰って来て、今度うちの学校に調律の先生が講師で来てくれることになってるの」と言うのよ。「職業体験の講師の中に梅根さんの名前があってビックリしちゃった!」ですって(笑)。お嬢さんが学校教員になったこ事は、知らされていましたが、まさかここの中学とは、知らなかった。しかも職業体験を担当している先生でこの先生が生まれる前からのお客様ですから何とも世間は、狭いものでとても喜ばしい出来事でした。

今年1月に入って間も無く調律のお客様であるパーマ屋さんに散髪に言った折に雑談の中で「3月に中学校で職業体験の講師をやるんですよ」とお話した所、「どこの中学ですか?うちの娘にも聞かせてあげたいわ~」と「え~~となんて中学だったかなぁ~六ッ川中学だったかな?」と答えると「そこ娘が行ってる中学ですよ。そうそう職業体験するって言ってたわ(笑)!ピアノ調律を選択しなさいって言っておきますね(笑)!」「宜しくお願いします」と言うと「いつもより恰好良く余計に刈り込んどくわね(笑)」とおいおい何だかサポーターが増えちゃったみたいで何とも気分が良なぁ~格好良くセットして貰っていつも以上に気分よくお店を後にした。

後日、参考の為に日本ピアノ調律師協会関係者が行った授業のDVDを見て、こんな専門的な話じゃだ~れも理解できないし、このしゃべりじゃなぁ~僕ならもっと上手く伝えられるな!とこのDVDを反面教師にして我社の社員を前に模擬授業なるものを何度か繰り返した。話の組み立てから黒板に書く図の構成など、ここぞとばかりに色々と指摘を受けて意気消沈しながらどうにか準備を終えた。当日は、朝8時45分に学校に集合。控室に案内されると既に数名の講師の方々が和気あいあいと話をしている。「おはようございます」と声を掛けて着席した。続々と講師の方々がやって来て9時15分に生徒達がそれぞれの講師を迎えに来た。音楽室に案内されて見渡すと全員女生徒で大半が吹奏楽部の生徒だった。その中にあのパーマ屋さんのお嬢さんの姿があった。「お母さんに調律選択しろって言われたの?」と聞くと「面白いから選択しなさいと言われました」と笑って答えてくれた。授業が始まると生徒達は、ピアノ調律について随分と勉強していて質問内容も的を得ていて僕も段々熱が入ってきた。ついつい専門的な内容になりすぎてしまい折角の模擬授業とは、全く内容が変わってしまった。気付いた時は既に遅し教室内は、静まり返ってしまい終了のチャイムを迎えた。生徒達は、このつまらなく難しい授業内容をノートして終始大人しく真面目に聞き入ってくれた。きっとこれが職人気質なんだろうなぁ~一所懸命した準備も空しくどっしりと肩にのしかかる疲労感と生徒達に対して申し訳無い気持ちに包まれて学校を後にした。

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前回アップしたピアノ講師のグランドピアノ納品が無事終えた。防音室にギリギリに収められたピアノ。早速、調律にお伺いして素晴らしい音に仕上げて万全を期してお宅を後にした。その帰り40分後に先生よりメールが届く???何かクレームかな?と嫌な予感が走った。読んでみると「梅根さ~ん、弾けば弾くほど音が綺麗でビックリして音に酔ってしまいそうです。嬉しい!!!!ありがとうございました!!!今後ともどうぞ宜しくお願い致します。」何とも嬉しい事です。精根込めて仕上げたピアノの良さが伝わったこの喜び。そして、ピアノ調律の仕事をしていて思わぬ所での人と人との繋がり。これもピアノ調律師として最高の喜びです。この喜びを生徒達に上手く伝えられたら。今更ながら悔いの残る授業だった。今回の事は、人に何かを伝える教える難しさを痛感させられた大きな課題を残す苦い思い出として心に刻まれたが、それでもあのDVDよりはるかには良かったはずだ・・・と気を取り直してまた頑張ります。