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桜吹雪に魅了されて!

桜の花に誘われて気分も晴れやかに前向きな気持ちが沸々と湧いて来る。毎年この時期は、同じことを感じながら意気揚々と新たな躍進に胸を躍らせるが力が入り過ぎてただただ踊って終わっちゃったりするので、ちょっと力を抜いて行こうと思うと上手く力が入らず仕舞いでコントロールがとっても難しい(笑)。そんなこんなでも、だんだん暖かくなって来ると満開の桜に誘われるように外に出かけたくなる。この春は、NHKの大河ドラマで鎌倉が舞台になっているので何時以上に賑わっていてやっぱり桜の時期の賑やかな鎌倉は、良いなぁ~とつくづく思う。今回は、ウクライナやオミクロンといった世界中大混乱の最中にちょっと力を入れちゃったお仕事の様子を記事にしたいと思います。

ようやく年度末も終えてちょっと一段落すると毎年この時期にピアノ調律師のSNSで話題に上るのが学校のピアノの状態の悪さと調律料金の話題。どうしてこんな酷い汚いピアノになってしまっているのか?とか学校調律でこんな事やあんな事があったと書き込みが続いてほんの少し盛り上がっても解決策はいつも見出せずにそろそろ尻すぼみになる。私は、一切書き込みなどはしませんが随分昔の話ですが、とある高等学校の音楽室のグランドピアノの調律。めちゃめちゃに音が狂っていて鍵盤の下がったまま上がってこない(スティック)箇所が多数あるコンディションの悪さで尚且つ色んな異物ごみが沢山入っている。チョークの粉とホコリにもまみれてとにかく汚い。調律する前に掃除を始めるとピアノの中から数本のタバコの吸い殻。「どうしてわざわざこんな所に詰め込むのかなぁ~(笑)?」てな感じでそんなのは、当たり前の時代。酷い酷いを繰り返しても調律師が出来るだけの事をして良くして行くしかありません。しかし音楽専科の先生が優秀で熱心だと生徒のレベルが高くなって楽器の扱いもちゃんとされている様に感じる。音楽室の掲示物やその様子からして熱心さが読み取れる。当然、先生からピアノに対する要求も高くなるのでこちらもちょっと嬉しくなって熱が入る。体育館のピアノなどは、ちょっと整調と整音をすると良い音がする様になる。天井が高くて広い体育館にふくよかで煌びやかな音が隅々まで届くと分かる先生はびっくりされる。費用対効果といった意味では、私は採算度外視のボランティアだと思っているので出来得る限りの事はして差し上げたいと楽しんで作業に取り組んでいる。調律を終えた後に先生が満面も笑みで「すごく良くなったわ!低音の響きや煌びやかな音、長い時間ありがとうございます!」これ以上の見返りは、ありません。昔誰もがお世話になった学校。未来を担う子供たちが学ぶ学校に恩返しのつもりでちょっとだけ余計に頑張った事で社会に貢献出来たという自己満足に満たされている。

そんな中、28年ぶりのお客様から電話が入った。「○○と申しますが昔そちらでピアノを購入した者です。」と「○○さま、お庭にバラの垣根のある(笑)」そこまで言うとお互いに笑いが込み上げて「ご無沙汰しております(笑)。よ~く覚えておりますよ(笑)」と少し昔話をして、すると「あのピアノなんですが、今度は、私がピアノを習う事になって電子ピアノとか色々見に行ったんですがどうにも本物のピアノとは余りに音が違うのであの古いピアノを弾ける様にして欲しいのと今月末から家のリフォームで床も張り替えるのでその間、ピアノを預かって頂けますか?」とご相談でした。30年前に弊社で新品ピアノをご購入して頂いたお客様でした。最高級ピアノを購入して頂いたのにあまりご使用になられずに28年調律もお伺いしておりませんでした。とりあえず、ピアノを引き取ってみると外装は、大きな傷は無くとっても綺麗な状態。通常30年の月日が経つと打ち傷や塗装の欠けの二つや三つあって当然ですがとても良い状態。生活の様子が想像付きます。それでも30年ですから多少のひっかき傷や脚注の細かな傷はありますが、外装に関しては、ちょっと珍しい位に状態が良い。内部は、28年調律していないのとリビングに置いてあったので温度湿度変化で音の狂いは著しく内部のカビやホコリに汚れで大変な状態。とは言っても30年しか経っていないので我々にとっては、まだまだ新しいピアノです。

とりあえず外装から作業に入り磨きや塗装修理・金属磨きを終えてピカピカにして問題の内部作業に取り掛かった。ピアノの状態を把握する為に駄々下がったピッチ上げ調律を始めた。調律をしながら色んな所をチェックして行くと、全く弾いていないピアノなのに虫食いが全く無かった事は、幸いでした。当然の事ながら鍵盤のバランスピンやフロントピンは、緑青や変色が出ており左右の鍵盤の高さもずれているので最初から鍵盤調整を全てやる必要がある。ハンマーは、大して弾いていないのですが湿気によるカビと弦のサビ跡が付いているので軽くファイリングして整調・整音・調律を何度か繰り返すことで物凄く良い音のするピアノに蘇るでしょう。全ての作業が順調に進んでいたが少しだけピアノがぐらつくのが気になった。まぁ~この位はよくある事ですがせっかくピアノを引き取っているのでキャスターを確認してみようとピアノを寝かせてみてビックリした。頑丈なキャスターが三つに割れていた。割れているが綺麗にハマって居るので気を付けて運べば問題は無さそうだが知っちゃった以上このままにする訳に行かないので交換する事にしたがこの大型ピアノのキャスターは現在使われていないので入手するのに苦労した。あの手この手を使ってようやく一つだけ見つける事が出来たが届いた物は2mm大きくお皿の部分も1.5mm歪に厚かった。ピアノの水平を保つために電動工具やノミや金槌を用いて七転八倒しながら5時間。前足の水平も取り直してようやく納得の行く水平が取れた。ここまで手を尽くすとピアノも何だか上機嫌なのかとっても良い音を奏でている。当時は、ピアノが沢山売れていた時代なのでメーカーの倉庫に浜松から数台取り寄せて私が弾きに行って選んで(選定)一番いい音のするピアノをお届けしたお客様です。まぁ~とても良い時代の高級ピアノな訳で見た目も音も贅を尽くした楽器業界の良き時代の最終期のピアノです。嬉しい事にこのピアノを通じてまた、お客様とのお付き合いが再開されました。これも正に調律師冥利に尽きると言えるでしょう。今日も晴天に恵まれて暑いくらいの陽気。桜吹雪にそろそろ桜も終わりだな~とちょっと幻想的な景色を眺めながらふと1か月位ずっと満開の桜とか無いのかなぁ~(笑)?そうしたらもうず~と浮かれっぱなしで楽しくてゴールデンウイークに入ってまた浮かれてと・・・そうだとずっ~と楽しいのに(笑)!でも梅雨に入ったら気分もどんより沈むかな?・・いやいや今度は、紫陽花が咲き乱れるか(笑)!

 

 

 

チコちゃんに叱られる!に出たピアノ。

令和3年も早大晦日!昨年に続きコロナ禍で大変な一年ではありましたが弊社もどうにか一年過ごす事が出来ました。これも支えて下さる皆様のお陰だと心より感謝しているところでございます。緊急事態宣言が解除された途端に仕事の依頼の電話が鳴り響いて特に今年の12月は、仕事に追われて大忙しでした。遅れに遅れているお客様への対応も年内に納める事が出来ずに来年へ繰り越してしまうとい体たらくな有様でお待ち頂いている定期調律のお客様、大変申し訳ございません。頑張っておりますのでもう少々お待ちくださいます様、切にお願い申し上げる次第でございます。さて、令和3年の最後は、手短に12月の様子を記事にしたいと思います。

NHKのテレビで「チコちゃんに叱られる」という番組がある。お笑い芸人ナイティナインの岡村さんがレギュラー回答者でやたら頭の大きい人形のチコちゃんが普段当たり前の様に目にしたり深く考えずにやり過ごしている事を問題にして出題する。ゲストがトンチンカンな答えをするとチコちゃんに「ぼ~と生きてんじゃね~よ!」と叱られて正解のVTRに進むといった段取りでゲストが直ぐに正解を口にすると「つまんね~奴だなぁ~!」とチコちゃんに叱られてどの道チコちゃんに叱られるという番組である(笑)?その「チコちゃんに叱られる」の11月19日20日放送の中で「ねぇねぇ~岡村~どうしてピアノって黒いの?」と問題が出された。そのVTRで使用するピアノを塗装するシーンを撮影するので折角だからと3年がかりで木工修理をしている私が所有するフルコンサートピアノを引っ張り出して撮影が行われた。当日の放送では何とたったの3秒。大きいピアノなのか小さいピアノなのか、はてさて何のピアノを塗ってるのか?期待が大きすぎたのか?余りの短さに番組制作とは、こうしたものなのかぁ~と改めて世の中の仕組みを勉強させられた(笑)。

どうしてピアノて黒いの?の答えは、昔、ヨーロッパのピアノは、黒では無くて木目の美しさをそのまま際立たせた豪華な木目仕上げでした。しかし日本の気候は、湿度が高い為に木目仕上げが適さずに日本古来の伝統技術うるしを塗る事で黒い豪華なピアノが完成しました。日本がピアノ製造を開始して海外にも輸出をするのに木目仕上げのピアノは、一台一台綺麗な木目合わせて手間が掛かりコストも上がる。海外輸出の大量生産には、木目仕上げは不向きで木目を塗りつぶした黒いピアノが主流となって行きました。日本の大量生産が黒いピアノを世界に広めたという訳です。塗料は、うるしからカシューやラッカー・ポリウレタンやポリエステルとどんどん進化して今ではいろんな色のオシャレなピアノがありますが未だに黒いピアノが主流である事は皆様も良くご存じな事です。

さて、チコちゃんに叱られるに出たフルコンサートピアノについてですが、かれこれ3年前に私の高校時代のピアノの恩師から電話で「そろそろ私もお店仕舞いをして色々と整理をするに当たってあのピアノだけが気掛かりであなたに託したいと思っているんだけど」と告げられた。ピアノは、ドイツのベヒシュタインのフルコンサートピアノで選定の折に世界的に有名なピアニスト宮沢明子さんが直筆でサインをしたピアノです。長さ275㎝家庭用のピアノより更に1メートル長いグランドピアノ2台分の大きさのコンサートホールで使用するピアノです。正直な所、弊社でも持て余すので一瞬躊躇したが恩師のあなたに託すとの言葉に快く応じた。恩師のピアノは、日本の湿気にやられてピアノを支える頑強な脚は、割れてしまって塗装板も剥がれてしまっている。本体の各所にも長年の使用と湿気による亀裂が入っていた。外国製のピアノではよくある事ですが物が大きく重たいので木工修理は、誰でも出来る訳では無く熟練の技を持つ腕の立つ信頼できる技術者に託した。それから早3年、催促に催促を繰り返してようやく木工修理が終えたが私の注文が多すぎたのか塗装が全く進まない。そんな時にチコちゃんの撮影の話が持ち上がったので一気に仕上がった訳です(笑)!チコちゃんのお陰です。木工修理・響板塗装・鉄骨塗装・本体全塗装が3年の月日を掛けて仕上がって12月中旬に倉庫に運び入れました。まぁ~何でしょう!正に正当な本物の存在感。そのオーラが格の違いを感じさせる。弦やアクションの修理はこれからですがピアノが早く早くと僕にアピールしている。何だかとっても嬉しい。早く仕上げて先生に見せて聞かせたいなぁ~弾かせたいなぁ~と心から思う。

しかしこの12月の忙しい時に11月からずれ込んだ鍵盤修理が2台同日に入って来た。急ぎ修理と言えどもどちらも通常の規格のピアノじゃないので寸法を測って慎重に取り掛かる。木部の割れもかなりあるので木工修理をしながら88鍵352枚のフェルトを綺麗に剥がして木部を整えて新たに352枚のフェルトを正確に貼り着けるという地味で根気と時間の掛かる作業を2台作業部屋で同時進行して仕上げた。コンサートやピアノ発表会もようやく開催されて来たのでその仕事もこなしながら今度は、グランドピアノのアクション修理。これは、ピアノ講師がレッスン冬休みの間に修理して欲しいとの注文。12月のクリスマス明けからピアノ教室がお休みで当然弊社もお正月はお休みなんですけど(笑)!そんなこんなで来年約束の日にお届け出来なくなっちゃうと大変なので出来る所まで暮れギリギリまで作業に没頭しておりました。後は、ホームページの記事のアップを終えれば今年のお仕事は全ておしまいです。本年もこのホームページを通じて新たな出会いが沢山ありました。読んで頂きまして心より感謝申し上げます。また、来年もここで皆様と通じ合えたらと願っております。そしてコロナウィルスが完全終息して普通の生活が戻って来ます様に心より願いまして年末のご挨拶とさせて頂きます。