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2026年雨続きの9月

夏の暑さにうんざりしながら日々忙しさにかまけていたら2026年9月のシルバーウィーク突入です。昔の様にいくつもの仕事が重なり合ってスケジュール帳が真黒というそんな老体に鞭を打つ様な無謀な働き方はもう出来なくなっているので無理のない様に楽しく仕事と向き合って過ごして居る。そうは言っても休みもままならないのであれば、それなりに忙しいという事らしい(笑)。てなわけで8月は、ホームページのアップもままならない状態でございました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。ただ、9月も日本各地で線状降水帯による災害が起き大勢の方々が被災されております。被災された皆様方に置かれましては、お見舞い申し上げると共に一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。また、本日9月21日は、関東に台風25号が最接近する様で外は、土砂降り状態ただただ何事もなく過ぎ去って行く様願い祈るばかりです。いずれにせよ外は大雨なのでここで今回は、ピアノにまつわる近況報告を簡単に記事にしたいと思います。

2026年9月21日 14:48 降り続く大雨

今年も楽器業界は、景気の良い話は皆無状態。ピアノ業界は、新品のピアノが値上がりしてさっぱり売れ行きを落としている。当然中古ピアノも相場が上がりと言った事でピアノ買取価格の暴落は一段落して業者間のピアノ流通価格も以前と変わらない価格に跳ね上がった。しかし以前と比べて流通量が少ない。何十年も日本の家庭に眠ったピアノを買いあさり続けた訳ですからピアノも少なくなるはずです。TVニュースによると今回の千葉県内で起きた線状降水帯による水害では、2.500台の自動車が水に浸かり廃車になったと報道されていた。多くの家屋敷も水に浸かり甚大な被害をもたらした訳ですが千葉県のみならず今回の全国規模の災害に置いて考えるならば、この水害には少なからずピアノも含まれているはずです。過去の災害の時の様にそのピアノを心無い業者が安易な修理で中古ピアノとして流通させるなんて事をしない様に業界人の良識を持ってそれを心から願います。

これから外装に内部と手を入れます。ヤマハのX支柱

横浜の中心地から少しと離れると広大な農地が広がる。幹線道路は、交通量も多く慢性的な渋滞も起きるが裏道の裏を通ると交通量も少なく地主さんが農業を営んでる。その走り慣れた裏の裏道を走って仕事に向かっていると通り沿いに立派な小屋で採れたて野菜が売られている。見慣れた風景なのだが今まで立ち寄った事が無い。通り過ぎた物のあまりに真っ赤な美味しそうなトマトが目に入ったのでUターンしてお店に立ち寄ってみた。みずみずしい新鮮なトマトにきゅうり・なす・ズッキーニにミョウガそしてヤングコーンなどなど正に新鮮野菜がお安く売っていたのでついつい余計に沢山買い込んだ。するとお店のおばあさんが「こんな裏の抜け道を通る事あるんですか?」と聞くので「いや~こっち方面の仕事の時は必ず通りますよ!それにこの先に友人が住んでるので年中通るかな(笑)!そうそう友人もこの先の地主さんなんですよ(笑)!」「どなたかなぁ~?」と言うので名前を云うのもはばかれたので「○○園という植木を作ってる会社をやってるんですよ。」と言うと「○○○ ○○さん?」とフルネームで答えたので「え~知ってますか?」「いや息子がとってもお世話になっている方ですよ。この辺りじゃ著名人ですよ。自宅にホール持って、最近コンサートやってるのかなぁ~?」というので「コロナでちょっと中断していたけど最近ボチボチやってますよ!あそこのピアノ僕が納品して管理してるんですよ!」というと「ピアノ屋さんなの?それじゃ~自宅にあるピアノ処分したいんだけどお願い出来ます?」というので「勿論良いですよ。じゃ~今度電話ください。見に行きますよ。」というと「いや、直ぐそこだから今から見てください。」と言ってずかずかとその娘さんの部屋にあがり込んでピアノを見るととっても状態の良いYAMAHAのX支柱のピアノだった。やはり地主さん、高級機種をお持ちになっていたので「これは処分じゃなくて値段が付くので○○万円で弊社で買い取りますよ!」と思いも寄らぬ所でとんとん拍子に上質なピアノの買取が決まった。これも著名な友人のお陰です。やはり持つべきものはお金持ちの友人!何だかその日一日気分上々だった。

これから大急ぎでファイリング

ホコリの詰まった筬

掃除の後は、鍵盤調整

弊社のお客様でかなり評判のいい有名なピアノ講師宅のグランドピアノを縁があって私が管理している。YAMAHAのグランドピアノで我々の感覚からするとまだまだ年式の浅いピアノ。別の講師の方からの紹介でお伺いしたのですが既に先生の生徒さんで大人の方が弊社でグランドピアノを購入されていたので以前より私の事は存じ上げていたらしい。そのグランドピアノですが過去定期的に管理されていて私より一回り以上年上の調律師さんがずっと担当されていた。その調律師さんも引退されたと聞き及んでいたので先生が私に調律の依頼をした事に合点がいった。最初にそのグランドピアノを調律した時にかなりバランスを崩していて調律には結構時間が掛かった。そして調律の最中に最高音部の弦が断線した。よくよくみるとその周りに数本弦交換の形跡があった。決して珍しい事では無いがアクションをのぞき込むと深~く弦溝が刻まれて打弦点が打弦面になっていた。おまけに尋常ではないホコリまみれのアクション。どうやら購入後一度もアクションは触られていない様だ。掃除機を借りて掃除を始めるとそこら中にほこりが吸い取られて行って綺麗になって行く。ビックリしていた先生はその様子を見て「これだけでも音が良くなった感じがするわ!ピアノも喜んでるわ(笑)!」そして後日、ピアノのメンテナンスをする事になった。ハンマーファイリングと整調・整音をするのですがレッスン室でハンマーを削ると大量のハンマーの毛羽が部屋を舞う事になるので天気の良い日に外で作業する事に日程を決めたがその日は大雨で延期。一週間先に延ばしたが9月は連日雨雨。当日天気予報では、午前中は曇り、お昼から雨の予報。雨さえ降らなければと作業に取り掛かる。「まぁ~30分位天気が持ってくれれば」と急ぎ神経を集中して真新しい道具を用意して作業に没頭していると何だかとっても冷たい風が頬を撫でた。「お~やばいやばい!」と心で叫んで作業の手を更にフル回転させた。ハンマーの弦溝がかなり深いのでファイリング30分なんて気楽に考えていたが超フル回転させて45分位掛かってヘトヘトになって息切れしがようやく作業を終えた。一滴の雨も降らずに外での作業を終えた事にほっと安堵した。急ぎ仕事だったが綺麗に仕上がったハンマーに向かって「どんなもんよ!」と語りかけて自画自賛した。ただ重たいアクションを外からレッスン室に持ち込む時に背中の筋肉がピキピキと悲鳴をあげた。何時までも若い気になってちょっと無理をすると体は正直に反応する様だ!さて、これからは室内作業の整調作業に入る訳ですが手順としてハンマー関係の弦合わせと走りや特に重要な同時発音に始まり整調全般の作業と整音と手際よく作業を進めるがやる事盛り沢山のメンテナンス。ただちょっと手を加えるだけでどんどんピアノは良い音に変わって行くので楽しくて無我夢中で休みなく作用を続けてしまう。少しは休み休みやる事を覚えなくてはなりませんが、ずっと覚えられないんだろうなぁ~とちょっと諦めている(笑)。作業後に先生に確認して頂くと触った瞬間に「あっ全然違う!」とビックリされて目を見開いた。「あ~もう弾くのが楽しみだわ~」と調律師としてこの上ない賛辞頂いた気がした。世の中がAIの時代へと進化を止まないのにピアノ調律と云うアナログな仕事は、決してAIに取って代わる事はありません。しかし時代と共にピアノを取り巻く環境は大きく変化しています。その変化に対応する為に我々ピアノ調律師は、より高い技術と感性を磨いてその変化に応じて行かなければなりません。文章にするとこれから辛い鍛錬に努力を重ねるイメージになりますが実際は、普段より少し丁寧な仕事にちょっと考えて工夫を凝らすだけでピアノは激変してとっても良い音として応えてくれます。その楽しい経験を沢山重ねるだけ。となるといったい何処が辛いんだどこが鍛錬なんだ?何とも楽しいだけじゃん(笑)。まぁ~今の若い調律師にとっては、その重ねるのが難しいか(笑)。我々は、良い時代を走り抜けて来たんだなぁ~と昭和を懐かしむ。老いたのかな!

 

 

 

 

2025年12月の様子!

2025年も大晦日を迎えて今年もあと数時間です。本年も皆様に支えて頂きどうにか無事に一年過ごす事が出来きました。この場を借りて心より御礼申し上げます。また、このマニアックなブログを通じて新しい出会いが沢山有りました。心より嬉しく思っております。本年も誠にありがとうございました。今回は、一年を振り返ってなんて考えましたが、いやいや柄にもない事を書くのもと思いとどまり年末に向けての12月の出来事を書き記して置こうと考えなおしました。

昨年に続いて今年もご自身の演奏の記録と成長の証としてピアノの先生のレコーデイングが行われた。場所は、私の友人宅のホール。ここは、色んなミュージシャンがレコーディングやコンサートに利用する。特筆すべき所は、専用の電源のお陰て電源ノイズは、皆無。オーディオ関係に使用する専用電源の為だけに電柱を立て建物の周りには無数のアースが撃ち込まれレコーディング中の録音機器などは、特殊なバッテリー駆動され万全を期した徹底ぶりはちょっと類を見ない。昨年は、ショパンにリストにドビュッシーだったが今回は、モーツアルトピアノソナタだった。前日にレコーディング機材を車に積み込んでレコーディング当日は、朝9時にからホールで調律を開始。ここの所、ピアノの使用が多かったので頻繁に調律をしているのでコンディションも良く狂いも少なくあっという間にピアノは仕上がった。と言ってもレコーディングですから午前中一杯は掛かる訳ですがそれが終えると今度は、録音機材のセッティングと休む間無く大忙し。今回は、DSD5.6とPCM44.1KHzの2系統で録音。まぁ~毎度のパターンですがどうにかピアニストの登場までに準備は整った。直ぐにウォーミングアップが始まりその流れで録音が始まる。1楽章2楽章3楽章とそれぞれ納得が行くまで何回も演奏するが、人間の集中力は、何時間も続かないので休憩を入れながら雑談を挟んでリフレッシュして頂いてどうにか満足のいく演奏を数テイク夕方までに録音出来た。さてそれからが大変で編集の後にマスタリング(CDにする)作業が待っている。皆さんが親しんでいるモーツアルトは、私の勉強不足もあってさっぱりマスタリング作業が進まない。と云うより前回同様にピアニスト自身が演奏時に聞いている音を再現する試みでマスタリングしているので曲の理解がとっても重要。残念ながら私の勉強不足のせいで中々作業が進まなかった。と云うよりモーツアルトは、何から何まで難しい。理解が進めばもっと深い所が見えて来てどっぷりと深みにはまってしまった。とは言えどうにか年内に仕上げてサンプルを届けたいので朝から晩まで数日掛けて没頭してようやく満足のいくCDを12月26日に関係者にお届け出来て胸を撫でおろした。この一連の作業は、正解が無いので毎回チャレンジと勉強勉強で奥深く中々思い通りに行かないが格別に面白い。そして毎年チャレンジを続ける先生は、未だご自身がレッスンに励まれ幾多のコンクールにも出場され毎回本選に行かれて賞を頂いてと正にいくつになっても前に進んでいらっしゃる素晴らしい先生。来年は、ショパンだそうで先生は、また一年掛けてご自身の演奏に磨きをかける訳です。毎年その集大成を記録に残すのって素晴らしい。そのお手伝いが出来てこれも正に調律師冥利に尽きるといった所でしょう。まぁ~録音の道に導いてくれた仲間達には、心から感謝している。

にかわ切れ。乾燥で接着不良になっている。

写真では分かりずらいが響板の接着部分が割れている。

そんな12月のある日、別のピアノの先生から「生徒のピアノの調律をお願いします。生徒がいまとってもやる気になっているので早急に対処してあげてください。ピアノは、かなりひどい状態らしいです。」とLINEが入る。直ぐにお伺いすると2階の階段を上がった直ぐの部屋にピアノある。ピアノと本棚でまるで音楽室の様なとっても贅沢な環境。お伺いした時に息子さんが練習されていた音を聞いてかなり狂っているなと分かったが実際に私が弾いてみると物凄く狂っていてその不自然な狂い方に違和感を持った。あれれれ!これは何なんだ!と鉄骨回りを見ながら下パネルを開けると響板が5本に渡り割れていた。早速、下がりに下がったピッチ上げに取り掛かるが響板割れという事でそこそこ気を使いながら数回に分けてピアノの状態を探りながらピッチ上げ作業に取り掛かった。すると色んな箇所でカシャカシャと音がする。にかわ切れ。接着不良を起こして簡単に部品が外れるので修理をする個所に印をつけながら作業を進める。お客様に「暖房は何を使ってますか?」と聞くと「エアコンです。でもこの部屋はあまり暖房は点けないんですよ。ただ夏にずっとエアコン点けて家全体を冷やしているんです」と仰るので乾燥による響板割れやにかわ切れの説明をした。響板割れは、致命的なトラブルで修理も大掛かりになるので費用も相当額になるなど色んなお話をさせて頂きましたが結果的にどうにか弾ける状態にとの事で慎重に調律とアクションの修理を進める事になった。若い頃と違って響板割れ位ではおいそれと驚かない技術が身についていてにかわ切れ修理もチャンチャンと終えて調律も綺麗に仕上がった。昭和の頃と違って家の密閉性や断熱そして冷暖房器具の発達により快適に過ごせるがピアノにはどうにもきつい。本来ならばピアノを弊社に運んでの大修理なのだが大層に費用が掛かるので色々と相談をしながら様子をみながらという事になった、やる気満々の息子さんはとっても喜んで生き生きと弾いて聞かせてくれたのでとりあえず無事に丸く収まった。昔と違ってと云うのは何も家や暖房に限った事ではありません。我々ピアノ調律師は、お客様宅に「調律の時期になりました」と電話を入れて仕事の予定を立てて来たが近年は電話を掛けても誰もお出にならない。留守電になっている場合は、まだ良いのですが家の電話には、悪質なセールス電話しか掛かってこないので出ないか留守電になっているか、もう取り外すかになっている。テレビやニュースでももっぱら詐欺電話に注意してと家の電話には、犯罪者からしか掛かってこない様な時代になってしまった。連絡は、携帯やメールでの連絡に取って代わってしまったので昔に比べるとスケジュールをスピーディに上手に調整する事はとっても難しい時代になった。電子ピアノは、性能が上がって高級機種は中古ピアノと変わらない価格に上がったが新品ピアノは、昔の製品に比べると品質は落ちて価格は跳ね上がっている。高級外国製ピアノは、定価の高騰に加え円安の影響で日本での販売価格は、大きく飛び跳ねあがっている。何でも物価上昇が当たり前の時代だがピアノを取り巻く環境は別の意味で大きく変わってしまった。しかしながら今の時代は本当にピアノが好きな人が欲しいピアノを出し渋りなく購入する時代になった様です。われわれは、それに応える技術とサービスを持ってお客様と向き合う本物の時代になったとも言えます。弊社は、これからも技術の修練と高い品質のピアノの販売でお客様と本物の時代とを共に過ごしてまいりたいと思っております。どうぞこれからも鎌倉ピアノ芸術社をよろしくお願い申し上げます。