コンサートを終えて。

先日、佐藤英莉香「ファーストアルバム発売記念コンサートが開催された。大勢のお客様が来場頂き大盛況のコンサート。当日、ヴァイオリニストの佐藤英莉香さんから携帯に電話が入る。「梅根さんピアノの調子が悪いんです。助けて~!」と予定より早めに会場に行く事に。ホールの駐車場に到着すると何とも物々しい黒服のSPの様な人達が我が物顔で立ち尽くしているがちっとも近寄ってこない。おまけに大型のトラックとバンが駐車して入り口を封鎖している。僕は、運転席の窓を下して「今日は、何事なの?」と聞くとようやく黒服が近づいてきて「今日は、小野リサのコンサートです」と僕は、「小野リサさんてボサノヴァの?」と聞くと「そうです」とぶっきら棒に答えたので「チケット完売?」と聞くとちょっと口元を緩ませて「今年は、暑いですからね…天気も今一つですから・・・」どこも大変なんだなと思いながら、クラッシックと違いこの大型トラックに積み込んでいたであろう機材の搬入とセッティングにその他スタッフ、総勢何人態勢なんだろうと考えながら、いつものホールの叔父さんに誘導されて地下に駐車した。エレベーターでホール入り口に出るとこれまた小野リサの関係スタッフが大勢で忙しそうにチラシを折り込んでいた。一部貰って見てみると今日のコンサートは、全席指定の6.000円だった。有名人である小野リサさんの癒しのボサノヴァのコンサート聞きたいなぁ~~と思いながらその反面、この大掛かりなセットに人件費で採算は???僕の頭では、ちょっと計算できなかったがクラッシックに比べると莫大なコストが掛かるコンサート。今まで培われてきたクラッシックコンサートも時代の変化と共にビジュアル的な演出も踏まえてお客様に如何に喜んで頂けるのかを考えなければいけないなぁ~と改めて考えさせられた。

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ステージに入りピアノを確認するとYAMAHA のフルコンサートピアノで1週間前にコンクールで使用した時に調律をしている。高音の1つの音だけが著しく音が下がっている。全体に狂っているのだが原因が何か早速作業に入ることにした。何ら問題なく作業があっという間に終えて、ちょっとピアノを演奏モードで弾くと問題の音がまたまた著しく下がる。あれれれれ~~もう一度そこを調整して鍵盤を叩くとまたすぐに下がる。う~~んこれは???よくよくチューニングピンを見てみると弦を交換した跡が!ホールスタッフに調律記録簿を見せてもらうと1か月前にこの音が調律中に断線して張り替えたと記録に有った。これだね・・とスタッフに言うと「この後に何度か使った時に音がすぐに狂うと言われて苦情言われていたんです。」それは、しょがないよ弦交換しているんだもの・・・それにしても弦交換して1か月・・・音の下がりは多すぎるなぁ・・・慎重に弦を伸ばしながらコンサート本番中は、音が下がらない様に作業してピアニストに確認をして貰った。今回初めてお会いするお若い美人のピアニスト加納裕生野さん。「きれいな音になりました~~」と嬉しそうに笑って答えてくれた。しかし本番は、舞台袖でチューニングハンマー握りしめて待機だな!

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今回のコンサートは、佐藤英莉香ヴァイオリン 加納裕生野ピアノ伴奏とお二人とも英国王立音楽院の先輩後輩だそうでピアニストの加納さんは、カーネギーホールでのコンサートを皮切りに海外でのコンクール受賞や国内外でご活躍されている。2012年に「Debussy piano works 1」でCDデビューされている。

DSC_0957いよいよコンサートが始まり舞台袖からお二人がステージに。パッとステージが華やいだ所で演奏が始まる。今回は、CD収録曲のお披露目演奏。作曲者は、全曲 小岩悦也さん。ゆったりとしたメロディアスな旋律にピアノの伴奏が上手く下支えしている。とても聞きやすくヴァイオリンの音の良さが際立ち染み渡る良い曲だ。

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コンサートでは、ヴァイオリニストの佐藤英莉香さんが全曲マイクを手に その曲の説明からレコーディングの苦労話や作曲者の小岩さんと大喧嘩した事などのエピソードをお話してお客様の興味を一時も離さない上手い語りで素晴らしいコンサートとなった。ピアノも全く問題なくピアニストの演奏に応えてくれた。何はともあれデビューコンサートの成功おめでとうございました。やはり若くて綺麗な女性がステージい立つというのは、それだけで絵になるものです。こちらも華やいだ気分になって上機嫌になれます。これから益々活躍して頂きたいと願うばかりです。話は変わりますが、中国で一番人気のピアニストといえば、ランラン。最近は、便利な時代でYouTubeなどでその演奏を見る事が出来る。まるで歌謡ショーの様にスモークを焚いて演奏したりレーザー光線を使ったりとステージ演出に大層お金が掛かっている。また、大型のスクリーンを使用したりと以前エルトンジョンなどが大型スクリーンにイメージ映像を映写しながら生歌を披露するなどと同じ手法が使われている。クラッシック関係者によると賛否両論ではありますが、ランランの演奏パフォーマンスを冷静に見ていると彼の目指すピアニスト像は、今までの常識とは、大きくベクトルが違うがその成功と得た名声は、世界に轟いて揺るぎない。高いチケットを購入して頂く以上リピートして頂ける様に投資や工夫や日々の鍛練は、プロとして当たり前な事なのであろが、その陰ではプロデューサーの斬新な発想と統率力が必要であろう。日本でも世界を股にかけてCDを売りまくる剛腕プロデューサーといえば秋元康。彼がクラッシック業界で凄腕を振るってくれると面白くなるんだろうな!