意外に知られていない日本製名器のグランドピアノ

先日、九州から運ばれてきたグランドピアノKAWAI-RXAの調律にお伺いした。初めてのお客様より「調律お願いします」と電話が入る。ありがとうございます、ピアノは、何ですか?とお聞きすると「KAWAIのグランドピアノです。毎年調律しているのですが九州より運んできましたのでお願いします」私は、ピアノの大きさは?機種とか判りますか?とお聞きすると「う~~んRXAと書いてあります」僕は、ちょっと興奮しRXAですか?KAWAIの名器と言われたピアノですね!とワクワクしてきましたが、お客様は、そうなんですか?と僕の興奮度とは、随分温度差があるので本当にRXAですか?と聞きなおすと「RXAと書いてありますよ」とちょっと拍子抜けした感でその様にお答え下さいました。それはそれは、是非こちらから調律をさせて下さいと逆にお願いをしてお伺い致しました。

DSC_0658綺麗なお部屋に立派なグランドRXAが・・・しかし何か感じが違う。私も過去に1台お客様に販売してずっと管理しているが何かが違う。もっと高そうに思える。お部屋が綺麗だから?お客様が若くて綺麗だから?なんて思いながら直ぐに判りました。同じ黒のピアノですが脚がチッペン(猫足)仕様に特注されています。譜面台も特注でした。まぁそれは、高級感のあるピアノ。そもそも本体価格が当時380万円サロンコンサートピアノとして開発されショパンの生家にも納入された由緒ある手作りピアノです。いったい幾らしたんだろう?この時期は、YAMAHAでS400当時360万円のピアノが日本では、大変評判になっていました。販売台数や安定した製作技術を持つYAMAHAこれまた名器です。今ではYAMAHA-S400は、RXAに比べると圧倒的に販売台数が多いので年に1・2台買い取りでお目に掛かります。しかし、KAWAI-RXAは、なかなかお目にかかれない。私も神奈川県の某ホールに有るのを一度調律した事と私のお客様とこちらのピアノで3台目となります。

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ピアノのコンディションは、さすがに毎年ちゃんとした調律師が管理していただけあって、大きな問題は無い・・・調律を終えると流石名器、惚れ惚れする音色と迫力。素晴らしいピアノ。調律師としてこんな楽しい仕事は、有りません。ずっとさわっていたい・・そんなピアノでした。ピアノも長旅で色々と調整がずれていましたが、この先、もっともっと良い音にしてあげられます。お客様の負担が無い様に数年に分けて手を入れて行きます。

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お客様は、ピアノを習い始める時に母が買ってくれたのが、このピアノだったんです。そんなに良いピアノなんですか?母に伝えたらきっと喜ぶと思います。はぁ~~なんて贅沢な話なんだろう。さすがに丁寧に大切に使われたピアノ。12月の忙しい時に嬉しい楽しい仕事、ありがとうございます。RXAそれにしても良いピアノです。僕は、最初のピアノYAMAHA-U1でした。50年前から二極化は、存在したと云う訳だ。