5月の奮闘記!

気が付いたらもう6月。何だかこの「気が付いたら」というセリフが毎度毎度になってしまっている。ここの所、お客様宅に調律の連絡でお電話を差し上げると「毎年、この時期なのに電話が掛かってこないわ~と思っていた所なのよ。ホームページ見てもアップされてないし忙しいのかな?もしかしたら体調でも崩しているのかなと心配してた所なのよ!」とありがたいお言葉を頂いてただただ申し訳ございませんと毎日謝っている。このホームページを見て頂いている皆様にも5月はとうとう記事のアップが出来ませんでした。誠に申し訳ございません。今回もこの申し訳ございませんの言い訳に絡めてピアノのお話を記事に書き記したいと思います。

 

 

5月は、ゴールデンウィークも休み無しで日々仕事に追われ嬉しい事に調律の指名も多くピアノも売れて調整に追われている。特に高級グランドピアノの修理調整に奮闘する事4か月。既に売れているので購入者の許可を得ないと写真など詳細は明かせませんが6月の中旬には、お届けするのでその美しい凄いピアノの奮闘記は、お届けした後になります。お楽しみに!そんな中、毎年開催される鎌倉プチロックフェスティバルが本年も5月13日に開催で何時もの様に鎌倉海浜公園にアップライトピアノを運んで電気を使わないロックフェスティバル。数日前に毎年ピアノを提供して頂いてるお宅にお伺いしてピアノを調律・調整など万全の準備をしたが、残念ながら当日天候不順で急遽中止となった。午後から風雨が強まるの予報が見事に的中して主催者も苦渋の判断だっただろうと想像つく。野外コンサートは、毎回この問題に直面する。大きなイベントだと中止の保険などの準備をしているがこのフェスティバルは、無料のコンサートなので主催者の事後処理がさぞかし大変であろう事は自ずと想像が付く。主催者の人柄で多くの協力者を得ての大変良いイベントなので弊社も引き続き協賛して協力を続けて次回の開催を心待ちにしている。

その翌週からピアノの納品が続くがここでもトラブルで納品延期。お客様宅にクレーンでピアノ搬入で下見もして準備万端なのにお客様宅でクレーンを伸ばす所でクレーンが動かなくなって作業中止。お客様に大変な迷惑が掛かってしまった。弊社も予定が狂ってしまうわ、その後の運送の予定も大きくズレこんでトラックの修理が早く終える事をただただ祈った。仲間の会社とは言え、他社の事を祈るのもどうかな?とも思うが弊社に直接関わって来るしお客様にこれ以上の迷惑を掛けられないので毎日神頼みをした(笑)。出来る事は、何でも・・・神様にも迷惑掛けちゃったなぁ~!

そんなこんなの中、ここ3年位お伺いしている大きなお寺と幼稚園。演奏会を開く時に調律にお伺いしているが今回住職が「アップライトピアノがもう2台あるんだけど以前頼んでいた調律師がこの2台は、古くて痛んでいるのでもう調律は出来ません。と言われてそのままにしているんだけどちょっと見てもらえますかね~?」と早速2台のピアノを見てみると一台は、EREIZEN(エリーゼン)と書いてある。過去何台か調律をした事があるピアノですが中身を見てみると機械部分が加乾燥や温度変化により不具合を起こしている。全てのビスは緩んでカチャカチャ音を立てている。動かない鍵盤も沢山ある。部屋を見回すと天井に大型のエアコンがあり直接エアコンの風がピアノを直撃する。ピアノの脇には、大きな窓サッシがある。幼稚園なので冬場は、エアコンで暖房、雨の日でも窓は、開けられているのだろうと状況が読める。過酷な設置状況であるが大して問題は、なさそうなので住職に「大丈夫ですよ。ちゃんと調律出来ますよ。」と伝えると「前の調律師は、このピアノはもうダメだから調律は、出来ないと言ってたんですよ。直りますか!お願いします。」「ちょっと時間が掛かりますがちゃんと弾けるようになりますよ。ただ今後の管理方法をちゃんと守って頂かないと」と言って次のピアノに向かった。お寺の敷地は広いので延々と歩いてエレベーターで地下に降りた所に大きな会議場の片隅にKAISER K2Hが鎮座している。中身を見ると昭和51年製のヤマハのピアノでした。地下なので湿気が多いせいで機械の動かない所が沢山あるが、なんら問題の無い良いピアノ。「これは、全く問題ないですね。大丈夫ですよ!」と伝えると「前の調律師は、このピアノはもうダメだから調律出来ませんと言って帰って行ったですよ(笑)。大丈夫ですか(笑)」「きっとグランドとアップライト2台調律して早く帰りたかったんでしょう(笑)?」と言って後日2台の調律を半日掛けて作業したが特にKAIZERは、とても良い音が会場に響き渡った。どうしてこれがダメなピアノだったんだろうか?未だ不思議でならない(笑)!

そんな忙しい日々をここ数カ月送っているともう髪の毛が伸び伸びに伸びてベートーベンの様になってしまっているので急遽毎度の知り合いの美容室に電話を入れて仕事帰りの時間外に髪を切りに行った。仕事を終えて急ぎ車を飛ばして向かうと突然、若い警察官が表れて「手前の三差路の一旦停止が甘かったですね」と真剣な顔している。「ちゃんと止まって左右の確認をしましたよ」と言うと「あそこに警察官が立っているのに気づかないのは、確認が甘いじゃありませんか?」と目をかっぽじいて見つめてきたので「停止や確認が甘いというのは、どういう事なの?隠れている警察官に気を取られるより左右の安全を見る方が重要でしょに!。まぁ~急いでいるからさっさと切符の処理をしてください」と言うとわずかに頬が緩んで「ハイ!それでは、免許証を拝見してもよろしいでしょうか?」とやけに丁寧になって若い警察官のウキウキした気持ちが伝わって来た。そんな不甲斐無いやり取りで時間に少し遅れてようやく美容室に到着した。知り合いと言っても元々今でもピアノ調律のお客様宅でお婆ちゃんから娘・息子迄全員よく知る長年のお客様。無理を言って遅い時間にお伺いしたがその時間にも遅れてしまった。たった今そこで一旦停止で捕まったんですよ!なんて世間話をしながらいつの間にか寝てしまった。ふと目が覚めて「コーヒー・日本茶・紅茶・アイスコーヒーのどれが良い?いつもコーヒーだけど一応ね(笑)」「今日は、日本茶で」と伝えると「あら珍しいですね~」と言って上質な茶碗と茶托に丁寧に入れられた美味しいお茶が差し出され一気に眠気が覚めた。鏡の脇に女性雑誌が数冊。手に取って女性セブンをパラパラとめくると、皇后美智子様の話題やTOKIO山口達也の記事で満載だがおじさんが読むにはちょっと退屈。別の雑誌は、ちょっと厚手の高級誂えの家庭画報。これは、綺麗なお姉さんがページに満載されていて良くデザインされた化粧品や宝飾がセンス良く宣伝されている。気分良く眺め進めると突然、知ってるハンサムな顔が大きく一面に!横浜の林香寺の若き住職「川野泰周さん」である。住職が、まだ高校生頃にピアノの調律にお伺いしてからの長いお付き合いで昨年、お寺の改築を期に弊社でピアノを新調されたお客様。彼がお寺を継ぐ事は当然であるものの学業がことさら優秀であった為に医学部に進学して精神科医師になり30を過ぎて修行の最も厳しい建長寺に永年修行に入り今では、立派な住職になりました。医師としても勤務を続けてながら住職としてもお勤めをし書籍の執筆で沢山の本を出版されて日本全国での講演をこなしとスーパー住職ドクター?何だかゴロが悪いが、とにかく優秀な人は、違う!そのページの写真から伝わるオーラが先程、交通違反で理不尽に捕まった嫌な気分を一気に吹き飛ばして嬉しい優しい気分になった。髪もスッキリとして気分爽快なのでその旨を、住職にメールすると「私は、届けて頂いたピアノの前に座ると気分が癒されます。」と返信が来た。昨今、二刀流大谷翔平選手が嬉しい大活躍ですが優秀な人達は、何刀流でもこなしちゃうんだろうな~!僕は、ピアノ一刀流なのに何時もてんてこ舞いだ(笑)!

ピアノ爆買いの陰で!

天気に恵まれたゴールデンウィークがスタートして気が付くと4月も最終日。先日友人より「ゴールデンウィークの3日に仲間とバーベキューをするけど来れる?」と電話が入る。「あ~行きたいけれどその日も仕事なんだよね~残念!」「それは、残念だなぁ~凄い旨いとろける様な良い肉取り寄せるんだよ(笑)!昼過ぎからだらだら夜遅くまでみんないるだろうから、仕事が終えたら来れば良いじゃん?」と言って頂くが「その日の最終は、夜7時からの調律なんだよ~。終わったらヘトヘトになるだろうから残念だけど今回は、行けないな!申し訳ない。僕の肉だけ取って置いて!」と言って電話を切った。今年に入って日々仕事に追われて休みも無く4月もホームページのアップが出来ずにちょっと疲れて慌ててる。今回は、そんな近況を記事にしようとも思いましたが、最近、仕事をしていて感じた事を記事に書き記したいと思います。

毎年、3月に横浜市の中学校で職業体験授業の講師として生徒達に実際に調律を体験して貰って楽器業界のお話など2時間枠で行っています。以前にもホームページに記事として載せましたが、数校を何年も繰り返すと教壇に立つ事が板に付いて来たのか?いやいや少し慣れてきたのかあっと言う間に2時間が過ぎてしまう。調律体験では、子供達の耳の良さに驚かされる。恐らく10代の耳では、難無く聞こえるモスキート音。我々は、年々聞こえ無くなって行く高い周波数の音が、簡単にくっきりと聞こえる様だ。プロの我々は、年を重ねる事に色んな経験をして身も心も汚れけがれおまけに耳までけがれて高周波が聞き取り辛くなるのか(笑)?只々若いエネルギーが眩しく逆に英気を貰う元気の源の様になって弊社として恒例行事になっている。後日、送られてくる生徒達からの御礼の手紙では、「私は、最近将来どんなことをしようかと気持ちが揺れていたのですが、梅根先生の好きな事は、長く続ける。社会に出て仕事をする時は、一番好きな事をすると聞いてやってみようかなと思う物が出てきました。」または、「自分が一番好きな事をこれから探して行きます。」などと伝えたかった事が少し届いたかな?と嬉しい気持ちになった。しかし、生徒達からピアノ調律師になってみたいという手紙は、未だ1通も届いていない。ピアノ調律職業体験としてこれで良いのかな~?まぁ~とりあえずいいか(笑)!。

そんな中、毎年の事ですが春になるとお客様から実家のピアノを運んで来たいと連絡が殺到する。北は、北海道から南は、九州から関東へとほぼ日本全国。それに伴い、外装や中身のクリーニングや修理・調整・調律と特に今年は、大忙し。また、春はピアノも売れる時期で納品の為のピアノの調整やコンサートやレコーディングなどなど日々仕事に追われて休む暇が無い。弊社倉庫に入っているグランドピアノなどは、一台何日も掛けて調整を繰り返す。手を入れる毎に音が良くなって行く様は、何より楽しいしこれだけ良い音とタッチになればもう誰にも文句は言わせないぞ~どうよ!と有頂天になりながら作業を進めるが後日、弾いてみると、もうちょっとこの辺に手を入れてあげちゃおう!なんて、もう終わりがありません。だからきっと儲からなくて忙しいんだろうな~。

そんな折にお客様から「○○先生から紹介されました○○と申します。良い中古のピアノを探しているんですが、何が良いのかも良く判らないと先生に相談しましたら、鎌倉ピアノ芸術社さんを紹介されました。ホームページも拝見しました。是非、相談に乗って頂けますでしょうか?宜しくお願い致します。」と電話が入る。お客様は、ネットで相当に勉強されていて大方希望の機種が決まっている様でした。弊社倉庫に希望されているピアノが在庫としてありますが、まだ内部の調整が終わっていませんでした。急ぎ内部の調整を仕上げて、同じ価格帯の他の機種もついでに調整を済ませて弾き比べて頂こうと最優先で準備しました。後日、お客様一家が倉庫にいらしてピアノを見るなり「ピカピカで新品みたいですね~!」と頬が緩んで早速、弾き比べるともうどちらにすれば良いのか分からない状態。私もちょっと良い音に調整しすぎちゃったかな?なんて思いながら部屋の状況や近所への配慮そしてご予算と総合的に考慮してお客様の希望に合うピアノを選んで頂きました・・・ルンルン。

数年前から銀座や秋葉原で中国人爆買いのニュースが連日の様に報道されてそのお蔭で潤沢に儲かる店舗や業種。中国人様様状態に笑いが止まらない経営者が大勢いる事でしょう。ピアノ業界に置いては、大手メーカーの中国での販売が好調で低迷していた業績も好転している。その陰で中国資本が日本に流入して中古のピアノを買い漁り日本国内の中古ピアノ買取価格が高騰してしまい日本国内の中古ピアノ販売価格は、物凄く高くなっている訳で当時の定価を軽く上回る機種も続出しています。また、買い取った中古ピアノをひと月に数千台ペースで20数年間も輸出を続けていると日本国内に良いピアノが無くなってしまいます。これは、ピアノ調律師としては、心の痛む所です。日本国内に良い材料で製作された世界に認められる日本製のピアノが無くなって行く様は、何より心寂しい。こうなったら全国のピアノ調律師総動員で「ピアノ買って頂戴!」キャンペーンを本腰入れてやるしかないなぁ~(笑)!いや、笑い事じゃありません、真剣です!

Kamakura piano artistry corporation | Tel : 0467-47-1502

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